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けっちゃ面とキツネ面の赤マント  作者: ミニマムコスモス
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第二章 水森美玖の投身自殺 8


      8


 その事件は高等部も含めて学園内に衝撃を与えた。

 理事会が開かれ、校長解任の動きが加速した。

 教頭以下教師たちはPTA対応に追われた。

 教育委員会も黙ってはいなかった。

 生徒も動揺していて、とりわけ二年一組の生徒の大半は欠席するか怯えていた。

 城島光はいつも通り登校して来て、これを生徒たちは遠巻きにして、触らぬ神に祟りなしの目で見ていたが、内心では痛快に思っている者たちもいただろう。彼らが夢見ていることを実行してくれるのだ。

 しかし、彼がまだけっちゃ面であるとは思えず、背後にヤンキーたちをねじ伏せる勢力を従えていると思っていた。現に、城島光をシメた連中がみな去勢されたようにおとなしくなっている。


 だが、、一時、鳴りをひそめていた連中が突如、反撃の狼煙を上げた。

 昼休みで賑わう校庭に、暴走族が、爆音と共にバイクを連ねて乱入して来て、逃げ惑う生徒を追いかけ回した。

 間が悪いことに、グランドでドッチボール遊びをしていた城島光が彼らにつかまり、彼女の周りを、大型バイクが取り囲んでギャンギャンいわせて走り回った。

 職員室から飛び出して来た加藤は、あわや轢かれそうになりながらその中に飛び込んだ。

 そのあとから、生徒会長の稲垣幸太郎率いる一団がやって来て、走り回るバイクの輪の中に次々に飛び込んで人間の壁を作った。

 その中で加藤は城島光の肩を抱いて寄り添っていた。

「先生こわ~い」

「心配ないから、じっとしていなさい」

 族はみな、赤や黒や青や白黄色のフェイスガード付きヘルメットを被っているから顔はわからないが、高等部の生徒も混じっているようだ。

 やがて、真っ黒なヘルメットにフルフェイスガードの男が、城島光を指さして、上下に振ったのを機に、そして、内臓マイクで何やらいって、一団は空気を震わせる重低音を轟かせて次々に走り去った。

 ―宣戦布告なのだろう。

 ワルのヒエラルキートップが(実際はまだその上があるのかも知れないけれど)、城島光とその背後の勢力に戦いを挑んできたということだろう。

 冗談じゃない。学園は騒乱の場となってしまう。それでも校長は傍観せよというのか。


 公司はその様子を土手の上から眺めていた。

 そして城島光が女生徒に成りすまして転校して来たのは、水森美玖投身自殺の真相を探る為ではないかと思う。初めから興味を示していた。同性の気安さからうまく情報を引き出して、責任の重い佐藤妙子に、”死の恐怖”を味合わせる報復を加えた。 

 それによって面白半分にイジメに加担した者たちに無形の恐怖を与えている。

 もっと重い責任のの者がいたら、死を!

 それにしても、佐藤妙子が何で? 彼女に罪があるとしたら友達を見殺しにした罪。

 それはでもイジメには加担しなかったけど、俺たちも同じだ。

 公司は頭を振って妄想を振り払った。


 


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