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51 サマー・ビーチ・レクリエーション⑥

 部屋を後にした俺はこの施設を観光することにした。

 実際の所、俺が作家であることを公表して楽しく一緒に創作したいんだけどね……。

 あの3人の誰かがプロ作家になることがあれば公開してもいいのかもしれない。


 今後ラブコメ作品の展開でこーいう所に来るお話も書きたいし、取材目的でまわるとしますか。



 ◇◇◇



 時刻は夜18時。日はかなり傾いているが沈んではいない。

 宣言通り、所長から連絡があったため俺はいそいそと観光を切り上げて、ビーチに来ていた。


 何でこの時間から……って思ったが今のビーチ状況を見て理解する。

 当然夜は海に入ることができない。

 この時間は帰宅ラッシュで大渋滞となるので早めに引き上げる家族客も多い。


 そうなるとビーチにいる人も少なくなるってもんだ。


「なんか緊張してきた」


 所長も仁科さんも九宝さんもみんな水着で来るに違いない。

 ただでさえ美しい3人が水着という裸体に極めて近い格好を見せつけるのだ……。

 絶対騒ぎになるし、俺が守らないとあっという間に騒動に発展してしまうだろう。


 3人とも美人すぎるんだよ。

 学生ラブコメだったらせいぜい学園一の美少女とその友人達みたいな感じなんだろうけど……、あの3人は世代別の学園一美少女勢揃いといった感じだ。

 野球でいえばベストナインの3人が来る感じだろうか。

 だが俺も26歳。容姿だけで顔を真っ赤にさせて狼狽えるのは恥ずかしい年代だ。

 やぁ、みんなすごく似合っているよ。綺麗だなって歯を光らせて言う度量が必要なんだ。


 よし、仕事モードで接すれば大丈夫……って水着で仕事するわけねーだろ! スーツ姿なら何とかなったのに、やっぱ水着は……。


 どよっ、とビーチに残る客がざわめく。

 俺もつられて振り返ると……。3人の美女達がビーチの客達の視線を一斉に浴びてこちらに向かって歩いてきていた。


 うわぁ……。こんなの創作の世界だけだと思ってたけど実際あるんだなぁ……。

 所長と仁科さん、九宝さんはビーチを歩き、何かを探している。俺を探しているのか。


「3人ともこっちです!」


 俺の呼びかけに答えた3人はこちらに近づいてきた。

 ふぅ……3人はパーカーを着て体のラインを隠していたおかげで俺も動揺を最小限に抑えてることができそうだ。

 そりゃ、そうか……いきなり海に入るわけないもんなぁ。


「花村さん、準備をありがとうございます」


 九宝さんが場所取りしていたことに対して労ってくれる。


 半袖のパーカーだが瑞々しい白い肌は外に出ているわけで……、普段は皆スーツ姿でいることが多いのでついつい目が行きがちだ。

 九宝さん、足細っ!俺の半分くらいしかないじゃないか。


「3人とも執筆は上手くいったんですか?」

「ええ、アニメを制覇したわ」

「書けなかったんですね」

「【宮廷スローライフ】の3巻にまた感動して泣いちゃった」

「書けなかったんだね」


「わたしはもうちょっと書きたかったんですけど……」

「九宝さんはモチベーションが高いみたいだね」


「はい、これまでにないくらい書けてますね! でも頭を休めたいとも思ったので来ちゃいました」

「ゆっくりリフレッシュできるといいね」


「陽葵ちゃん、ちょっとだけ泳ごっか」

「はい!」


 そうして仁科さんと九宝さんはパーカーを脱いでその水着姿を解放した。

 突然の出来事に俺は覚悟を決めることができず、その姿を呆然として見つめてしまう。


 やはり印象的なのは仁科さんだ。

 ぴちっとしてスーツの上からでも分かるほどの立派なものを持っているからすごいだろうなと思っていたけど、本当にすごかった。

 花柄のビキニはいかんでしょ。そんなお胸を解放しちゃいかんでしょ!


「どう、花むっちゃん」


 仁科さんがくるりとまわって、水着を見せつける。

 ぷるんと寄れるそれに俺の脳内はかき回された。


「……」

「花村くん、鼻の下伸びてるわよ」


「はっ、すごすごすご、似合ってるよ」

「えへへ、ありがとう」


 同期の中でも仁科さんの水着姿を見たやつはいないはず……。

 ちょっとした優越感が芽生える。


 肉付きの良い体はどこに触れても柔らかそうだ。

 前から良い体だと思っていたが想像以上であった。

 お尻もたまらなく瑞々しくて良き。


 しかし大きい。

 書籍のキャラクターシートを作るのに女の子の画像を二次元三次元問わずに見まくったが、このサイズ……FとかGとかあるんじゃないか。

 こんなの口に出せないし、思うだけで許してほしい……。


 でもやっぱり最高なのは笑顔の溢れる、愛くるしい顔立ちだろう。

 体よりもそっちのは魅力的に思えてしまう。

 仁科さんは本当に素敵な子だ。


 これだけ可愛くてスタイルも暴力的。仁科さんを射止める男はマジで幸せだろうなと思う。


「あ、あの……花村さん」

「ああ、九宝さん」

「わたしは……どうですか」

「おふっ!」


 仁科さんと違って、九宝さんは奥ゆかしく

 白のワンピースタイプの水着だった。

 仁科さんや所長に比べて、肌の面識を少なくしているのは自信の無さの表れだろうか。

 だが侮るなかれ……九宝さんも仁科さんに比べたかもしれないが立派なものを持っている。


 白い肌のきめ細かさはさすが最年少。黒髪ロングの素晴らしさ。

 やや長身で手足及びウエストの細さは驚愕に値する。

 特級のモデルさんかなと思うほどだった。


「陽葵ちゃん、新しい水着買ったんだよね! すっごくかわいいよ! ほら、花むっちゃん……褒めなきゃ」

「あ、ああ! とっても綺麗でびっくりしたよ」

「あ、ありがとうございます」


 両手を頬にあてて、表情の赤みを隠そうとするが隠しきれないのか、白い頬が赤みを帯びていく。

 そんな姿がとても魅力的だ。

 可愛い、可愛すぎないか、この子。


「照れちゃってかわいい!」

「に、仁科さん……浜辺にいきましょ!」


 仁科さんと九宝さんは浜辺の方へと行ってしまう。

 俺も行こうかと思ったが……所長が一人ビーチチェアーに寝転がったのだ。


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