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スパルニア軍の襲撃


アルス半島の中央部、山岳地帯に存在する都市国家エルン。

主要街道から外れ 人口は少ないものの

希少金属でもあるマギナロック(魔鉱石)が産出する地であり・・

・・その恩恵によって人々の暮らしは比較的裕福であった。


地域的に辺境であるため 大きく繁栄をしているわけではないが、貧しいわけではない。

ある程度の治安と・・平和、住みやすさをこのエルンは享受していたのである。


だが、そんな平和を ある日・・・あの野蛮人が破壊しにきた。


突然の侵攻、突然の襲撃! 突然の戦争!

不意打ちだった。


それは・・北方の大国、スパルニア軍!

将軍カリラオスが率いる総勢1万もの兵がエルンに攻め寄せてきたのだ。


「この程度の小国! ふっ・・ひとひねりだな」

カリラオスは鼻で笑い・・そして攻撃の合図をした。


軍旗が振られ・・・ラッパが鳴り響くと同時に・・

スパルニア軍は槍と盾を構えて前進を開始する。



それに対して・・・エルン側の守備隊は防衛の準備すらできていない。

兵士たちは右往左往してしまい混乱状態におちいる。

しかも・・・まともな命令系統すらなかったのだ。


迎撃が不可能、抵抗ができない。



将軍カリラオスの口角が上がる。

予想通り・・・エルン軍は弱い!


まともな反撃すらしてこない。

組織的抵抗が出来ていないのだ


しかも・・・城門を閉めることさえ忘れている。

戦うことすら放棄しているのか!?


エルンの城門を ほぼ無抵抗のまま突破したスパルニア軍は そのまま町へとなだれ込む。

そして、そこには・・いつものように生活をする住民たちがいた。


そう!突然の襲撃のため・・・避難勧告さえ出せていなかったのだ。

町のあちらこちらで火の手があがり・・・悲鳴と怒号が鳴り響く。


住民たちは逃げ惑う・・・だが・・・どこへ逃げればよいのか分からない。

町の通りは逃げる住民たちによって大混乱し・・・そこへ敵軍、スパルニアの兵士たちが襲い掛かる。


「獲物だ! 獲物だ! 遠慮するな! 気が済むまでやれ!」

「おぅぅぅ!!」


「や、やめて・・・」

「子供だけでも・・」

「お・・お金はいくらでもやる・・・だから・・」


「あっははは・・・だめだ!だめだ! お前らは死ぬのだ」

「野蛮人の分際で・・・言葉をしゃべるな!」

「俺たちは優しいからな! 家族全員・・あの世におくってやる」



それは・・・

スパルニア軍による虐殺、地獄のような光景だった!


武器も持たない住民たちを・・一方的に殺戮していくのだ。

許しを請う声などまったくの無視、手あたり次第に剣を振り・・血しぶきが上がる。

逃げる住民を背中から斬りつける! または槍で串刺し!

幼い子供たちにも容赦しない。

泣き叫ぶ住民・・・そして、それらを見てせせら笑う声。

町の通りは死体で埋まり・・・その死体から平気な顔で貴重品を奪っていくスパルニアの兵士たち。

まさに欲望のはけ口・・・住民たちを恐怖させ殺戮し・・・蹂躙していく。



そんなスパルニア軍を止めることはできない。

まったく抵抗できていないのだ。


このエルンは・・・あまりにも小国すぎて 少数の軍事力しか備えていなかった。

その少数の兵力でさえ・・突然の襲撃によって参集もできていない。

エルン側からの抵抗がないことをよいことにして・・・スパルニア軍は思う存分、殺戮と略奪を楽しんでいた。


-*- - - - - - *-


スパルニア軍の侵攻をうけ3時間、午後を過ぎた頃・・・エルン王宮の広場に兵士たちの歓声が上がった。

もちろん・・この兵士たちはスパルニア軍。

そして・・将軍であるカリラオス、その幕僚たちも上機嫌となり 祝いの乾杯をしている。


「ほぼ・・無抵抗! 予想通り・・楽な戦いだったな」


「将軍のおっしゃるとおりです! エルン軍はあまりに弱く、戦いという感じがしませんでした」


「がっははははは・・・そうだろう! エルンなど野蛮人に過ぎない。戦うこともできない連中だ」


「では・・・祝杯をあげようか」


「「「「スパルニア万歳! スパルニアに栄光を!」」」



スパルニアが勝利し・・・このエルンの王宮は陥落した。

そして この王宮の主であった者は・・・今や屍となりその首級は高々と・・さらされてしまっている。

都市国家エルンの国王・・・ゾルランは敗死し・・・・長い歴史と誇りあるエルンは滅んだ。


しかし、エルンでの戦いが ここで終わったわけではない。

これからが・・・兵士たちへの本格的な報酬、彼らにとって・・何よりも楽しい時間!

この楽しみがあるからこそ・・・兵士になったのだ。

古代時代からの普遍的習わし、または・・しきたり

略奪祭りのはじまりである。


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