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白馬の王子様と7つの冒険  作者: アシカ
冒険の始まり
7/16

【いまはなきホログラムと幽霊の世界】

「いまのみた?足がなかったわ」

「やっぱり見えちゃった」

「まずいの?」

「まずいね。相当まずい」

「姿が見えないものを見えるということは、それは存在できないものを存在させてしまうことなんだ」

「よくわからないわ」

「どこへ行ってしまったのかしら?」

「わからないね。この夜は、覚悟をした方がいい」

「なにに対しての覚悟?」

「夢を見に行く覚悟さ」

「僕たちは城内に戻れない。シルバーも暗くて走れない。馬は暗闇に弱いんだ」

「そんな。空を飛べばいいじゃない」

「無理して飛んでも、ろくなことにならないよ。きょうは野宿だ」

「えぇ、レディーに対して野宿をしろというわけ?」

「仕方ないじゃないか。そもそも散歩して迷子になったのは誰?」

「シルバーとぼくがいるだけマシに思ってほしいね」

「わかったわ、けど、幽霊のこともあるし、、、あなたたちも進んでいると言いながら意外となにもできないのね。テレパシーでも使えばいいじゃない」

「はっっはっっは、大丈夫だよ。この世界には人を襲う動物も、虫もいない。調和が取れているからね」と言い出すと、シルバーから降りて火を焚き出した。ゆっくり座って喋りだす。

「問題は、幽霊だけさ。実はさっき2つ目の冒険について調べていたんだけど、その世界はだれも触ったことがないんだ。触ろうとしても透けてさわれない。雲のような世界。そう、いまはなきホログラムの世界なんだ」

「じゃあ、さっきの幽霊もそれに関連しているというわけ?」私も疲れたので火を囲うように座る。

「そうかもしれないね」

「けど、どうやってそんな世界行くのよ?」

「僕たちも幽霊になってしまえばいいんだ」

「は?」さっき言っていた事を思い出す

「そのために夢の世界にいくというわけ?」

「ただ、寝るだけじゃ意味がないよ。幽体離脱するんだ」

そんなことできるか。

と思った瞬間。私は力が抜けた。

すると、自分を自分で見ている。

そして、王子が私の体を優しく支えそっと寝かした。

王子も横になって、眠りについた。

次の瞬間、彼は幽霊のように下半身がなくなった。

私の足も見てみる。すると、私もなかった。

そして、さきほどの幽霊が近づいてきた。

「あの、わたしはイルマタルです」

あれ、どこかで聞いたことある名前ね。

「パイヤン王子、いつもありがとうございます。そして、フリッグ姫も、さきほどはありがとう」「うん?幽霊の友達私は知らないわ」と言っていると、むこうから

「王子はご存知でしょうが、私はヒツジです。」

私は目が点になった。

「訳あって、いまは幽霊の姿になっています。どうか、一緒にホログラムの幽霊の世界へお越しください。そこで起きた悲劇を終わらせたいのです」

と、彼女は打ち明けた。

王子は「私で良ければ、喜んでいまは、何でもできる気がする。なぜなら肉体がないからね。ちなみに、明日の太陽がのぼるまでに戻らないと肉体には戻らなくなるからよろしくね」

相変わらず、楽観的な王子だ。呆れてしまう。

「どうやって、そこまでいくの?」

すると次の瞬間。宇宙空間に投げ出されていた。

「付きました。ここがホログラムの幽霊の世界です」

「あれ、何も無い?」と思っていると、白く星が浮かび上がってきた。

時間が経つにつれ、そこには美しき星が浮かび上がりました。

わたしもいつの間にか地面に足をつけています。

「あれ?足がある。どういうこと?」

「じつは、ここは一瞬にして星が爆発してしまいました。物質としてはまったく残っていないのです。しかし、あまりに爆発が一瞬のことで、ここに住んでいた人は、肉体が亡くなったことに気が付きませんでした。その結果、いまはないのですがホログラムとして幽霊の世界が出来上がっています」

「なるほど、だからぼくの世界にもなくなっていると情報があり、触れなかったのか。で、具体的にはイルマタルは、どうしたいわけですか?」

「あってはいけないものは、あってはいけないのです。この星の幽霊は、自分のやることを見失っています。もう少しこの世界の人々をみてみましょう」

すると、あっちから人?幽霊がやってきてお腹が空いたらしくリンゴがほしいみたいでした。

木からすぐにリンゴが出てきて、それを丸かじりしていました。

お腹が膨れたみたいで、後をついていくと、その人は家に行きゴロゴロ寝始めました。

他に何もしようとしません。

火が焚かれており、それもずっとそのままのようです。

王子が「この火触ってみて」と私に言ってきました。

「火傷するわ」と言って、恐る恐る触ってみると「あっ、、、あれ?熱くない」

「ホログラムだからさ」と言った。

イルマタルが

「この通りなのです。ただ、食べて寝る生物のときの記憶で出来上がっています。人生の意味とかを考えず怠惰に自分の思ったことを思ったときに自由にやって、コミュニケーションというコミュニケーションもありません」と言った。

ちょっと喋ってみましょう。

「あなたは、幸せかい?」

「・・・」この通り、喋ることも忘れ心をなくし、まさに幽霊のような存在なのです。

それだけなら良いですが、地球やシャンバラにも少なからず干渉するようになっています。

地球の人を脅かして、喜んでいるモノまでいます。

しかし、いくら離れていてもこの地が彼らの根源。いつまでも離れてはいられません。

「私の願いは、この世界から開放され、次の循環に入ってほしいのです」

「そもそも、なぜこの世界は、一瞬で無くなったんだい?」

「それは、怠惰がきっかけでした。この世界にはある爆弾の木と呼ばれるモノがありました。その木は100年に一度抜かないと、爆発するのです。」

「しかし、怠惰になっていくにつれ100年以上寿命をもつものもいなくなってしまいました。その結果『100年したら爆発する?そんなの嘘に決まっている。陰謀だ』と、大衆が思って、政府も国も『世界遺産だ』としお金になるものですから、抜くことを禁じました。そして100年が経ちました。運がいいことに爆発はしませんでした。なかには、心配する人もいたのですが、『先人の大予言。神話なんてあるわけない』と、ますます怠惰になったのです。そして、抜くことをせず、200年経ちました。もう、木が爆発することすら忘れていました。そして、さきほどの来るべきときが来てしまったのです」

「そして、こうやって幽霊になっているわけですね。はっきり言いますと、開放も解決もできない」

「ちょっと、パイヤン王子それではあまりにも彼女が虚しすぎるわよ」

「だって、この人たちは自分で怠惰にしておきながら、まだ怠惰にしている。怠惰にすると、どうなるかを学んでいるんだ。いくら他人がいったからといって、さっきの無視をするさまだ。存在という選択にも、怠惰なわけだからどうしようもできない。へんに、優しく触れることよりこういうのははっきり言ったほうがいい」

「じゃあ、地球とシャンバラの関係についてはどうなるの?」

「これも、私の見たい干渉が創り出しているのでしょう?何かしらの干渉があるはずじゃない」

「これは、見違えたフリッグ姫。」

「ただこんかいはプロビデンスの目もいなければ、相談する人もいない。雲をどうやって掴めっていうんだい?」

「相談する相手がいないことはありません」と、イルマタルが言った。

「テフヌトです」

あれ?これもどっかで聞いた名前だわ。そうか、これもヒツジちゃんだ。

「そうです。彼女はこの世界で唯一物質として存在しているのです。目に見えませんが、いまもこうして大気としてここにいます」

「星はないのに?」

「外からはわからないのです。」

「その大気がつまり、幽霊たちのホログラムを存在させているわけです。まったくの無では、存在はありえないですからね」

「どういうこと?」

「有と無しかないんだ」

「僕たちは、どんだけ追求しても有からしか物事を考えることしかできないんだ。物があるからね。それ以外は、無いんだよ」

私は、またわからない説法を聞いている気分になった。

そんな私を王子様は、相手にせず

「大気の彼女テフヌトとはやりとりできるのかい?」

「爆発したときに、言葉を失っています」

「なるほど、それなら可能性がでてきたね」

「え?どういうこと?」

「忘れている記憶を、思い出せばいいんだよ。イルマタルさん、あなたがいい。きっと、彼女と喋っていた頃の記憶がヒントになるはずだ。思い出してみて」

「わかりました」

彼女は、目を閉じて思い出している。

バイヤン王子が、私の手を握り彼女の中の映像を私に流し込む。

そこには、大気と人が会話していた。

大勢が祭殿に祈り「偉大なる大気、こんなにもおいしい空気をありがとう」とひざまずいていた。

「こちらこそ、私の空気を吸って吐きありがとう。次から次に新たな空気が生まれるわ」

と、言ってお互いがお互いをリスペクトしていた。

まるで、善き友達のように関わっている。

「イルマタル、イルマタル。あなたには、天候を感じ取る才能があるわ。雨や嵐、人々の汚れから出す排気。それを馴染ませる木々。その些細な循環から天候を知らずに受け取れる。あなたと私はほとんど同じ。いつかまた、私が私を忘れてしまったとき、そっと『テトヌト!親愛なるテトヌト!心を呼び覚ませ』と、優しく言って、もしあなたが忘れてしまったときは私が言ってあげるから」と、会話している。

そこは、いまはもう見ることのないとてもキレイな大気からなる世界だった。


イルマタルは、目を開けた。

そして『テトヌト!親愛なるテトヌト!心を呼び覚ませ』と、優しく思い出し言った。

すると、急に大気が渦を巻きだしホログラムの幽霊たちが一つにまとまっていく。

そして、そのまとまった姿は「ヒツジ」となった。

「みなさま、ありがとうございます。私を呼び覚ましてくれて。この世界のホログラムはもう無くなりました。幽霊たちも、違った形で怠惰さと向き合う機会がくるでしょう。それに、私を崇める対象でなく、友と呼ぶ日がくるでしょう。ここが根源だった幽霊たちの地球への干渉はなくなり、悪さをすることはないでしょう。ホログラムのことは忘れますが、地球の世界にも怠惰として多少えいきょうしますが、怠惰を自らみつめていけるはずです」

「ありがとう、みなさん、ありがとう、テトヌト」と、イルマタルはもう一度感謝した。

そこには、宇宙空間があるだけだった。



「うん、うん?」

目の前には、火が燃えていた「あつ、あっつ」

「あ〜、あつい」と、私は少し喜んだ。。

なぜなら、幽霊になっていたときは、熱さをかんじなかったからだ。

「やぁ、ぐっすり寝ていたね」と、バイヤン王子が言った。

けど急に「あれ、さっき起きたことは夢だったのかしら?」

バイヤンに確かめることにした。

「イルマタルとテフヌトのヒツジって、どんな特徴があるの?何が好物なのかしら?」と、ヒツジの様子を見に行っていたときを装いながら話してみる。

「そう、イルマタルとテフヌトは、どのヒツジたちよりも仲良しだよ」

どっちとでも取れる返答だ。

「どこかへ行ってないかしら?」

「どこにいくんだい?」

「どこか、宇宙の彼方へ」

「ははっはは、おかしな夢でも見ていたのかい?夢は、夢のなかのお話だ。現実と混合してはいけないよ」

さぁ、太陽が昇ってきたよ。これで、シルバーに乗れる。

それに合わせて「ひっっひ〜」と、シルバーが鳴く。

火を消し、周りをみると近くに小川のせせらぎが流れていた。歩いて、手と顔を洗った。

「とても気持ちいい」

すると、目の前に、ヒツジが二頭水を飲んでいた。

「あら、おはよう。イルマタルとテフヌト」と、私が言った。

すると「め〜〜〜〜」と、元気に鳴いた。

あれは夢だけど、夢じゃなかった。


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