1話 僕は彼女をお金で買った
お金で繋がる物語。
正直歪な関係ではあります。
二人はこの後どうなるのか……
僕の名前は獅童大樹
今日、僕の人生が変わった。
何となく買った宝くじで1等+前後賞が当たった。
当然、このお金で遊んでいけるなんて思ってないから、とりあえずそのお金を元に株投資を始めた。
最初は増えたり減ったり、全然お金は増えなかったが、何となく全然有名でも無い製薬メーカーの株を沢山買ってみたら、数か月後にその製薬メーカーが癌の特効薬を作ったか何だかで、株価が一気に数十倍に上昇していた。
どうせそんなに上下しないからと貯金間隔でその製薬メーカーの株を大量に買っていたが、一気に桁が増えてしまった。
1年が過ぎた頃、その株の影響もあり、僕の資産は50億を超えていた。
そうして、僕は一つの決意をした。
「そうだ、このお金を使って、亜子ちゃんを迎えに行こう」
僕には昔、大好きだった幼馴染がいた。
名前が小野寺亜子
彼女の家は、俗に言う貧困で、彼女は昔から虐待を受けていた。
でも、彼女の両親が物凄く怖くて、僕はだんだんと亜子ちゃんと疎遠になってしまった。
中学までは一緒だったけど、高校は彼女が進学しなかった事もあり、中学卒業以降の接点は無い。
ただ風の噂で、彼女は今でも親の言いなりで、働いたお金は全部両親に搾取されているらしい。
でも中卒の彼女が働ける仕事なんて、そんなに稼ぎが良い訳でも無いから、今も親に暴力を振るわれているらしい。
僕は、意を決して、昔何度も行った、彼女の家へと向かった。
彼女の家は僕の家のすぐ近くだ。
僕は、何があっても亜子ちゃんを連れて帰ると強く思い、彼女の家のインターホンを押した。
「あーん?誰だこんな時間から?」
中からは彼女の父親が出てきた。
今はまだ昼間だと言うのにお酒を飲んで家でダラダラしているようだ。
「お久しぶりです。覚えていますか?小さい頃によく遊んでいた獅童です」
「んー?あーーいたなそんなガキが。で、何の用だ?」
「いきなりですが、亜子ちゃんを僕にいただけないでしょうか?」
「はぁ??何言ってんだクソガキが。あいつがいなくなったら、俺の生活費は誰が稼ぐんだ??」
「僕が亜子ちゃんを買います。貴方の生活費という事であれば、いくらで亜子ちゃんを売ってもらえますか?」
「何言ってんだ?まあそうだな、最低月20万は生活に必要だな。それをお前が払うっていうのか?」
「そうですね、月20万として、年間で240万。貴方の年齢を考え100歳まで生きるとしておおよそ後60年。なので、生涯で約1億4千4百万ですね。では、僕が亜子ちゃんを5億で買います。だいぶ多いと思いますがどうですか?」
「はぁ!?5億だ!!マジで言ってんのかこのガキ?」
「はい、僕はいたって真面目に言っていますよ」
「てめえがそんな金、持ってるわけねえだろ?」
「では明日、また現金をもって持参しますね。そこで5億を確認してもらえれば、亜子ちゃんは僕に貰えますか?」
「本当にそんな大金を持ってくるなら、亜子なんててめえにくれてやるよ!はん!明日が楽しみだぜクソガキが」
「では、また明日のお昼頃に来ますね。その時に亜子ちゃんにもいてもらっても良いですか?」
「亜子もだ??日雇い分の日当が貰えなくなるだろうがよ!」
「では、とりあえず手付として、本日は10万置いていきますので、明日の日当分に当てて亜子ちゃんにも同席をお願いします」
「ほお、10万な。しょうがねーな、明日は亜子も連れておいてきてやるさ」
「ありがとうございます」
僕はその日は一旦帰り、その日のうちに現金を用意した。
かなりの大金なので、その日はとてもドキドキしながら、あまり寝る事が出来なかった。
翌日、12時頃にまた、僕は彼女の家に訪れた。
「こんにちは」
「けっ、本当に来やがったのかよクソガキが。とっとと中に入りやがれ」
「はい、お邪魔します」
そう言って、僕は久しぶりに小野寺家へと足を踏み入れた。
中には亜子ちゃんもいたが、化粧っ気もなく健康的とも言えず、昔の影は全然なくってやつれていた。
「で、本当に金なんて持って来たんか、クソガキが??」
「はい、こちらのスーツケースに入っていますので、中身の確認をしてください。小切手でも良かったのですが、現金の方が信用してもらえるかと思いまして」
「ふん、そんな事はどうでも良いから、とっとと開けろや!」
「わかりました、どうぞ」
そう言って、僕はスーツケースのカギを開けて、100万円の束が500束、計5億円の現金を亜子ちゃんの父親の前に準備した。
「これが、5億円になりますが、全額確認しますか?」
「おっおおっ、おぉぉぉおぉおぉおおおぉぉ!!なんじゃこの札束はぁぁぁぁ!!マジで大金を持ってきやがってるじゃねえかぁぁぁぁ!!」
「だから、5億円で亜子ちゃんを買いますって言ったじゃないですか」
「誰がてめえみてえなガキが5億円なんて持ってるなんて信じれるんだよ!?でもまあ、あれだな。この金は本当に俺にくれるんだな?」
「上げるのではなく、亜子ちゃんを売ってもらうので、先に亜子ちゃん売買の誓約書にサインをお願いします」
そう言って、僕は亜子ちゃん売買に関する書面を父親の前に出した。
まあ、人身売買なんて合法な訳ないので、何か強制出来る書面では無いのだが。
「この誓約書にサインさえいただければ、そのお金はここに置いていきます。サインをいただけないようであれば、持ち帰らせていただきます」
「はん、亜子にこんな大金を稼ぐ事なんて出来る訳ねえんだから、この金も貰うに決まってんだろ!」
そう言って、自分の娘を売るというのに、何の躊躇もなく誓約書にサインをしていた。
「ありがとうございました。それでは、僕はこれで、亜子ちゃんを連れて帰りますね」
「はん!とっとと出ていきやがれ!亜子みたいなグズでも、最後にこんな大金に化けてくれるなんて、最後の最後に、しっかりと親孝行だな!じゃあな、クソガキども!!」
そう言われ、僕と亜子ちゃんは小野寺家を後にするのだった。
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あと、他にも色々と書いていますので、もし良ければ見てもらえればと思います。