やっぱり異世界です
読み返して思ったんですが、普通城を歩いている時点でおかしい事に気が付きますよね。
酷い夢を見た。
いきなり異世界に勇者として召喚されて世界を救うなんて、ラノベの主人公みたいな夢だったなぁ。
…あれっ?意外と悪くないような?むしろ良いような。
クソッ!夢の俺!なんで異世界に召喚されたのに気絶するんだよ!モンスターと戦うとか、伝説の武器防具を取りにダンジョンに行くとか、もっと王道の展開とかなかった訳!?
くそ〜せっかくの異世界系の良い夢だったのに覚めて欲しくなかったなぁ。
また学校かぁ〜。
ん?学校…ヤバッ!!宿題!早くやらないと!
そう思い、急いで起き上がろうとして、
ゴンッ!!
「ニャッ!?」
「痛ッ!?」
何かに頭をぶつけた。そして、悲鳴が…悲鳴?
見ると、ベッドの側に茶髪のメイドさんが倒れていた。
……誰?
「う、うにゃ〜」
よく見たら猫耳と猫シッポが生えていた。
ね、猫耳に猫シッポ!?カワイ…いやそんなことより、どういう状況なんだ一体?
周りを見たら知らない部屋に居ることに気付いた。
…もしかして昨日の異世界転移は夢じゃ…ない?
だって俺の部屋敷布団だったし。
そういえば、頭ぶつけた時痛かったし、やっぱり夢じゃないみたい。
…本当に異世界に召喚されたのか。
いや、昨日はドッキリだと思ってたからパニックになったけど、よくよく考えたら学校は無い、宿題も無い、憧れた冒険の旅…最高じゃないか!
さて、状況が分かったのはいいけど、どうしよう、気絶したメイドさんと二人きりとか気まずいんだけど。
このまま放置するのもかわいそうだよな。
取り敢えずベッドに寝かせておくか。
持ち上げられるかな?まぁ駄目だったら布団をかけておくか。
「よいしょっとぉぉ!?」
ビックリした、予想よりも軽かった…小学校低学年くらいだったぞ!?ちゃんと食べてるのか?
…もしかして王城って超ブラックな環境?だとしたらもしかして世界の為とか言って休み無しでこき使われるのかも。
は、早くここから逃げないと、でもどこに?そもそもここがどこなのかも分からないし、金も無いし。
「イタタ…あれっ私は何をして…」
「うわぁ!?」
「へっ?」
ドスン!!
「ギニャ!?」
「あっ」
驚いて落としてしまった。
でもドスンって音したな。持った時の重さと落とした時の音が比例していない気がする。
どういうことだ?
重さは小学生、音は大人…
でも見た目もガリガリって感じじゃないし、ちゃんと食べてるみたいだな。
う〜ん、やっぱり分からん!
うわ、すっごいモヤモヤする。この謎を解かないと夜も眠れないわ。
考えろ!何故この猫耳メイドさんを持ち上げたら軽く感じたのか?
よし、状況を整理しよう。
まず、まだここが異世界だと思ってなくて、宿題をしなきゃと慌てて起き上がっ…て……。
あっ…分かったわ。
たぶん勇者補正で楽々持ち上げられたんだ。
そういえば確かにLV1で城の兵士と同じくらいって驚かれてたなー。
あースッキリしたー。
でも、あれだけ考えたのに俺のステータスが高いからって…まぁいいか。
よし!スッキリしたしさっきからほったらかしにしてるこのメイドさんを今度こそちゃんとベッドに寝かせてあげよう。
「よいしょっと」
猫耳メイドさんをベッドに寝かせて、毛布をかけた丁度その時、二回のノックの後、金髪のメイドさんが入ってきた。
「ラナ〜交代の時間よ〜。」
「あっ、えと、こんちは。」
「あっおはようございます勇者様」
そう言って俺の方を見て、この猫耳メイドさんに気付いたらしく
「あっラナ!また居眠り!?すみません勇者様後でちゃんと叱っておくので。」
気絶なのに、居眠りだと思ったらしい。
っていうか、また?
いや、そんなことよりもこの誤解をといてあげないと。
「いや、そうじゃなくて…」
その後、居眠りじゃなくて気絶だと説明して誤解はとくことができた。
気絶させられた上に冤罪で怒られるとか流石にかわいそうだし、そもそも原因は俺だし…
「そうですか。勇者様は優しいのですね。」
「そんな…優しい訳じゃ、それに原因は俺ですし。」
優しいとか言われたのは嬉しいけど、この場合は罪悪感が勝って素直に喜べない。
「それでは今お食事をお持ちしますね。」
「あぁ、ありがとうございます。」
食事って朝飯なのか昼飯なのかどっちなんだろう?
窓の外は日が出てるから、夜じゃないだろうけど。
っていうか俺結構寝てたなぁ。パレードの時は確か日が出てたし、丸一日寝てたってことか?もしくはそれ以上?
後で質問しようっと。
「勇者様、お食事をお持ちしました。」
そう言いながらさっきのメイドさんがカートを引きながら入ってきた。
「こちらの椅子にお座り下さい。では、お食事を並べますね。本日のメニューは『ドラゴンステーキ』『マンドラゴラのサラダ』『各種海藻のスープ』『甘味蛇の血のアイス』です。」
最後のデザートは食いづらいなぁ。何だよ血のアイスって!?
食事として出すくらいだし大丈夫だろうけど、食欲無くす名前だなぁ。
あぁさっきの質問質問っと。
「そういえば、俺ってどれくらい寝てました?」
「一時間程ですね。いきなり倒れたのでビックリしましたよ。」
「えっ?一時間?」
「はい、一時間です。」
何が日が出てたし丸一日だ、一時間じゃねぇか。24分の1じゃん!
「まぁ、これを食べて元気を出して下さい。」
「い、いただきます」
どれから食べようか、まずはメインのステーキにしようかな。
「!!?」
ヤバイめっちゃ美味い!!
ほ、他のも…
「!!」
どれもこれも美味い!
結局すぐに食べきってしまった。
王城で働いてる料理人舐めてたわ。
これ元の日本だったら軽く万はいくぞ!?
「ごちそうさまでした。」
「ふふっ、気持ちのいい食べっぷりでしたね。」
「凄く美味しかったです。」
「そうですか、料理人達に伝えておきますね。きっと喜びますよ。」
でも本当に美味しかった。
個人的に一番驚いたのはあの血のアイス!本当に血なのかを疑うくらい甘かった。
流石ファンタジーやることが違うぜ!
「失礼します。」
ファンタジー料理に感動してたら、あの時の心配してくれた宰相さんが入ってきた。
「お身体の具合はどうですか?」
「あっ大丈夫です。心配かけてすいません。」
「いえ、お疲れだったのでしょう。こちらこそ配慮が足らず申し訳ありません。」
「いえ本当大丈夫です。ホントそういうんじゃないので。…あっパレード!パレードはどうなったんですか?」
話題転換半分の質問だけど、その返答は
「まだ民衆は待機させています。準備は出来ているので勇者様の体調が良ければいつでもできますよ。勿論後日でも大丈夫ですので、始めるタイミングは勇者様にお任せします。」
とのこと。
これ以上待たせるのも悪いし、体調も良いから今から行こうかな。
「体調も良いので、すぐにしましょう。」
「本当に大丈夫ですか?無理だけはしないでくださいね?」
「本当…大丈夫ですので。」
「そうですか、では今案内しますので、付いてきて下さい。」
広い城の中を宰相さんの後を付いて行って例の門の前まで来た。
「開門!!」
本日二度目の開門宣言の後、門が開き、
「「「「「「「ワァーー!!!!!」」」」」」」
全くテンションの下がってない民衆の声援に包まれた。
そして馬車の二階に案内されて、登ったところで音楽が流れて馬車が動き始めた。
その後城下町をぐるっと一周して城に帰ってきた。
もうすっかり夜になってしまった。
さっき馬車の上から屋台の様なものが見えたし、この後は祭りでもあるんだろうなぁ。
「お疲れ様でした勇者様」
「あっはい、お疲れ様でした。」
実際ただ座って手を振っているだけなのに凄く疲れた。
勇者スペックでこれなんだから、もっと動き回っている夢の国の人達はもうバケモンだわ。
「お疲れでしょう。今部屋に案内しますね。」
「ありがとうございます。」
めっちゃ疲れた。もうベッドにそのままダイブしたい。
そう思いながら、ドアを開けて、
「勇者様〜!どこに行ったんですかあ〜!!」
例の気絶していた猫耳メイドさんが泣きながら部屋の中を探してた。
かわいそうに…
これからやっと勇者としての冒険の旅が始まります。(たぶん)




