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歴代勇者の後始末  作者: なななな
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自分優柔不断なので、

……確かに冒険者は荒々しい感じの人が多いと想像してたし、期待もしていたけれども…


「オラァ!」


「グハァ!」


「ざまぁ見やがれ!」


ガキン! ピチューン! 


「このっ!」


「隙あり!」


「まだまだぁ!」


ドカーン! パキン!


ちょっと…いや、かなり荒々しすぎないですかねぇ!?

結構全員ガチだし、下手したら死にそうな勢いなんだけど…。

俺、こんな血気盛んな人達と仲良くパーティー組める自信がない。

俺の異世界勇者ライフ大丈夫かなぁ?


「こ、これは一体どういうことだ!?」


流石の宰相さんもビックリ仰天。細かった目を思いっきり見開いて良い顔してます。綺麗な緑色。ぱるぱる


「ゆ、勇者様!宰相様!」


宰相さんの叫び声でこっちに気付いたらしい兵士が駆け寄って来た。


「こ、これは一体どういうことだ!?」


台詞変わってませんよ宰相さん、どんだけ驚いてるの。

…俺?俺はビックリし過ぎて逆に冷静。


「そ、それが、『誰が勇者様のパーティーに入れるか』と口論になり、どんどんエスカレートしていって最終的には『ライバルを倒して自分の強さをアピールする』まで発展してしまい、他の候補者の騎士や冒険者も巻き込まれて…混ざって?…今の乱闘騒ぎに…冒険者や騎士団の中でも上位の人達なので我々では手に負えず…」


オイ!他の候補者も何混ざってんだ!止めろよ!

ってか候補者の人達一般の兵士じゃあ手に負えないレベルなの!?俺の今のステータスって兵士と同じくらいでしょ!?俺より強いじゃん!


「とにかくこの乱闘を早く止めなければ。急いでマジカルメガホンを持ってきてください!」


「ハッ!」


マジカルメガホン…名前で何となく分かるけどたぶん拡声機みたいな物の魔道具バージョンだろう。


それから5分後さっきの兵士がメガホンを持って走ってきた。


ちなみに兵士が来るまで宰相さんと出来るだけ大声で叫んでみたけれど誰一人全然気付かなかった。


兵士からマジカルメガホンとやらを受け取った宰相さんがメガホンを手に大きく息を吸って、


「すぅー…全員!直ちに戦闘をやめなさい!」


グォォォ!み、耳が、耳がキーンって…


流石にこれだけ大きな声で叫ばれたら冒険者も気付いたらしく、叫んでたのが宰相だと分かった瞬間に慌てて武器を仕舞った。


「まったく、勇者様のパーティーに入りたいのは分かりますが、騒ぎ過ぎです。」


「「「「「「…す、すいません」」」」」」


騒ぎ過ぎな自覚はあるのか全員(特に騎士の人達)が気まずそうな顔をしていた。


「私や勇者様が大声で呼んでも気付かないなんて…」


やれやれと頭を振って説教を始める宰相さんだが、冒険者達は今の言葉で宰相さんの隣に立って居る俺が勇者だと気付いたらしく目をキラキラさせてこっちを見て、宰相さんの説教を右から左へ聞き流していた。


「も、もしかしてコイツが…」


「言葉遣いに気を付けなさい!こちらにおわす方こそ我々の世界を救ってくださる勇者たいち様にあらせられますぞ!」


「「「「「「おぉぉ!!!!!」」」」」」


宰相さんその紹介やめてください。

なんか俺が水戸○門みたいじゃん。

確かにこれからの冒険の旅は世直しの旅のようなものだけど!


「さぁ!早く並びなさい!」


最初から決まっていたのか冒険者達が5×8に素早く並んだ。


「こちらの資料と共に確認してパーティーメンバーを選んでください。」


そう言って渡された紙には各冒険者達のプロフィールが書いてあった。


流石勇者の仲間候補者として集められただけあって全員に二つ名が付いていた。


地球だったら恥ずかしくて悶死しそうだけれど、ここは剣と魔法の異世界だからか素直にかっこいいと思う。


ただ全員凄すぎて誰を選べばいいのかがわからない。ぶっちゃけ誰でもいいんだけれど、『別に誰でもいいです。』なんて言えないし。これから職業習得の為に教えて欲しいけれど、教えてもらっておいて『じゃあさようなら』ってのも凄く罪悪感が…


今度は冒険者達の方を見てみる。

…全員期待に満ちた目でこっちを真っ直ぐに見つめてくる。そして俺の視線が通り過ぎると、一気に絶望した様な顔になる。

やめて!余計に選び辛くなる!


正直このままだったら一生決まらないと思う。

ので!俺は考えた。考えて考えて考え抜いた結果…


「全員採用!」


「「「「「「…は?」」」」」」


誰かを選ばず全員を仲間にすることにした。


一応何も考えて無い訳じゃない。

ギルド的なものを作って行く場所や敵に相性の良い人でパーティーを組んでクエストに行って、残りの人達は別のクエストを受けてもらえばいい。

そんな感じで宰相さんや冒険者達に説明したら、


「流石異世界の勇者様!斬新な発想です!」


「やっぱ勇者は違うな!」


「流石です!」


「どういう頭したらこんなん考え付くんだ?」


とまぁ意外にも好評だった。

…誰かを選べなかったから考えただけだけれどね。


「ならば他にも冒険者がいた方が効率的ですね!ギルドに所属するには冒険者はAランク以上、騎士は序列100位以上ではないといけないと条件を付けましょうか!」


ノリノリだなぁ宰相さん。


「しかしそうなると最初に考えていたものより大きな拠点となる場所が必要ですね。」


宰相さんはそう言うと少し考えて、何かを思い出した様に手をポンと打って


「そうだ!いやしかし…あの屋敷は…」


どうやら丁度空いている屋敷があるみたいだ。

反応からして曰く付きの屋敷っぽいが、どうせゴーストが住み着いているとかだろう。

レベル1で不安だけどこっちには二つ名の付いている冒険者や騎士がいるんだ大丈夫。


「何か拠点になりそうな場所があるんですか?」


「あるにはあるのですが、少し問題が…」


ほら来た。


「その問題とは?」


言ってみ?どんな相手でも数の暴力でボコボコにしてやんよ!


「実はその屋敷の前の所有者が7代目勇者の魔改造の勇者ヒロキ様でして、屋敷がカラクリだらけになってまして…」


そんな理由かよ!カラクリ屋敷って今回の場合モンスターとかより面倒じゃないか?ってか7代目の勇者はこれだけの人数が入るデカイ屋敷を何で持ってるんだ?魔改造の勇者とかかっこいいな!


「カラクリって具体的にはどんな?」


「床が開いて水溜りに落とされたり、調度品の配置を正しい配置に置き換えると開く扉など様々で、面倒なことにそれらの位置を記録したものが無く我々も全てのカラクリの位置を把握出来ていないのです。」


屋敷を丸々改造する暇があるなら魔王を倒しに行けよ。


でもこれ勇者の残した問題ならこの屋敷を使おうと使わなかろうといつかカラクリを解きに生かされるんじゃないか?

だったらカラクリを解いたらその屋敷を貰える今行く方がいいじゃん。

だが、これだけは聞いておかなければならない。


「死ぬ可能性のある罠とかはあるんですか?」


「あまり奥までは調べてないので分かりませんが、まず確実に罠はあると考えていいでしょう。」


よしやめておこう。レベル1の俺にはまだ早い。


「面白そうじゃねぇか!」


「これが勇者様との初の仕事になるんですね!」


「おっし頑張るぞ!」


ちょっと!?俺受けるなんて言ってないよ!?むしろ断ろうと…


「今までに集めた情報は全て出すので頑張ってください勇者様!」


詰んだ。逃げ道が無い。

あぁいいさ!こうなりゃ行ってやろうじゃねぇか!!


勇者の作ったカラクリ屋敷でも何でもかかって来やがれ!


いざ行かん!!魔改造の勇者のカラクリ屋敷!!!

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