装備と職業ゲットだぜ!
「本日は勇者様に、冒険で身に付ける装備を選んでもらいます。」
相変わらず高そうな朝飯を食べてから、メイドさん(昨日の猫耳メイドさんじゃなかった)に案内された部屋に居た宰相さんにこう言われた。
遂に、遂に俺にも装備が渡されるのか!
やっと王道の展開になってきたぞ!
今の装備はとても質の良いパジャマ上下だけ。武器もない。ハッキリ言ってどこからどう見ても勇者には見えない。このままじゃ舐められそうだなぁ。
どこぞのゲームの勇者と違って、最初から装備が貰えるのか。やっぱり本当にピンチならこれぐらいするよね。
「そうですか…いつ行きますか?もう今すぐに行きますか!?」
「そ、そうですね。勇者様がよろしいのなら今から行きますか。」
いかんいかん。装備についはしゃいでしまった。落ち着け、宰相さんもちょっとビックリしてたぞ。
そんなやり取りの後、相変わらず広い城を移動して武器庫の様な場所(てかまんま武器庫)に来た。
「勇者様には特殊能力『器用貧乏』があるので、いずれ全ての種類の武器を装備出来るようになるでしょう。ですので、あまり体の動きを妨害しない造りの鎧の中で最も防御力の有るこの鎧が良いと思うのですが、どうでしょうか?」
う〜ん、気遣いはありがたいけどそんな沢山の種類の武器を運用できるかな…
「あんまり、沢山の種類の武器を運用できる自信がないんですけど。」
「大丈夫ですよ。能力が発現したという事は、その能力を使いこなせる実力が有るということですので。」
そういうもんなのか?
「どんなに才能があっても、実力が無ければ能力は発現しないものなのですよ。逆に、才能が無くても努力次第では強力な能力を体得する事も出来ます。これはどの人物にも当てはまる事です。」
…結局努力が大切ってことかぁ。
嫌だなぁ。
正直コツコツ努力するとかめっちゃ苦手なんだけど。
まぁ今はまだ問題無さそうだし、能力が有る=その能力をちゃんと使えるって解釈で良さそう。
だったら用意してくれた鎧はかなり能力との相性が良いと思うし。
「それではこの鎧でお願いします。」
「分かりました。…本当はもっと強力な、それこそ国宝級や神器級の装備をお渡しするべきなのですが、歴代の勇者様の戦闘、戦死により破損又は紛失もあって用意出来たのがこれで精一杯でして。」
あぁそういえば今まで何人かの勇者が召喚されたって言ってたな。
つまり先代の勇者達が戦闘で壊したり無くしたりしたせいで国宝級や神器級の装備がもう無いと…
…国宝や神器を装備しても勝てないって例の魔王強すぎじゃね?
相討ちだけど、よく先代の勇者は魔王を倒せたな。
「ちなみに何か魔法が付与してある装備とか有るんですか?」
「そうですね…提案があるのですが勇者様の『器用貧乏』で職業鑑定士を習得してみてはどうでしょう。」
「別にいいんですけど何故ですか?」
「習得すれば、私達が口で説明するよりも分かりやすいですし、今後ダンジョン等でアイテムを入手した時持ち帰って鑑定せずに直ぐ効果が判りますし、戦闘でも相手の能力が分かるので習得して損は無いと思いますがどうでしょう。」
「そういうことなら是非」
「では今から鑑定士の者を呼んで来ますので、少々お待ち下さい。」
ありがたいんだけど今じゃ無くても別にいい気がする。
…もしかして面倒くさいとか?
いやいや救世主の勇者様相手に面倒くさいは流石に無いでしょう。
うん!これは『器用貧乏』で職業を習得する練習なんだ!そうだそうに違いない!ってかそうであって欲しい!
若干の不安を抱えながら10分程待っていると
「失礼します。」
眼鏡を掛けた白衣のザ・学者って感じの人と宰相さんが入ってきた。
「我が国一番の鑑定士のレイザル・カノスールです。」
「宜しくお願いします勇者様」
「あっ宜しくお願いします。」
「では、ちょっと拝見…」
ん?
「じぃー…」
この人めっちゃ見てくるんだけど、てか元から目付き悪かったのに今は目を細めてらからめっちゃ怖い。
「ふむ、どうやら本当に全ての職業に適性があるようですねぇ。」
『器用貧乏』のことか。
国一番にもなると本人の適性とかまで分っちゃうんだスゲェなぁ。
でも俺のは効果が7割まで減るからたぶんそこまではいかないだろうなぁ。
「実に興味深い!勇者様、この能力はどの様にして身につけたのですか!?」
「えー!?そんなこと言われても、知らないですよ。」
「なんと!?惜しい実に惜しい、この能力があれば、もっと沢山の事を知ることが出来るのに!そうだ!召喚される前はどの様な生活を!?どの様な食事を!?何か心当たりはありませんか!?」
「落ち着きなさいレイザル、恐らく異世界から召喚されたから発現した能力ですよ。それよりも早く勇者様の鑑定士の習得を手伝って下さい。」
「おぉ、そうでした。では改めて、私はレイザル・カノスールです。以後お見知り置きを。」
「宜しくお願いします、レイザルさん。」
見た目通り根っからの研究者って感じだなぁ。
あのままだと『器用貧乏』について夜まで問い詰められそうな勢いだったな。
「では早速鑑定士の習得といきましょう。」
よし!頑張るぞ!
「私は別の仕事があるので、これで失礼しますね。」
えっ、本当に面倒くさかったのか!?いや違うよね!たまたま仕事が重なっただけだよね!うんそうだ!それ以外に考えられない!
それよりも、この人と二人きりってまずいんじゃ…誰かが止めないとどこまでも突っ走りそうなんだけどこの人。
「まずは、対象の情報を引き出す為に対象の芯の部分まで見通さなければなりません。」
今のところちゃんと講義してくれているけど、終わった瞬間問い詰められそうで怖い。
「イメージとしては、中に入った後に情報を引っ張り出す様な感じです。」
そんなこんなで1時間後
「おっ?」
感覚的なことだけれど、自分の中で何かが変わった感じがした。
ステータスプレートを見てみると
高川太一 LV1
職業 勇者・鑑定士(NEW)+α
攻 80 攻防 60
魔 100 魔防 60
速 70 運 65
特殊能力
器用貧乏
となっていた。
レイザルさんの教え方が上手いのか、能力の力なのかはわからないけど、1時間って結構早いんじゃね?
「どうやら習得出来た様ですね。」
「はい、お陰様でー」
「やはり興味深い!勇者様!」
あっこれはヤバイ流れだ何とかして逃げないと。
「いやーやっぱり国一番の鑑定士なだけあって、教え方が上手ですねー。」
太一は逃げ出した!
「ありがとうございます。ですが、勇者様の飲み込みも早かったですよ。さて職業を習得して何か感じた事は、変化した事はありますか!?」
しかし回り込まれてしまった!
結局その後様子を見に来た宰相さんが来るまで3時間問い詰められた。
ちなみに装備は、
『私と何か違う情報が出てたりはしませんか!?』
と言って武器から選ぶ必要のない鎧まで全てを鑑定させられたのである程度は決まっている。
「すみませんね勇者様、レイザルはとにかく何でも知りたがるので…私ももっと念を押すべきでした。」
「は、ははは…」
その後美味い飯を食べてから、身体を洗ってベッドにイン!
今日も疲れたなぁ…




