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歴代勇者の後始末  作者: なななな
16/30

行きはあんまり良くない帰りは…

『トスレフォ大森林』ルサレベ王国の東側に位置するほぼ手付かずの巨大な森だ。

この森が手付かずなのには理由がある。

一つはこの森が広大すぎること。

よくテレビで土地とかに『東京ドーム○個分』という表し方をするが、この森はテレビで放送される時は絶対にそんな紹介のされ方をするだろうというくらいに広大なのだ。

…まぁ東京ドームがどれくらいの広さなのかわからないけど。

そしてもう一つは魔力が充満していること。

このせいで、魔物は多くそして強くなる。魔物が多くて強いならば、開拓する人達以外に護衛を雇わなければならない。

もうその時点でかなりの費用と労力がかかるのだが、それらの問題もなんとか解決できたとしても、魔力が充満しているせいで木の成長が早く、開拓が遅々として進まないのだ。

それ以外にも色々理由はあるのだが、主な理由はこの二つだ。

そして俺はこの広大なトスレフォ大森林で、


「グルァァァ!!!」


「メェェェ!!!」


「クソがぁぁぁぁ!!」


魔物の群れに追われていた。


この森に生息している魔物は、

最低でも3メートル大きければ5メートル程の大きさの巨大な狼の魔物のグレイトウルフ。

2メートル〜3メートル程の大きさで魔法で眠らせてくる羊の魔物のスリーパーシーフ。

今度は逆に小さい10センチ程の大きさのスズメバチの様な魔物で必ず50匹は群れていることと毒針が厄介なポイズンビー。

等々森らしく獣や蟲の魔物がほとんどだった。


今俺達を追いかけているのは、


「クソ!羊と狼が共闘してんじゃねぇ!!」


グレイトウルフとスリーパーシーフの群れだった。

いやおかしいだろ。

グレイトウルフがスリーパーシーフを追いかけてそれに巻き込まれたとかならまだ分かるけど、どう考えてもそんな感じじゃ無いもん。

こっちにしか敵意向けてないもん。

流石異世界、地球の常識なんて全然当てはまらない。


「敵が多すぎる!」


「とにかく俺達はこのままこいつらを引きつけるぞ!」


今回のパーティーメンバーは、

騎士序列9位福復の二つ名のリーン・ホーリー。職業は神殿騎士。

騎士序列13位鈍重の二つ名のオハン・アースレウス。職業は重騎士。

Sランク冒険者で岩拳の二つ名のヤーングール。職業は拳武闘家。

Sランク冒険者で氷風の二つ名のグラス。職業は魔導士。

Sランク冒険者で風矢の二つ名のヴィンダ。職業は弓使い。

そして俺の6人だ。


今は俺達が引きつけて、それを木の上からヴィンダとグラスが弓と魔法を撃って数を減らしたいってる。

ちなみにヴィンダはエルフで、ヤーングールは狼系の獣人、オハンは竜人だ。


ヴィンダはエルフなので軽々と木の上を飛び跳ねて弓を引くことができるが、人間のグラスにはそれは厳しいのでヴィンダが抱えて移動している。

おかげで大分魔物の数が減った。

後は真正面からでも大丈夫かな?

そう考えていたのは俺だけじゃ無かった様で、


「そろそろ良いだろう。迎え撃つぞ!」


そこからは少し苦戦したけれど、なんとか全て倒しきった。

眠らされた時は焦ったが、直ぐにリーンが治してくれた。


その後も何度も魔物と遭遇しながら探索して、なんとか目的のハンマーを見つけ出せた。


このハンマーは『破壊神の鉄槌』という神器で、本来は何トンもの重さがあるのだが、装備者には重量が軽減されるらしい。


やっとだよ!

もう何日も探してたんだよ!

てか広すぎるんだよ!この森は!

魔物もしつこいし!


ポイズンビーの巣の近くに来てしまった時なんか巣から次々と出てきて最終的には1000匹はいたぞ!小さいから攻撃が当たり難いし、範囲の広い火の魔法は森の中では使えないし、同じく範囲の広い風は相性が悪かったし。


グレイトウルフの群れは遭遇回数は少なかったけど、一回一回が数が多いし。


スリーパーシーフは何故か偶にグレイトウルフと行動を共にしていた。


野宿中にグレイトウルフの群れの縄張り争いに巻き込まれたりとか…色々あった。


とわいえ、やっと探していた神器を見つけることが出来た。


「さてと、見つけ出せたことだし帰るか。」


「はぁ〜。やっと帰れる。」


グラスが疲れた声を出す。

そりゃうんざりもするよなぁ。


「…でもこの森は自然豊かでいい森。」


ヴィンダはエルフだから自然豊かなトスレフォ大森林は気に入った様だ。


「うむ、静かで落ち着くな。」


オハンも同意見な様だ。


「でも魔物が鬱陶しいんだよなぁ。」


それには同意見だヤーングール。魔物が居なければ本当にいい場所なんだけどな。


「まあまあ感想は後で出し合えますし、この森には魔物が居るんですから早く森を出ましょう?」


「そうだなぁ。良し!帰ろ帰ろ。」


「賛成。」


「うむ。」


その後はあまり魔物に遭遇しなかったし、森の外側まで直ぐにたどり着けた。

よく行きはよいよい帰りは怖いと言うが、今回は完全に真逆だったな。


「流石に疲れたな、暫く休んでいたいよ。」


「そうだな。我々もたいちも良く頑張った。休息も必要だろう。」


そんなことを話しながら森を出ようとしたその時だった。


「…むっ!伏せろ!」


オハンの声に従い伏せると高速で頭上を何かが通り過ぎて行った。


何なのか最初は分からなかったが、どうやらグレイトウルフだった。

…何故?


「一体何が…?」


そう言いながら後ろを振り向くと、オハンやヴィンダ達が青い顔をしていた。


「お、おい…どうした?」


「ぁ…ぁぁ……。」


全員の視線を辿ると、その先にはティラノサウルスの様なフォルムの…スライム?が居た。


「何だよあれ!?」


「…暴食の魔獣グラディックスだ!」

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