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歴代勇者の後始末  作者: なななな
10/30

魔改造の勇者の屋敷攻略! 後編

ブラッドがキレて隠し扉を破壊して無理矢理進もうとしたせいで俺達は下の部屋に落とされてしまった。

落とされた先の部屋ではブラッドとブレイトの2人が大声で叫ぶ。


「ブラッド!何も考えずにすぐ行動するからこうなるんですよ!」


「うっせぇ!このゴーレムに勝ったら進めるんだろ?だったらこっちのが手っ取り早いじゃねぇか!」


「そうじゃなくて、考え無しに突っ込むなと言ってるんです!馬鹿じゃないんですか!?」


「んだと!?上等だ!表でろ!」


「2人とも今はそれどころじゃ無いだろ!」


目の前にゴーレムが居るのに喧嘩を始めた2人。

しかもブラッドは密室で表出ろと言うアホっぷり。


他の連中もやれやれと苦笑い。もう少し緊張感を持って欲しい。


相手は感情の無いゴーレムだから特に反応が無いけれど、言語を理解出来る奴が相手だったら緊張感の無さに調子が狂うと思う。


このまま喧嘩が続きそうだったが、ゴーレムが大人しく待ってくれる筈もなくガシャガシャと音を立てながらそれぞれの武器を構えてこちらに向かってくる。


流石に武器を構えられたら無視出来ないらしく、口ではまだ喧嘩してるが、体はゴーレムの方を向いて戦闘態勢に入る。


しばし睨み合いが続いたが、そこはムカついて隠し扉を破壊したブラッドさん。堪えきれずに能力で生み出した剣を引き連れて突っ込んで行く。


それが合図となり、両者共に動きだす。


編成はブラッドとブレイトの2人が前衛。

ペインとマクスとアリスが中衛。

ロイとミザリーと自分が後衛。


本当は色々出来る自分は中衛がいい筈なのだが、万が一があってはいけないと後衛に配置された。


「シッ!」


ブラッドが最初から装備している魔剣でゴーレムの腕を斬り飛ばし、能力で生み出した剣で細かく切り刻む。


「セイッ!」


ブレイトが気合いを込めて聖剣でゴーレムを真っ二つにする。


「ハァ!」


「フッ!」


ロイの土魔法で生み出された槍がゴーレムの身体を貫き、仮面を歌舞伎役者の様な仮面に変化させたマクスが殴り飛ばす。


「いくわよ!」


「みんな頑張って!」


アリスがバフデバフをばら撒き、ミザリーがリジュネの魔法を唱える。


「…」


圧倒的過ぎて言葉を失う。


自分も弓や魔法で攻撃はしているが、『器用貧乏』の効果で性能が7割だからか倒すのに時間がかかってしまう。具体的には自分が一体倒す間に他は2〜3体倒すくらい。


結局苦戦のくの字も無く、どんどん倒していき、あっという間に全てのゴーレムを倒してしまった。


『まさかこんなに早く倒すとはね。まぁいいや先に進みたまえ!』


そう声が響くと、壁の一部が動いて階段が出来た。


魔改造の勇者のヒロキって人はどれだけギミックを作っているんだろうか。

あと気になるのはまるで見ているかの様にスピーカーから声が出ることだ。一体どこまで予測して録音していたのか。


…こんなことする暇あるならさっさと魔王倒しに行けよ。


と心でヒロキって人に文句を言いながら階段を登る。


元の部屋に戻ったが、なんと扉は開いているが、壊れた筈の壁が元通りになっていた。


修復機能まであるらしい。

落とされてから戻って来るまで約10分。こんな短い間に直してしまう技術力…。

何度も言うけどこんなことしてないで魔王を倒しに行け!


通路を進みまた部屋に出る。

ただし、今度はボタンが無い。

代わりに壁に備え付けられたテレビの液晶とその下にある見覚えのある機械とコントローラーらしきもの。

どこからどう見ても、完全にファ○コン。


『さ〜て、次はテレビゲームだよー!って言っても分からないか!アハハハ!詳しくはそこの説明書を読んでねー。勿論全クリしなきゃ扉は開かないからね。』


テレビゲームだの全クリだの知らない単語が出てきてみんな首をかしげている。


刺さっているカセットは誰もが知る超有名なアクションゲーム。これなら説明書なんか読まなくても操作方法は分かるしクリアしたこともある。なんならショートカットすればもっと時短出来る。


やっと活躍出来る!


「ゼンクリだのテレなんとかだのごちゃごちゃうるせーんだよ!隠し扉なんてこうしてやる!」


「あっ!これなら俺分かーーー」


「ウオラァァ!!」


ブラッドがまた壁を攻撃する。

そして崩れ落ちる壁。

そして開通する通路。

そして流れるサイレンの音。

そして開く床。

そして俺達は落ちーーー


なかった。

なんとブラッドが俺達の足元に剣を出現させて足場にしたのだ。


「よし!これならすぐに進めるな!」


「でかしたわよブラッド!」


「ナイスだブラッド!」


「そんなことより早く進みましょう。」


少し悔しそうなブレイト。それを見てニヤニヤするブラッドに続いて通路を進む。


…ゲームしたかったなぁ。


通路を進むと今までよりも大きな部屋に出た。

そして感じる違和感。

何に違和感を感じるのか探すと、原因はすぐに分かった。

扉と通路の場所だ。


なんと今度は堂々と扉があった。

そして通路の場所とは、今までは壁の丁度真ん中に通路が開通していたのに今回は真ん中から右側にズレていた。

そのことからここが他のルートとの合流地点だと思われる。

そして扉の先が目的地だと思う。


意を決して突入する。


中は棚の並んだ意外と普通な部屋だった。


奥へ進むと机があり、椅子に誰かが座っていた。


「誰だ!?」


ブレイトが剣を構えて問いかける。


「まさかここまで来るとはね。けど最後のはないでしょう?あんな方法で罠を回避するとは思わなかったよ。」


どうやらずっと見ていたようだ。通りで色々とタイミングが良かったと思っていたんだ。良く聞くと声も同じだし。


「質問に答えろ!お前は何者だ!?」


ブレイトが叫ぶ。


「あぁごめんごめん。僕の名前はミジェントル・ライマン。魔改造の勇者である浩樹様によって創造され、この屋敷の守護を任されたアンドロイドさ。君達には自律型ゴーレムと言った方が分かりやすいかな?」


「なっ!?ゴーレムが意志を持っているだと!?」


ミジェントル・ライマンと名乗ったこのアンドロイド(見た目は完全に人間)はカラカラと笑うと。


「まぁ普通はそう思うよね。それだけ浩樹様は天才だということさ。」


まるで自分のことのように胸を張って誇らしげな様子のミジェントル。


「さて、そっちの質問には答えたし今度はこっちの質問に答えてもらおうかな?ここには何をしに来た?浩樹様は魔王を倒しに出ていてここには居ないよ?」


ん?もしかしてヒロキって人がもうこの世に居ないことを知らないのか?


「まて、ヒロキ様が魔王を倒しに出ているだと?」


「ああそうさ。浩樹様は世界を救う為に旅をしているのさ!」


やっぱりそうだ、知らないんだ。


「「「「「…」」」」」


「?どうしたんだい?みんなして黙って?」


「とても言い辛いが、ミジェントルといったな?よく聞け。魔改造の勇者であるヒロキ様はもう何年も前に…戦死したのだ。」


ブレイトが辛そうに顔を歪めて言った。


「なん、だ…と?」


「到底受け入れられないだろうが事実なのだ。」


「嘘だ!浩樹様が死ぬわけ無い!出鱈目を言うなぁぁぁぁ!!!!!」


ミジェントルが怒りの形相でこちらに襲いかかって来た。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



よく小説等で、最強な筈のロボットが負ける原因として、感情を持ったことによる焦りや迷い等があるがそれらは間違っていないのかもしれない。


ミジェントルは強かった。地下に居たゴーレムとは比べ物にならないくらい強く、背中からは何本もの触手を生やし、それぞれの触手の先からビームや銃弾を発射し、身体には電気を纏って攻撃して来た。


だが、怒りで冷静さを欠いており、動きが単純だった。全然戦闘経験の無い俺でも分かるくらいにハッキリと。


怒りで冷静さを欠いていなければもっと苦戦していただろう。


まぁ今は縄で縛られて無力化されているけれど。


「…なんとなく気付いていたさ。」


俯いて静かだったミジェントルが話しだす。


「幾ら宿屋とかがあるとはいえ何年も帰って来ないのはおかしいって。それでももしかしたらと淡い希望を持っていたけれど…。」


「安心して。魔王は先代の勇者のセイキ様が倒してくれたわ。」


ミザリーが安心させるように微笑みながら言うと、


「そうか。そのセイキって人が浩樹様の仇をとってくれたんだな。」


「あぁ。だが今も残党がいる。徹底的に仇を討つと考えて我々に力を貸してくれないか?」


そう言いながらブレイトがミジェントルに握手を求める。


ミジェントルは、


「協力しよう。浩樹様を手にかけたことを絶対に許さない。」


そう言いブレイトの手をとった。


こうして魔改造の勇者の屋敷の攻略は屋敷とミジェントルという戦力を手に入れて大成功に終わった。

ミジェントル・ライマンは『ありふれた職業で世界最強』のミレディ・ライセンをイメージしました。

名前もほぼ逆の意味にしただけです。白米良さんすいません!

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