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158(終) マジムリヤバイ

 それはみんなに全てを話した次の土曜日のことだった。

 コンビニに行こうと家の外へ出たら……隣の803号室に引っ越し業者が出入りしていたのだ。

 確かお隣さんはずっといなかったよな。


 そんなことを思っていた矢先、803号室から人が出てくる。


「あ、おはよう飛鷹」

「おはようございま……って所長!?」


 動きやすい私服姿の所長がそこにいた。

 何で所長がここに……。

 もしかして。


「ええ、引っ越してきたから今日から宜しくね」

「そういえば今週有給を取ってましたね……」

「ちょうど部屋が空いてて、引っ越し業者も今日ならって言われたからね。急ピッチで作業を進めたわ」

「……何でまた」


 所長がぴたりとすり寄ってくる。


「そんなの飛鷹がお米炊子先生だからに決まってるじゃない。まぁ、それだけが理由じゃないけどね」

「へ?」

「仁科や陽葵にこれ以上差を広げられるのは私の思う所じゃないわけよ」


 そうか……。元々所長は資産運用などの財テクでそこそこな収入を持っていた。

 このマンション一室借りるくらいならわけがないってことだな。


「ところで飛鷹。あなたは税金とか契約書とかマネジメント関係はしっかりやってる?」

「一応税理士に任せてますけど……。契約書はちょっとおざなりかもしれません」


 正直税金関係や契約書は案件がありすぎておざなりになっているところがある。

 とりあえず何とかやっているがもっとしっかり確認していたらもっと稼げたのにって話はいくつもあった。

 逆に美味しい話なのに作業しきれず、断っている案件もある。


「そうだと思ったわ。作家の先生ならよく聞く話だし。もし良かったら私がお米炊子先生のアドバイザーになってあげる。……どうかしら」


 それはわりとありがたい。

 所長はそういうのも得意なのは知ってるし。

 信用が重要なこの仕事で信頼のおける人がやってくれるのはありがたい。

 正直家事並に困っていたのは事実だ。


「いいんですか? こっちとしては願ったり叶ったりですけど」

「……飛鷹の側にいたいってのがあるけど、何よりお米先生の仕事を間近で感じたいってのが大きいわね」

「所長。では詳しい話は後でさせてください」


「あ、何で所長がいるんです?」

「あれ……所長」


 タイミングよく一緒に住んでいる一葉と家事代行でこの家に来た陽葵と鉢合わせする。

 俺は所長が803号室に住むことを全員に説明した。


「所長、ひーくんのことまだ諦めてないんですね」

「やるからには本気でやる。いつも言ってることでしょ」


「しつこい人はどうかと」

「陽葵には言われたくないわよ!」


 まったく……もう騒がしくなってしまったな。


「それじゃわたしももう帰らなくてすみますね。所長の部屋の一室を貸してください。お代は家事代行業務で相殺します」

「家事めんどくさかったしいいかもね。邪魔もできるし」


 陽葵と所長が笑い合う。


「これでもっと飛鷹にアタックできるわね」「これでもっと旦那様にアタックできますね」

「ちょっとひーくんはあたしのものって言ってるじゃないですか!」


 あー、何だか騒がしくなりそうだ。



 ◇◇◇


 お米炊子の仕事を終えた俺は802号室へ戻ってくる。


 結局全員にお米炊子であることを告げたため801号室は完全に仕事部屋に変えた。

 衣食住は802号室ですることにしたため仕事が終わったらそちらに戻りのんびりするのだ。


「おかえりなさいひーくん」

「おかえりなさい飛鷹」

「おかえりさないませ旦那様」


 これは……天国かな。

 家に戻るとえっちなメイド服を来た美女達が3人いたのだ。


 陽葵はもう正装みたいな感じになっているが、所長は化粧を落として女子高生みたいな容姿になってるし……。


 そして一葉は……すげぇ。


「一葉、着たんだ」

「う、うん……負けてられないし」


 陽葵と所長がメイド服を着て、俺にアプローチしようとしたからだろう。

 前に陽葵の服を無理やり着たときの凄さはないが、今回はサイズをちゃんと合わせている。元々スタイルは完璧なため一葉のエロメイド服姿最高です。今夜その姿でヤらせてもらおう。


「旦那様、最近一万円ご奉仕がなくて寂しいです。もっとたっぷりいじめてください」

「おふ」


 陽葵が腕を絡ませてくる。

 メイドとして甘え上手な陽葵は俺の喜ぶポイントを熟知している。

 創作の糧になるからいたずらプレイもやりたいんだよなぁ……。

 一葉には強要しづらいし、お金の力って大前提は強い


「ね~ぇ。はにゃっ!?」


 最近揉んでない脇腹をくいって揉んでやると楽しい悲鳴を上げてくれる。

 やっぱ最上級の脇腹だわぁ。


「ひーくん!」


 彼女の目の前でやってしまった!


「ねぇ……飛鷹」


 今度は所長が逆の腕に絡んでくる。

 やば……男を惑わすいい匂いがする。

 しかし見た目が若々しい……。まるで女子高生を抱いてるような背徳感が!


「こら、ひーくん!」


 おっっと! また惑わされてしまった。

 涙目の一葉が真正面から、俺を抱きしめてくる。


「ひーくんは……あたしが一番じゃないとだめなの!」


 ぐうかわ!

 巨大な胸が押しつけられて……とんでもなくイケない気持ちになってくる。


「もう仁科! 彼女が彼氏を独占するのはどうかと思うわ」

「意味が分かりません! ひーくんはあたしのものなんです! ほらぁ……ひーくん、あたしの胸好きでしょ。一番大きいよ」


「旦那様、デブと年増は放っておいて細くて若いわたしとイチャイチャしましょう」

「オラ、陽葵! 今なんつった、表出ろ!」

「一葉落ち着こうか」


 さてさて……この状況どうしたものか。


 3人の美女に抱きしめられて最高に素晴らしいし、嬉しいんだけど……、何かイケない背徳感があるような気がする。

 まぁ……この関係性(ハーレム)は追々決着をつけないといけないかな。


 今は……男として満喫させてもらおう。


「ひーくん!」

「旦那様!」

「飛鷹!」



 同僚3人はほ~んと。



「マジムリヤバイ」


 でも最高の美女達です。



 モテない陰キャ平社員の俺はミリオンセラー書籍化作家であることを隠したい! ~転勤先の事務所の美女3人がWEB作家で俺の大ファンらしく、俺に抱かれてもいいらしい、マジムリヤバイ!~



 ~完~



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