誰か!この中に観測者は居ませんか!?
ぼや〜っと徐々に意識がハッキリしてくる。
自分の目覚めはこんな風にゆっくりである。人によってはパッと起きる人もいる。俺はそんな人が羨ましい。
さて、意識はハッキリしてきた。が、瞼が重い。とても重い。少し開いても直ぐに閉じてしまう。
理由は簡単だ。俺を起こすまいとする敵ーーー通称二度寝四天王ーーーが起床を妨害しているのだ!
まず第一の刺客である枕が立ち塞がる!
だが、個人的には一番攻略しやすい敵だ。比較的あっさりと攻略。
ふっ奴は四天王の中でも最弱!二度寝四天王の面汚しよ!
しかし、直ぐに布団という第二の刺客が現れる!
いや、正確には布団と布団内部よりも温度の低い外気の第二、第三の刺客のコンビだ。
だが、布団内部に少しずつ外気を入れる事で攻略する。
そして、最後に立ちはだかるのは諸悪の根源、人間の三大欲求の一つ睡眠欲だ!
こんな身近に敵が居たとはな!
だが、俺の強靭な精神力(笑)で第四の刺客である睡眠欲も撃破!
これで二度寝四天王との戦績は5388戦中4275勝1113敗だ!
そんな毎朝恒例の激戦(?)を勝ち抜き、起床する。
寝坊した時は別だが……。
さて、下らないことを考えながら起床したは良いが、睡魔とか関係無く体がだるい。頭もクラクラする。
症状としては貧血に一番近…ハッ!!
そうだグラディックスとの戦いで本当に血を失ってたんだった!
腕はどうなった!?
あっ!こっちは右腕だった!こっちだこっち左腕!
視線を落とすと、そこには傷一つ無い俺の左腕が存在していた。
「ほっ。」
っと息を吐くのも仕方ない事だろう。
かなり焦ったけど、腕が無事で良かった。
つい嬉しくて、左腕を撫でた。撫で続けた。
腕を撫で続けてどれくらいの時間が過ぎただろうか。
10秒なのか、はたまた15秒なのか、あるいは20秒なのか…。
だが、その喜びの時間も急速に終わりを告げる。
ふと、冷静になって自分を客観的に見た。するとそこに居たのは、
自分の腕を撫でる自分。
「…」
絶望した。
いや、違うんだ!俺はこんな特殊な趣味は持ち合わせていない!いたってノーマルだ!
そう、これは全てあのグラディックスが悪いんだ。
今はまだ無理だが、いずれ力を付けたら…付けたら……どうしてやろうか。え〜とにかくボコボコにしてやる!
よし、そうと決まったらコツを教えてもらうとか模擬戦するとかして実力をつけよう。
ただでさえ他の人より技量もレベルも足りてないのだから。
とりあえず、リビングに居る奴に教えてもらおう。
そしてリビングに降りると、
「おお、たいち!腕は大丈夫か?」
「たいち!腕の調子はどう?」
「よぉ!腕、治って良かったな!」
と出迎えてくれた。
「ありがとう。おかげさまで腕、治ったよ。不調とかも無いしやっぱ魔法ってスゲェな!」
本当。魔法って凄い。
もう左腕は駄目だと覚悟…する時間はなかったけど、やっぱ腕はある方がいいに決まってる。
「ところで、オハン達は?大丈夫なのか?」
そうあの時一緒にクエストに行った面々が居ないのだ。
「あぁあいつらなら、城に呼び出されたぞ。」
「ちょっ!?城って!大丈夫なのか?」
城って…もしかして解雇とか?腕治ったんだから全然いいってば!
「あぁ大丈夫よ。報告とかだから。」
おぉよかった。報告か。だとすると、
「いつ帰ってくる?」
「3時間前に出たから、そろそろじゃない?」
と話していると、丁度玄関のドアが開いて件の五人が帰ってきた。
「おっ!噂をすれば。」
「帰ったか。」
だが、帰って来た五人は開口一番に、
「「「「「誰かこの中に観測とか出来そうな奴は居ないか!?(居ない!?)(居ねぇか!?)」」」」」
…。
「「「「「「…は?」」」」」」
「「「「「だ・か・ら!この中に観測とか出来そうな奴は居ないのか!?(居ないの!?)(居ねぇのか!?)」」」」」
「ど、どうしたよいきなり…。」
全くだ。
そんないきなり『飛行機で「この中にお医者様はいらっしゃいませんか!?」』みたいなこと言われても…。
「実はあのグラディックスの動向を!」
「今すぐ観測隊を組むの!」
「あんの暴食の魔獣を!」
「グラディックスの監視をだな!」
「観測出来る人材探してる!」
「ダァーー!!!いっぺんに喋るな!聞き取れん!誰か一人が代表して話せ!」
「「「「「…」」」」」
「譲り合うなぁ!!!」
「「「「「では(じゃあ)俺が(私が)」」」」」
「「「「「…」」」」」
「こ、コイツら!」
「ぶふっ!」
何これコントかな?
ペインのツッコミがいい味を出してるなぁ。
これは高川興行から6人組の芸人が誕生するか!?
目指せ!M-1!
まぁふざけるのもこれぐらいにして、
「で?何故に観測出来る人を?ん〜オハン!」
なんとなく一番真面目そうなオハンを指名。
「実はだな、かくかくしかじか…」
「ふ〜ん、なるほどなるほど。」
簡単に纏めると、俺達がグラディックスに遭遇しました。グラディックスは超危険で、遭遇した場所がそこそこ近場だから、こっちに来ないように見張る必要があると…。
「でも誰か居たっけ?」
「いや、観測者って魔物とかの生態を調べる研究者とかが就く職業だろ?非戦闘職じゃん。ここにはそんな冒険者も騎士も居ねぇよ。」
「だってさ。」
「「「「「やっぱりか…」」」」」
どうやらある程度は予想していたみたいだな。
「ふむ、たいちに観測者を習得してもらうのも手だが、期間が不確定の任務で長期間拘束するのも…」
うっ。ただ見張るだけの仕事で長期間拘束されるのはちょっと勘弁。
「仕方あるまい。こちらには条件に見合う人材は居なかったと言うことで、冒険者ギルドを当たろう。」
よかった。長期間拘束される事はどうやら無いみたいだ。
「冒険者ギルドに行くのか?頑張れよ〜。」
「ハァ。めんどくせぇ。」
「本当にそうよ。」
「これもグラディックスのせいだ!」
「同意見。」
「諦めろ。任務を承った以上最後まで完遂せねば。」
こうして、五人はため息を吐きながら、冒険者ギルドへ向かって行った。
皆様あけましておめでとうございます。
えー今回は深夜テンションで大分はっちゃけてるのでいつも以上にふざけてますが、どうか温かい目で読みながら見逃してください。
今後ともよろしくおねがいします。




