シルバーとヒツジたち
祝福をあげて、次の日ヒツジが一頭減っていた。
ポセイドンは、アトランティスに住むことにしたのだ。
私は、いろんな体験をした。いままでにない知識も増えた。
けど、反対に地球という野蛮な人間に対する「やもやも」も日に日に増した。
さらに、プロビデンスの目をこうやって時間が空いている時に考えるとヤキモキする。
王子を憎んでいる?たしかにあの場では『自分の干渉したことが自分』と、はっきり言った。
もう一度同じ場面になったとき自信を持っていえるだろうか。
そんな私を見かねてか「ほっほっほ」と、ヘルさんが笑いかけてきた。
「1つ目の冒険はなんとか、上手く言ったようじゃな」
「何をもってうまくなの?」
「そりゃ、ここに戻ってこれたことも上手くいったことじゃろが、もしそのまま飲み込こまれておったら、そなたも王子もプロビデンスの目になっておったじゃろうからな」
「たしかにそうですね。いつもヘルさんは興味深いことをおっしゃりますね」
「ここの部屋にいても悩むばかりじゃろう。汝、自身を知れというのはシンプルじゃが、その一つずつを知ろうとすると迷ってしまうものなのじゃ。いまのそなたのようにな。ただ、忘れるな。どれを選択するかじゃ。その選択を意識すれば見たい世界にいけよう」
「どういう意味?」
「ワシと遠隔で両親を見たじゃろう」
「ええ」
「プロビデンスの目を前にしたときにその遠隔を行うことも可能なのじゃ。そうしたら、プロビデンスの目など存在しないじゃろう」
「そなたが、プロビデンスの目を気にしているから、まだ干渉が終わっておらんのじゃ。だから、7つの冒険で学ぶのじゃ」
「パイヤン王子も関係ないのでは?」
「ほっっほ。誰もが見たい景色をみている。時に他人と一緒に見たいときもあるのじゃ。いまはわからんじゃろうがな」
「ま〜、一段落したばかりじゃ。野原にでも散歩してくるといい。ついでに、ヒツジたちの様子を見てきてくれ」
「そうね。このままここにいても、解決しそうにないから散歩してくるわ。ヘルさんありがとうございます」
「ほっほっほ。お礼が言えるようになったようじゃな。なりより、なりより。感謝は。13ある果実の一つ。美味しい実になるじゃろうな」
「ありがとうと何度も言っているわよ」と、私は言い返した。
そういって、城内から出た。
そとには、モンバールさんが馬に乗っていた。
「フリッグ王妃どちらまで?」
「ヒツジのところまでちょっと様子を見てくるよう頼まれて」
「そうでしたか。送って差し上げましょう」と、手を伸ばしてきた。
断る理由もなかったので、馬に乗せてもらった。
「シルバー頼むよ」
「えっ、この馬シルバーっていうの?トゥーリッキの友達なのよね?」
「そうですよ。」
「あの言葉、言ってみますか?」
「ええ、ハイヨー!シルバー」
「はっははっは」と談笑しながらヒツジのいる野原に着いた。
「わたしは、これで失礼します。帰りはご自分で戻れますか?迷子になった場合は、ハイヨー!シルバー!と大声でいえば、すぐにシルバーが駆け寄ってくるようにしておきましょう。では、また」
ヒツジたちを見ると、やはり9匹になっていた。
ポセイドンはどうしているかしら?
そして、赤いネックレスは、ヒツジにまた戻っていた。
もしかして、他のヒツジたちもポセイドンのようなマーメイドなのかしら?
「物思いに耽っている」と、ヒツジたちが寄ってきた。
ネックレスになって助けてくれたヴェッラモ。
それにテフヌト、イルマタル、ロウヒ、ケリドウェン、ヌト、ペッコ、カカ、そしてバフォメット。
それぞれに一言ずつ声をかけた。「綺麗よ。ありがとうね。元気そうでなりよりだわ」
そうやって、のどかに一緒に歩いているといつの間にか日が落ちてきた。
あら、もうそんな時間?どうもシャンバラは時間の進み方が、違うようだ。
バイヤン王子やヘルさんの話を聞いていると「時間」という単位を使っていないときがある。
「まだ、シャンバラになれないわね」と思いつつ、城に帰ることにした。
たしか、あっちの方?
う〜ん。それとも、あっちだったっけ?
やばい、完全に迷子だ。
そうだ。こういうときは「はいよ〜シルバ〜」と大声で叫んだ。
すると、ぱっからぱっから野原に一頭の馬がやってきた。
そして、シルバーの背中には、バイヤン王子が乗っていた。
「フリッグ姫、迷子ですか?」
と、少し小馬鹿にしたような目でみてくる。
「ちがうわよ。ヒツジたちの散歩で足がすこし疲れたから、馬に乗って帰ろうとしただけよ」
「それは、それは失礼しました」
「暗くなってきましたので、お城に戻りましょう」
ヒツジたちと歩いているうちにかなり遠くまでいることがわかった。道中で、完全に日が沈んでしまった。そして、林の陰が見えた。
なんと、そこには幽霊らしきモノがいた。
どうして幽霊だとわかったのかはすぐに分かる。