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けっちゃ面とキツネ面の赤マント  作者: ミニマムコスモス
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第三章 六星学園中学校の乱 5


     5


 ヤンキーたちは榊原ヒカルに挑みかかってはコテンパにやられて、学園内ではもう誰も立ち向かう者はいなくなった。

 遠巻きに見ていた生徒たちは次第にヒカルの周りに集まり、その薫陶を受けて、もうイジメは許さないと、自分たちで見回り隊を組織して巡回するようになった。

 数では圧倒的に優位にありながら、少数のヤンキーに牛耳られていたのは、団結心がなかったからだと、ようやく気づいたのだった。

 逆にヤンキーたちの鉄の団結を切り崩す為に、一方では魔女狩りならぬ、影狩りが行われていた。影の番長さえ倒せば、バラバラになったヤンキーなど恐れるに足らぬ。数で圧倒出来ると。

 だが、影の番長の正体を知る者は当のヤンキー連中でさえ限られているのか、下っ端を幾ら責めたてても白状しなかった。

 なので、それらしき者を片っ端から潰していけば影番に行き当たると、人民裁判は連日行われた。罪人は両腕を取られ、引き据えられて、これまで行ってきた無慈悲で冷酷な仕打ちを、そっくりそのまま受ける羽目になった。そして、赤毛を黒染めスプレーで真っ黒に染められてようやく解放されるというありさまであった。

 先生方はこれを見て見ぬ振りをした。赤毛がなくなることを望んでいた。生徒会は行き過ぎのないように見守るだけだった。早く稲垣生徒会長に戻って欲しいとみな思っていた。

 暴走族が侵入しないように、正門以外は閉ざされ、車が出入りする正門には警備隊を配置して、スライス扉の開閉をするようにしたので、学園内の平穏は保たれた。

 だが、一歩外に出ると、暴走族とヤンキーが狼のようにウロウロして待ち構えていた。

 生徒たちは集団下校することでこれに対処したが、狼たちは数が減るのを辛抱強く待っていた。そして少人数になったところを、その中の一番弱い者をほふれば、生徒たちは震え上がって子羊に戻ってしまうだろう。

 ところが、どこからともなく電動アシスト自転車に跨ったけっちゃ面が現れて、ワイヤーアクションよろしく、バタバタ倒して生徒たちを守った。

 そしていつしかこれに加えて、キツネ面の赤マントも現れて、レトロな本田CB1100Rで、族の、最新鋭のヤマハやカワサキやホンダのバイクと渡り合い、その際、長い脚が武器となって、鉄パイプを持った同乗者を蹴り落とし、バイクを蹴り倒して、族はケガ人続出、白バイやパトカーが現れる前に、赤マントを翻して走り去るという鮮やかさだった。ドジな族が、次々に警察に捕まるのを尻目に―。

 学園はそれを目撃した生徒の話で持ち切りになった。

 

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