お城の中をご案内
しばらく歩くと門扉があった。
「なんて、大きな門扉なの。造形も美しいわ」と、感動していると「シューとか、ち〜〜」とか私の知らない言葉で呪文をいっているようだ。同じ言葉を3回言っているようだ。耳をすますと「汝、使いを受ける者。この門扉を開けたまえ」とうっすら聞こえた。
それと同時に門扉が開いた。
「私、最初あなたの呪文を聞き取れなかったわ。けど、3回目は聞こえた」
「それは、この世界に馴染んできたからだよ。言葉は、言葉以上として聞こえるものさ」
わたしには良く分からなかったが、この世界ではそんなこともあるのかと受け入れることにした。
門をくぐると100人くらいからなる「トランペット」のような音が聞こえた。
聞いたことのない、ミュージックだったけど、クラシックの行進曲を連想する美しい音色だった。
「はっはっは、彼らはこのシャンバラで共に暮らす仲間たちさ。なにか目的があるときはこうやって集まるのさ。ぼくも、たまに吹くんだ。時間があるときに教えてもらうといい。ここでは時間に縛られることはないからね」と、彼は言った。
「パイヤン、バイヤン。無事に帰ってきたか。どうだった?こんかいの旅は?」どこからか声が聞こえる。私にそっと、この声はぼくの「父さん、バレスっていうんだ」と私に言って、父と会話を始める。
「酷いものです。せっかく調整したにもかかわらず、私は悪者扱いです。おめおめ戻ってくることになりました。この有様です」さらに続けて、言う。
「彼らは、まるで自分たちだけで生きているように錯覚している。すぐに不正、裏切り、暴力、殺し合いに走ります。紙幣を通じてのビジネス戦争や利権のための政治操作、メディア操作をはじめまだまだ未発展です。エゴの暴君にすぐに取り憑かれてしまいます。
「そうか、そうか。そんなに兄弟たちを悪く言うでない。私が行ったころは、丸肌で槍で、串刺しあっていたぞ。挙げ句には、死を正当化し生贄や儀式として祭壇とよび、ワタシ達に助けをあえぐだけだった。それに比べれば、少しだけ話を聞き、手打ちができるようになった。大進歩ではないか?」また、どこからか声が聞こえたが私にはそれが、どこなのかわからなかった。
私は、彼にそっと聞いた。
「なんの話をしているの?」
「なにって、君たち人間の話だよ?もちろんぼくも人間の種ではあるけど、違う成長をした人間なんだ」
私は、思考が停止した。
この人は何を言っているの?人間以外の知的外生命体?いや?彼も人間?わけがわからない。
「はっっはっはは、慌てることはない。そのうち思考が現実に追いつくよ。」
「客人だね。バイヤンのタキシードが脱げたら、ゆっくり話そう。きょうのお題は地球とシャンバラについてだからね。そのためにこの城に来たんだろう?」と、バイヤンの知り合いらしい人が話しかけてきた。
「やぁ、イツパパロトル。元気そうだね。彼女はフリッグ姫。あとで紹介するよ」とバイヤン王子がいった。
「彼は、ぼくの小さい頃の友達だ」と私に、言った。
「お父上。イツパパロトル。それでは後ほど」とバイヤンが言った。
わたしはドキドキしていた。なぜなら、彼と同じ部屋に案内されたからだ。
「そんなに緊張することはないよ。フリッグ姫」
姫、姫ですって「私は、拙い何処にでもいる学生です」と、ぷいっと言ってしまった。
「それなら、何処にでもいる拙い姫。そちらにお着替えがある。好きなものを選んで着替えるといい。シャワーも個室であるから使ってもらって構わないからね」
そう言って、奥の扉で繋がている部屋があった。この部屋の作りは、コネクティングルームであった。彼と過ごすことへの「私のドキドキを返して」と、内心思いながら隣の部屋に入ってみるとそこにはたくさんのドレスコードがあった。
「可愛い。どれ着ようかしら?」
すると「コンコン」と、ドアがノックされた。
「フリッグ姫、ドレスの躾はご自分でできるでしょうか?」と声がした。
自分に似合っているモノを選びたかったので「すこし戸惑っているの、お願いしてもよろしいですか?」「ええ、なんなりと」と、言ってきた。
「私は、バレスの妻ヘルでございます。わからないことがあったら何でも言ってくださいね」
「あら、わたしこそ申し遅れました。フリッグと言います。よろしくお願いします。」と、慌てて言った。
どうもここに来てから私は図々しくなったようだ。
「こちらのドレスとこちらのドレスどちらがお似合いでしょうか?」と、ヘルさんに聞く。
「私は、はじめの黄色いドレスがお似合いだと思います。生地もちょうど地球産の麻を黄色く染めた自然色です。あなたに合うと思いますよ。ちなみに、もう一つのほうの赤いドレスは、石の自然の素材でマグマ溜まりみたいなものから採取されたギャラクシーD49569シャーマン星にある素材を扱っております。少しだけ重量感がありますが、丈夫でしっかりした躾になります」
ここではいちいちツッコミを入れていたらキリがない。だって、シャーマン星といっているけど、明らかに発音が違うもの、私の耳では聞き取れないイントネーションが混じっているわ。
それよりもまずはドレスね。
「黄色いドレスにしますわ。サイズ合うかしら?」「サイズアップもできるはずです。息子のパイヤンも喜ぶと思いますよ」私は照れながら、早速ドレスを試着してみる。「背中のファスナーを上げていただけませんか?」「ここでは、ファスナーはありませんよ。あがれと言えば勝手に調整されます」「そうなの。魔法みたいね。」「魔法も科学、生物学、AI学も淘汰されています。そのうち地球でも原動力イデアや愛の力を理解し応用すれば、その文学への扉がもう一段階深く開くことでしょう。まだ、どうなるかわかりませんがね。きょうは、あなたの意見も大切に成ってきますよ。地球に生きる若者の代表として参加されるのですからね」
「えぇえええ〜〜、わたしそんなこと聞いていないわよ」
「おほほほ」と、ヘルさんは笑っていた。
喋りかたは、落ち着いた雰囲気があるのだがその美貌は私よりも若く感じる。
徐々に口調がもっと砕けていく。おそらく、私が話しやすいように言葉を変化させているんだ。
「パイヤンは、何も説明しなかったようですな。な〜に、そんな固くならなくてもよろしい。いまの地球に起きていることを素直に答えれば良い。あなたの感じるままに言えば良いのじゃ。ある程度の情報はこちらも知っておる。そこで生きる物たちの声を聞き、参考程度にするだけじゃ」
すると、急に不安が襲ってきた。素直に聞いてみることにした「わたし、両親や兄弟、友達にも会えなくなっちゃうの?帰れるの?」
「そなたが望めばいつでも帰れる。ただ、少しだけ脳の記憶を忘れてもらうことにはなるじゃろうがな」「どういうこと?」「こっちの世界のことを知ると、都合の良くない人間もいるということじゃ」
「お主が思っている以上に宇宙にはたくさんの可能性が眠っておるものじゃ。善と悪だけじゃない、たくさんの関連性によってできているのじゃ。一方向に進んでいるわけではないのじゃ。そのうち、分かるじゃろう」
「いますぐ、合わせて家族に」わたしは急に襲われた恐怖についつい声がでてしまった。
「ほっっほ、そんなに心配しなくても大丈夫じゃ。安心せい」
「ほれ、わしの手を握るのじゃ」そういって手を差し伸べてきた左手の薬指には指輪がある。バレスさんとの絆だらろ。
そんなことを考えて、私はその手を握った。
「目を閉じ、楽にするのじゃ。そうそう、良い子じゃな」
すると、不思議なことにお父さんが仕事場で働いている姿がみえてきた。
はじめて、お父さんが働いているところをみる。
パソコンしながら、会議をしている。
「大手企業からドローンの受注が入りました。生産ベースにすると、3年後に〇〇台は可能です。これで我が社の売上は数億円に、私は、ドローンの自動運転のプログラムに尽力してきます」
「おお、みえたかの?ドローンとはまた、数千年まえの産物を。ほっほっほ」と、言ってきた。
「いまのはなに?やけにリアルね」「異次元交信じゃ」
「お母さんもみたいかね?」すると、鏡張りの一室がみえ「ええ、息を吸って〜、吐いて〜、はい肩のチラを抜いてバランスを取ってください。猫のポーズ」と、ヨガをしている母がみえた。
「ほっほっほ、精神訓練のヨガのはずが、本質を知らず行っているので、肉体的疲弊の訓練になっておるの。波動を知れば、もっと自由な動きができるんじゃろうな。ほっほっっほ」とまた笑っている。
最近のお母さんは、ジムに行ってヨガにハマっていた。
本当に、起きている出来事のようだ。
「ほっっほっっほ、だから言っておるじゃろうが、異次元交信だと。位置するのじゃ。時間と空間は位置するのじゃ」
さっぱり私には分からなかった。
「どれ?安心したかね?」
「ええ、少しだけ。けど、一生逢えなくなるのは嫌よ」
「まだ、取り越し苦労しているようじゃな」
「あちらの人間にそこまで求めるのも酷じゃな」
「いまはとりあえず安心じゃろう。そなたはいつも何時に家に変えるのじゃ?」
すっかり、時間を忘れていた。
「そういえば、友達のなっちゃんは?」
また見せてくれた「あれ?家で勉強している」
「どういうことなの?ワシの異次元交信は、あなたの見ていたものと完全に一致するわけではないのじゃ。そなたのなかでは、お父さんは有給で休みのはずじゃろ。しかし、いまは仕事をしていた。そして、友達と約束して図書館で勉強しているはずが家でしている。お母さんのヨガはいつも通りだったみたいじゃがな。無限に存在するんじゃ。それを完璧に再現することはわたしとて無理じゃ。絶対無限になってようやくできる領域なのじゃ」
「次元と空間の話はまだ早かったようじゃな。安心せい、もし戻りたければコンビニで雨宿りしている、地球時間でのコンマ0.1秒後からできる。それより、いまを安心して生きるほうがよっぽど重要なのじゃ。それは時間と空間を超えている領域だからじゃ」
わたしは、一気に言われたので良く分からなかった。
休み明けに先生が一気に話を進め理解が追いつかない授業のように思った。
けど、まったく逢えなくなるわけでなくいつでも戻れることに安堵した。
「ほっっほっほほ。ドレス似合っておるぞ。さぁ、そろそろ晩酌へ行こうぞ」と、笑っていた。
「パイヤン王子は?」「ほっっほほ、バレスさんと長話している。地球で見てきたことを具体的に話してシャンバラと地球の関係性について話しておるのじゃ」
そう言いながら、ドレスコードを出て、聖堂へ向った。