恵みある大地の楽園「シャンバラ」
※恵みある大地の楽園「シャンバラ」
私は、高揚感と充実感に満たされていた。
余韻にひたりながら、雲からなる2つの柱があった。
「王子様のお名前を伺ってもよろしいですか?」
「私は、パイヤン。世間ではdの意志として恐れられている。実際はただの使いだ」
「そうなんですか。王子様みたいな格好をしているので、名のある富豪だと思いました」
「私は騎士団だ。神の騎士団として使いをしていた。実際はあまりにも激しい殺し合いが行われていた乱戦時代に、戦争を請け負って調整をした。戦争をビジネスにしたのさ。そうすれば、犠牲者が減ると思ってね。800年前の話さ。いまでは忘れ去られている。そんな一族さ。そして、君みたいな可愛い人を恵みある大地の楽園へ攫っていくわけさ。少女の拉致や行方不明には、2つのパターンがあるんだよ」
王子様の話が耳に入ってこない。
私の心は、王子様にさらわれてしまった。
「さぁ、ついたよ。理想郷シャンバラへようこそ」王子様の声と同時に大地が現れた。
「わぁ〜〜なんてきれいなの。ヒツジやヤクがのびのびとと暮らしているわ〜。花や果樹、木々たちもいきいきとしているわ。あの花はなんていうの?」
「ロザリア。カーネションの一つさ。私の友ロベールが、新種として創ったモノだよ。ここでは。新たな生命の配合も行われている。新たな試みをしているのさ。なぜなら、ここで争おうとする者は、いないからね」
「本当に、素敵ね」と、言って私は王子様の背中に飛びついた。
「トゥーリッキにお礼を言って降りるよ。羽を折るから足を上げて」と王子様は言った。
「分かりました」
トゥーリッキが羽を折ると、王子様は馬から降り私に手を差し伸べた。
私は、王子様の腕に体重をかけトゥーリッキから降り、その反動で胸の中にしがみつく。
そっと肩に手を乗せ、ハグする形で迎え合う。
少しだけ距離を取ると、王子様の顔が近づいてくる。
私は、ドキッとしてついつい王子様を突き返してしまった。
そんな王子様は、何も気にしていないようでトゥーリッキと会話をしている。
「ありがとう。しばらく自由にしてていいよ」と王子様はトゥーリッキに声をかける。華麗に野をかけて行きながらトゥーリッキが言った。
「ハイヨー!シルバー!」
「えぇ、トゥーリッキは喋れるの?しかも、ハイヨー!シルバー!って、トゥーリッキが言うの?」私は、思わず笑いだした。
そんな私の笑顔につられ、王子様もにこやかな顔になった。
「トゥーリッキは、シルバーの従兄弟なんだ。100年前からの友達だよ。その従兄弟のパートナーがかけた言葉が『ハイヨー!シルバー!』だったんだ。ぼくにも『ハイヨー!トゥーリッキ!』と言われたいみたいでね。いつの間にか自分で『ハイヨー!シルバー!』って言うようになったのさ」
王子様の立ち振舞は、人間や動物たちに差がなかった。
「野原についたけど、これから何処へ行くの?」
「ご案内しよう。シャンバラで最も美しいお城、マアト城へ」
わたしの頭は完全にお花畑だった。
これは、夢よ。
きっと、夢だわ。
こんな幸せな楽園があるわけないもの。
朝だって、ベットから落ちてお父さんと喋った。
そう、あそこで頭をぶってまだ夢をみているのよ。
「夢と君は思うのかい?ぼくやこの場所を殺そうというわけだね?」と、笑顔で王子様が話しかけてきた。
「だって、こんなに美しい野原があって、素敵な人や動物がいる。あまりにも、都合が良すぎるわよ」
「そのうち、分かってくるよ。ここがどういう場所かね。お城に行く前にヒツジたちの世話をしよう。私のフィアンセたちに挨拶を頼むよ。なにより君も大切なフィアンセだけどね」と、嘘とも冗談とも取れる軽口を言い、ウインクをした。
「もう、冗談はほどほどにしてください」と、私はほっぺを膨らませた。
こういう可愛い行動をすると、王子様はすぐに違う動作をする。
ヒツジたちに向かって「やぁ、ヴェッラモ。元気そうでなりよりだ。ポセイドンも綺麗な毛並みだね」と、10頭いるヒツジの一頭ずつに声をかけて歩いている。
「お嬢さん、お気をつけて、この男は女たらしよ」と、一頭のヒツジが話しかけてきた。
「コラコラ、バフォメット。また誑かして、気にしないでちょっと口が良くないんだよ。バフォメットはね」といって、ヒツジたちを愛でていた。
ヒツジたちと歩いているうちに、城に着いた。