グラディックス撃退作戦
時刻は昼過ぎ、場所はトスレフォ大森林。
周りにはギルドメンバーの冒険者や騎士以外にもたくさんの冒険者と騎士がいる。
さて、今現在王都の外には暴食の魔獣グラディックスが出没している為王都の外に出ることは一部の例外(グラディックスの監視等)を除いて禁止されている。
では確実に一部の例外に該当しない俺達が何故王都の外にあるトスレフォ大森林に居るのか。
それはワーク兄弟に出したクエストに関係する。
『グラディックス撃退作戦』
この作戦名を聞くだけでバカジャネーノ?と言いたくなる様な作戦で重要な役割を担うのがワーク兄弟なのだ。
作戦の概要はこうだ。
1.ヘイトワークの結界でグラディックスのスキルの封印とステータスの減少
2.ワーク兄弟達別働隊が転移の魔法陣のある地点まで誘導
3.魔法陣に誘導されたグラディックスを火山の火口に転移させる
分かっている。事はそう簡単には進まないだろう。
大体ワーク兄弟が魔法陣まで誘導するまでにグラディックスにやられてしまったらその時点で作戦は失敗となる。
他にも魔法陣をタイミングよく発動できるのかとか他にも色々問題はある。
が、それらを踏まえてもグラディックス撃退の為に出された作戦案の中ではマシな方なのだ。
それくらいグラディックスは規格外のバケモノなのだ。
国はずっと居座り続けるグラディックスをなんとかしたいと思っていたし、俺は俺でギルドのワーク兄弟の不評をなんとかしたいと思っていたのでちょうどよかった。
そして日時が決定され綿密な準備をする事数日。
遂に作戦の決行日になった。
既にワーク兄弟達別働隊はグラディックスの元へ向かっている。
魔法陣を設置し終えた今出来るのは作戦の成功を祈りながら待つ事だけだ。
※ホリック・ワーク視点
「兄様お願いします!」
「…」
結界を張る様に頼むと兄様は無言でスキル封印とステータス減少の結界を張ってくれた。
結界の範囲は兄様を中心として半径約20メートルほど。
普通ならばなんの問題もない範囲だがかなりの巨体を誇るグラディックスを範囲に入れながら誘導しなければならないので決して十分な広さとは言えない。
適度な距離を保ちながら攻撃を避け誘導する。
ハッキリ言おう普通ならば不可能だ。
しかし、私には兄様がいる。兄様のお陰で不可能な事がとてつもなく難度は高いが可能な事に変わる。
それに今回は私達兄弟以外にもグラディックスを誘導する役割を担った別働隊の人々がいる。
兄様の結界に入る訳には行かないので別働隊の人々は遠距離攻撃を得意とし、かつ機動力に優れる面々で構成されている。
作戦計画中に質問があったが、兄様の封印の結界はスキルの発動を阻害するものでありスキルを無効化するものではない。なので結界外で発動されたスキルならば結界内に入ろうとその効力を発揮する。
遠距離攻撃を得意とする人が集められたのにはこういった理由がある。
しかし相手は暴食の魔獣グラディックス。
スキルを封印しステータスを減少させたところで簡単に相手どれる存在ならば今この時まで存在していないだろう。
こんな規格外の存在を相手に油断など絶対にしないがより一層気を引き締めなければならない。
そう思ったその時。
(いた!)
グラディックスを発見した。
ちょうど魔獣の群れを襲っている途中だった。
私達にとっては幸運な、襲われている魔獣達にとっては不幸な事にグラディックスは一度食べると決めた獲物には喰らい尽くすその時まで執着する。
魔獣に意識が向いている今こそ結界の中に入れる絶好のチャンス!
私は作戦開始の合図を出しながらグラディックスへと走った。




