6話 大好きファーストフード
僕と亜子ちゃんは、亜子ちゃんの寝間着を探しに、近くのショッピングモールに来ていた。
亜子ちゃんなら何を着ても可愛いと思うけど、昨晩のネグリジェは駄目だ。
あれは僕の精神がもたない……。
寝る時に着るだけなので、ストレッチ性があり肌触りがいいパジャマを何点か見繕い購入した。
パジャマを買った後は、そのままショッピングモールでお昼ご飯を食べる事にした。
買い物をしている時も、なんだかチラチラファーストフードのハンバーガー店を見ていたので聞いてみると、そう言ったお店に憧れていたみたい。
昨日みたいに少し高めのお店も良いけど、なんだか家族でわいわい食べるようなファーストフードに入ってみたかったらしい。
亜子ちゃんの父親はあんなので、外食なんて連れてきてもらえなかったみたいで、外で見る飲食店全てが新鮮で、特に子供の頃に周りが良く食べていたファーストフードには憧れがあったらしい。
なので、僕はハンバーガーセットを二つ購入し、僕と亜子ちゃんの前に置いた。
どれが良いか聞いたら、わからないから何でも良いという事で、その店で一番オーソドックなハンバーガーにポテトとコーラのセットを注文した。
目の前にあるハンバーガーセットを前に、目をキラキラさせている亜子ちゃんが凄く可愛くて
「じゃあ、アツアツの内に食べちゃおっか。いただきます。亜子ちゃんも食べてね」
「はい!いただきます!」
亜子ちゃんは、ハンバーガーを一気に食べて、少し喉に詰まらせたのかコーラを一気に飲んでむせて……
あぁ、本当に可愛いな、亜子ちゃんは。
「そんなに急いで食べないでも、誰も取ったりしないよ。それに足りないなら別のも頼んで来るけどどうする?」
ゴホゴホとむせながら、物凄く恥ずかしそうな顔で僕を見ながら
「うぅぅ、ごめんなさい。とっても美味しくて…。他にも獅童君のおすすめがあれば食べてみたいです……」
もお、顔から火が出るんじゃないかってぐらい真っ赤にしながら、お代わりをしたいと言ってきたので、僕はそんな亜子ちゃんが可愛すぎて、ついつい口元が緩みながらも
「いいよ。じゃあ別のハンバーガーを買ってくるから待っててね」
「はいぃ、ありがとうございますぅ」
恥ずかし過ぎたのか、僕に笑われたと思ったのか、ちょっと涙目になりながらお礼を言っていた。
僕は、今度は魚のフライが挟まった、フィッシュバーガーを購入して、亜子ちゃんの席に持っていった。
亜子ちゃんは、僕が持っていったフィッシュバーガーを大きな口で頬張るが、出来たてで熱すぎたようで、ベロを出して涙目になっていた。
もお、本当に可愛いな、亜子ちゃんは。
僕も亜子ちゃんもセットに追加のハンバーガーも全部食べ終わり
「「ごちそうさまでした」」
そうして、僕たちは次の目的地に向かい歩き出した。
今日の目的は2つ、亜子ちゃんの寝間着を買う事と、亜子ちゃんが使う携帯を購入する事だ。
一緒に暮らす以上、相手との連絡手段は必須だ。
どうしても、僕が見ていない時の亜子ちゃんが心配になると思うから、連絡手段として携帯を買う事になった。
携帯ショップに着くと亜子ちゃんは、一目散にある機種の所に向かい
「獅童君、私のはこれで良いです」
亜子ちゃんが指したのは、キャンペーン対象機種で、新規契約なら機種代が1円の物だ。
プランも最安値にして、必要最低限の使用にとどめれば、基本料を0円に抑える事も出来る。
その変わり、その機種のスペックはハッキリ言って2~3代昔の物になっている。
容量も少なく画質も悪く、本当に最低限の機能しか備わっていない。
「ねえ亜子ちゃん、別にお金の事は気にしなくてもいいから、もっとスペックの良い機種にしなよ」
「いえ、これ以上獅童君に迷惑も掛けれないので、私にはこれで十分です」
「ん~」
僕はどうにか亜子ちゃんの気持ちを帰れないか考えている。
別に低スペックな機種が悪いとは言わない。
必要最低限のしようなら、別に支障はないのだから。
でも、迷惑を掛けたくないとか、私なんかとか、そう言った気持ちなら別だ。
僕は亜子ちゃんにもっとワガママを言ってもらいたいんだ。
そうだよ、さっきの昼食の時みたいに、もっと亜子ちゃんもワガママを言うべきなんだよ。
でもなー、どうしようかな?
「ねえ亜子ちゃん、携帯使って何かやりたいとかない?今の携帯は凄いんだよ?写真だってデジカメなんかより全然綺麗だしさ」
「写真……?」
亜子ちゃんは何かを考えだし、今度は店内の機種を見て回った。
そんな中、亜子ちゃんは1台の携帯の前で足を止めた。
「どうしたの亜子ちゃん?何か気になるのでもあった?」
そう言って、僕は亜子ちゃんの見ている機種を確認すると、最新機種では無いが店内にある機種の中では一番カメラ機能に力を入れている機種だ。
「亜子ちゃんは写真とかに興味あるの?」
「あっ、えっと」
(どんなに暗い所でも鮮明に写真を撮ることが出来る?しかも画質も店内にある中では断トツ。このカメラを使えば、大ちゃんの寝顔も取り放題!?でも、機種代10万って……)
「良いよ、それにしなよ。じゃあ、店員さん呼んでくるから待っててね」
「あっ、えっ……」
亜子ちゃんは何かを言いたそうだったが、一旦それを飲み込み
「はい、これが欲しいです……」
「うん、わかったよ。言ってくれてありがとうね」
そうして、亜子ちゃんは僕の寝顔を写真におさめる為の携帯を手に入れたのだった。
その日の夜、僕が寝静まった後に、亜子ちゃんがこっそりと起きて僕の写真を撮っていたが、僕は全く気付く事が出来なかった。
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あと、他にも色々と書いていますので、もし良ければ見てもらえればと思います。