挫折
危ねぇ。
タイトルに(仮)付けたままだった。
まだ誰にもバレて無いはず…。セーフセーフ。
「ファルマ様!どうか私を弟子にしてください!」
今、俺はもしかしたら初めて心の底から教えて欲しいと思いながら教えを乞いているかも知れない。
学校の授業では教えて欲しいなんて欠片も思わなかったのに…というか授業中寝てて何を聞けばいいのやらって感じだったし。
だが!学びたいという欲求を知った今なら!勉強も楽しく感じたり!ひいては某強欲の魔女みたいなレイザルさんのことも理解することも…いや、やっぱ無理だわ。
閑話休題。…は、しない!閑話続行!
ファルマ様、フルネームはファルマ・マゲイヤ。
この人は歴史上稀に見る魔法の天才であり魔法の常識を数回覆した。代名詞である無詠唱等の技は、御年83歳の現在でも衰えることなく、全魔法使いの憧れであり目指す目標であるまさに生ける伝説。
今度こそ閑話休題!
「お願いします!無詠唱をどうしても習得したいのです!」
「ほっほっほ。勇者様方は皆熱心ですなぁ。」
皆?複数形ってことは、もしかして。
「あの…俺以外にも無詠唱を習得しようとした勇者が?」
と、ちょっとした疑問を尋ねてみたら。
「えぇ、今までの勇者様方全員に無詠唱を習得したいと言われましたぞ。
やはり自分で言うのもなんですが、無詠唱は使えれば強力ですからなぁ。
若者の頑張る姿はやはり良いものですなぁ。ほっほっほ。」
「ハハハハ、ミンナネッシンデスネー。」
多分、今までの勇者達も強くなる為に無詠唱を習得しようとしたんじゃない気がする。
絶対自分と同じで動機が不純な奴が居る。断言する!
「さて、勇者様。先に申しておきたいことごございます。今から教える無詠唱は、勇者様でも習得出来ない可能性があります。」
え!?
「無詠唱を習得出来た人間はこの世界の人間では私しかおりません。この世界の人間で無い勇者様方でも、習得出来たのは『魔導』の勇者様や、『召喚』の勇者様といった『魔法に特化した』勇者様だけです。
勿論話に聞いている勇者様の能力『器用貧乏』で習得出来る可能性もございますが、最悪習得出来無いということを念頭に置いておいて下さい。」
…ま、マジか。不安になって来た。
「とわ言え、仮に習得出来ずとも詠唱してからの魔法発動迄の時間や、魔法の威力上昇など全く無駄という訳ではございません。」
そ、それならまぁ。最悪習得出来無くても…。
いや!それでも勇者として習得してみせる!
「長々と失礼しました。ですが本当に習得出来たのはほんの僅かしか居ませんので習得出来ずとも気に病む必要は御座いませんぞ?」
そうか。ファルマ様は習得出来無かった時に落ち込まない様にさっきの話をしたのか。
「分かりました!ご心配いただきありがとうございます。習得出来なくても無駄にしないように頑張ります!」
「ほっほっほ。その意気ですぞ。是非頑張ってくださいませ。」
「はい!これからよろしくお願いします!」
こうして俺の無詠唱習得の為の修業が始まった。
雨の日も、風の日も、暴食の魔獣がなんかしてる日も、来る日も来る日も無詠唱を習得する為に何が起きていようが全部無視して頑張った。
そして2ヶ月が経った日。遂に、
俺の心が折れた。
いや、マジ無理。




