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109 わたしにお世話させてください⑦

「花村くん、陽葵。ここに呼び出された理由、分かるわよね」


 陽葵といろんなプレイをした次の出勤日、日常の業務を終え、さぁ帰るかって思った矢先の招集だった。

 事務所のミーティング室に呼び出されて、事情聴取をされることになる。

 所長の隣には真顔の仁科さんもいた。いつもはニコニコ可愛らしいのに無表情でカンロクを感じる。


 おかしい……俺は完璧だったはず。招集をされるようなことは何もなかったはずなのに……。


 俺と陽葵が横並びに座り、正面に所長と仁科さんが向かい合って座る。


「あなた達最近一緒に出勤することが多いわね。偶然かしら」


「え……たまたまだと思いますよ」


 前話の通りで元々家事代行業務は夜だけのつもりだったが陽葵はお金を稼ぎますって理由で朝も来ることが増え始めた。

 日常一緒に出勤して、一緒に帰って、夜の家政代行をやってもらい帰ってまた朝来るのが面倒という話なのでそのまま泊まって朝食を作って一緒に出勤する。


 あれ、もうずっと陽葵と一緒じゃないか、コレ。これの詳細を聞かれると回答に困る。

 陽葵、何とかごまかせよ!


「そりゃ毎朝、花村さんの家から出勤してますから一緒なのは当然です」


「ぶへぁ!」


 にこやかに言いやがった。


「そ、そうなの」

「そ、それってどどどど同棲」


 仁科さんが壊れたロボットのように震えだした。


「九宝さん、ちょっと!」

「え……いつもは陽葵って呼んでくれるのに何でそんな他人行儀なんですか?」

「ぐはっ!」


「名前呼び……あなた達随分と親密になったのね」

「も、も、も、もしかして付き合ってたりとか!」


 陽葵はゆっくりと横に首を振った。


「お付き合いはしていませんよ。わたしが花村さんを好きなのに変わりありませんが……今のわたしにその資格はないので」

「陽葵……」


 俺は陽葵の名を呼ぶ。


「今のわたしは救って頂いた花村さんにお仕えし、性のはけ口となる愛玩動物なのです」

「陽葵さぁん!?」


「花村くん」

「はい……」

「詳細を述べなさい。隠すことなく、全部よ」


 やむを得ず……俺は所長と仁科さんに家事代行の話をした。

 2000万の話も実は伏せていたんだけど……話をするしかなかった。


「はぁ……、花むっちゃん、お金持ってるんだねぇ」

「そこはいいわ。まぁ、2人とも未成年じゃないし、仕事に支障が出ないなら何も言えないんだけど……」


 とりあえず、2人とも納得してくれたのかな?


「これはチェックしなきゃいけないわね」

「へ?」


 所長は立ち上がる。


「次の休みに花村くんちに案内しなさい。陽葵の家事代行の様子を見せてもらうわ」

「え、ええ!」

「あ、あたしも行く! 自分の目で見ないと……信じられないから」


 恐れていた事態が起こってしまった。


「旦那様、大変なことになりましたね」

「旦那様!? 陽葵ちゃん、そんな風に花むっちゃんのこと呼んでるの!?」

「花村くんの趣味かしら。何のギャルゲーを参考にしたの?」


 ああ、もうやだ。

 どうしてこうなってしまったんだろう。


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