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シェアハウスは恋の予感!  作者: 無限の星
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第4話 【”未来”の過去と呼び方】

今回は、未来の過去編です。

話の途中に出てくる人がとても紳士すぎます!あんな男性に憧れちゃいますね


 未来に1階の奥にある応接室に案内された竜星。それを柱の陰から見つめている⁇。未来の斜め前の椅子に腰を掛けた。

 未来は自身の過去に起きた出来事を少しずつゆっくり話し始めた。


【未来、過去編】


未来 「私、中学校に入学するまでは両親と3人で仲良く暮らしてたんだ。でも中学校2年生になった時に、お父さんは長く勤めていた会社をリストラされて、鬱状態になって自殺したんだ。その後は、お母さんと二人で何とか生活していたんだけど、やっぱりお金に困っちゃって。お母さんは結構前から悪い人達からお金を借りてたみたいなの。お金が返せなくなった頃、毎日のように借金取りが家に押しかけてくるようになって、学校でも待ち伏せするようになったんだ。お母さんは『毎日、ごめんね』って言って、私が家に帰ったら首吊り自殺をしてしまっていたんだ。

 施設に入って学校に通い始めたけど、学校に噂が広まって、同級生からいじめにあい、私の精神状態は悪化していった。それでも負けたくなかった私は毎日めげずに通った。中学3年生に上がった頃、借金取りたちがお金が払えないなら、『お前自身で払えや』って私の下校中を狙って車に連れ込もうとしたの。もちろん下校中だから結構街中で。周りにいた人達はみんな、見て見ぬふりをしてた…。もうだめだ…って思った時、リムジンが止まって、中から黒いスーツを着た男性と若い女の人が出てきた。」

 

 男性と借金取りと未来の会話回想シーン。


⁇  「君たち、街中でこんなかわいい女の子を拉致しようとは感心しないな。離しなさい!無駄な抵抗をしようものなら私の部下が君たちに何をするかわからないよ。」


借金 「なんだお前は!関係ねぇだろ!この女のバカな母親が俺らから借金なんかするから、体で払ってもらうために連れていくだけなんだよ。払えないならそれぐらいするのが当然だろ!あんたにも理解できるだろが!」


⁇  「なるほどね。ことの経緯は理解できたさ。でもその子を連れていくのは理解に苦しむな。母親が借金をしただけでこの子に罪はない。この子にはまだ未来がある。その借金、私が代わりに払ってやろう。だから君たちは2度とこの子の前に現れないで頂きたい。」

借金 「は?まぁ、金が入るんなら誰から貰ってもかまわない。そのガキ解放してやれ!」

⁇  「けがは無いかい?穂香!彼女を連れて車に戻っておきなさい。」

 

 穂香と呼ばれた女性は未来を連れて車に戻る。穂香の父親は借金を返した。


⁇  「借金も払い終わったことだし、彼女の視界から消えてくれないか?君たちがいると彼女が脅えて話ができないからね。さぁ、行きなさい。」

 

 借金取りたちは車に乗り込み足早に消えていった。


父  「穂香、その子の震えは止まったかい?落ち着いたらおじさんと話をしようか。君のこれからについても話したいからね。」

 

 穂香のお父さんは、未来に優しい笑顔で話しかけ、借金取りのこと、両親のことを真剣に聞いてくれた。


父  「じゃぁ、今は施設暮らしなんだね。もし君が不便だと感じるなら。私の家で暮らさないかい?実は君のおじいさんとはちょっとしたご縁がある。車に轢かれそうになったところを助けてもらって命を救われたから今の私がある。おじいさんにはずっと幸せに生きていてほしいと願っていたのに、なかなか会えず、君のご両親の不幸も最近知って、君のことが気になっていたんだよ。私の家で生活しながら普通の暮らしをやり直してみないかい?部屋はたくさんあるから君の好きなように過ごしてくれて構わない。私どもでしっかりとサポートをしよう。どうかな?」


未来 「借金まで返していただいたのに…。その上、これからお世話になるなんて、できません…。かと言って、お金もすぐに返せません…。」


父  「お金のことは気にしなくていいよ。お金はたくさんあるけど、私は使い道が穂香に何かしてやること以外は他に何もないからね。おじさんのお孫さんを救うためのお金なら惜しいことはないよ。だから気にしないでいいんだよ。まだ中学生なんだから甘えていいんだ。」


穂香 「お父様の言う通り!私も妹ができたみたいで嬉しい!私の家で一緒に暮らしましょう!女の子なんだから可愛らしい格好もしなきゃ!お姉さんがいろいろ連れて行ってあげる!だから一緒に住も!」


未来 「うぅぅ…(泣)。家族ではない人にこんなに優しくしてもらったの初めてだから…。嬉しい…。ふつつかものですがよろしくお願いします!お金の代わりにはならないかもしれませんが、家のことは私に任せてください!」


父  「フフフ、家のことか~。それは基本的に執事やメイドがしてくるから大丈夫。私としては、君が一生懸命、自分の人生を歩んでくれるだけでいいよ。君のこれからを私達と作っていこう!」

未来 「ほんとに、ありがとうございます!」


 そして、現代に戻る。


未来 「穂香さんの家族に救われた私は、穂香さんの家の男性とはお話ができるけど、外で会う男の人、学校のクラスメートとはなかなか話せなくて男性と距離を置くようになり、離すのが苦手になってしまったんだ。逆にクラスメートは私が毎日リムジンで登校するようになってから、手のひらを返して話をかけてくれるようになったんです。穂香さんの両親と執事さんたちが海外に行ってからは、穂香さんが話してた感じです。長い話になりましたがこれが私の過去についてです。」


竜星 「ありがとね、辛かっただろうに話してくれて。普通の中学生では体験しないようなことを未来ちゃんはしてきたんだね。幼い女の子が怖い男性に囲まれたら、男性が苦手になるのも無理はないよ!でも、穂香さんのお父さんの代わりには到底なれそうにはないけどさ、困ったことがあったり、辛い時は俺を頼ってほしい。これでも武術には自信があるからさ!この話は俺と未来ちゃんの秘密にしよう。」


未来 「こちらこそ、聞いてくれてありがとう。なんか、話したら心が軽くなったような気がする。竜星なら仲良くできるような気もする!これからよろしくね!ちょっと嫌な態度とって、ごめんそれとね…ちゃん呼びじゃなくて…未来って呼んでほしいな…。」


竜星 「わかったよ、未来。俺も未来のこと知れてよかったよ。仲良くなりたかったからさ。それに比奈や南海・柚菜ちゃんとも仲良くしてやってよ。」


未来 「もちろん、みんなとも遊びたい!ほんとは今日も行きたかったんだよ…。これから楽しい思い出作っていくぞー!」

 

 未来の過去について知り、竜星は少しでも未来が笑って過ごせるように手助けしてあげたいと思った。未来は、まだ男性嫌いが若干残ってはいるが、竜星に心を開きはじめた。


 二人が部屋に向かっていると大広間の柱から⁇が飛び出してきた!


柚菜 「竜星君!ちょっといいかな。穂香さんと風花さんはしばらく帰ってこられないみたいなんだ。二人は何の仕事してるんだろうね…。だって、風花さんって私たちの大学の先輩でしょ!う~ん?まーいっか、穂香さんたちがいない間、ご飯を作る人が居ないじゃない。どうする?」


竜星 「そっか、なら俺が作るよ。そんなにいいものは作れないけど、二人が帰ってくるまで任せなせぇー。」

柚菜 「竜星君、料理できるんだ!私も少しならできるから協力して作ろ!ちなみに未来ちゃんはできたりする?」

未来 「えっ、わたし?できないよ。協力できそうにないので部屋に戻っとく!柚菜ちゃん・竜星、出来たら呼んで~」

竜星 「まったく、仕方ないなー。呼んだらちゃんと出て来いよ、未来」

 

 未来は竜星達を置いて足早に部屋へと戻っていった。部屋に戻った未来は、スマホを片手にニヤニヤしながら動画を見つめていた。


柚菜 「さっきは、未来ちゃんがいたから言い出せなかったんだけどさ、未来ちゃんと竜星君の話…少し聞こえちゃった。穂香さんのことを伝えに行こうと思ってたら、二人が応接室に入っていくのが見えて、追いかけてたら…ね。」


竜星 「あちゃちゃ、聞いちゃってたか。でも柚菜ちゃんなら内緒にしてくれるでしょ。未来ちゃんが話せるようになったら自分で話すと思うからさ、知らないふりしててよ。」


柚菜 「もちろん。口外することはないよ。でも未来ちゃんが竜星君に優しくなってくれてよかった。みんなで楽しく生活したいもん。」

竜星 「ありがと、柚菜ちゃん! (柚菜の頭を撫でる)」

柚菜 「えへへ、私も柚菜って呼んで! 『ちゃん」だとなんか距離感じちゃうじゃん!竜星君みんなのこと呼び捨てなのに私だけ違うのは嫌だ!」

竜星 「嫉妬してたの~。可愛いねぇ! 柚菜は!(笑) さぁ、ご飯作りますか!」

 

 竜星と柚菜は、夕食づくりをし、オムライスとおかず3品を机に並べ、今後の話をしながら食事を済ませた。


 竜星達の学校が始まる二日前には穂香と風花も仕事から帰ってきて、いろんな話をして盛り上がった。南海は竜星母が迎えに来て車で帰っていった。穂香は、未来が皆と食事をしたり笑っている姿を見て、心から嬉しく微笑んでいた。


春が始まるころ、ルームメイトはタメ口で話せるぐらい仲が良くなっていた。竜星・比奈・柚菜は大学の入学式の日を迎えた。


穂香 「新入生組~。起きなきゃ入学式に間に合わないよー!お姉さんが怒る前に起きなさーい!」

3人 「やばーい! 初日に遅刻はシャレにならないぞ~、ご飯はいいです!行ってきます!」


風花 「やれやれ、相変わらず騒がしい3人ね。竜星のこと見てたら⁇さんのこと思い出しちゃうんだよね。元気にしてるかな?」


穂香 「ほんとね。でもあの子たちが引っ越してきてから、家に活気が溢れてよかったじゃない。それに⁇ちゃんだってあっちで元気にしてるわよ。お父さんの話だと来年には⁇ちゃんだけこっちに帰ってくるらしいわよ。」


風花 「えっ、それ本当⁉ 嬉しすぎるんだけど。⁇さんも今の竜星君みたらテンション上がってヤバいだろうね」

穂香 「ね~。って風花、あんた今日は仕事ないんだから、学校でしょ!竜星君達と一緒に行きなさいよ。私は未来ちゃん起こしてくるから。」


風花 「今日は大学ないんですよ~。入学式があるから他の学年は休みなの!マネージャーなら把握して下さい。久しぶりのオフだからゆっくり部屋でゴロゴロします。おやすみ~」


穂香 「まったく、ほんとに⁇ちゃんに似て生意気なところがあるんだから!」

 

 この二人の会話にちょくちょく出てくることになる⁇ちゃんとは、一体何者なのか⁉そして竜星との関係はあるのか⁉その話はまたどこかで…。


 大学生編は4話からのつもりでしたが、未来の過去編が意外に長くなってしまったため、大学生としてスタートした竜星達の話は次回からスタートします。


第4話 【未来の過去と呼び方】

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