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7話 硬直

(こいつ…突然何を?)

突然塀を殴るという行為に驚きを隠せなかった、高木タカギ 硬希コウキだったが、とにかく能力者の血。しかもただの能力者ではなく、神谷 木実という老婆の血を体内に注入した明音をただで逃がすつもりは無かった。

「貴様を…!!ここで始末させてもらうぞ!」

血を体内に入れられてしまっては、回収は出来なくなる。とにかくここは、厄介事を減らす為に明音を殺す。

「え?」

明音は立ち上がった。しかし突然膝が動かなくなった。バランスを取る為に、手の平を塀に付けると、手の肩から指の先まで硬くなり、全く動かなくなってしまった。

「これは!!何が起こっているの!?」

「俺の…」

ポケットからナイフを取り出す。

「能力だ…」

男が塀のさっき殴った部分の真横にきた。とにかく明音はまだ動く左手を前に出して、パッチン!と指を鳴らした。

「何をしている…」

左手まで動かなくなってしまった。しかし指パッチンと同時に、突然塀から衝撃波が放たれる。

「これは!?うぐぅ!!」

衝撃波が硬希の左頬に命中し、体が遠くに吹き飛ばされる。向かい側の塀を貫通した。

「体が…動くようになった!元に戻った!!」

先ほど殴り、衝撃波が出た塀に触る。

「これが私の…能力…」

明音はさっきの現象を見て自分の能力を理解した。

「どうやら殴ったり蹴ったりした部分にその衝撃を蓄積させて、一気にその衝撃波を発射する。でもあんな強く塀を殴ったかな…」

能力者は通常の人より運動神経や腕力、脚力などが強く、例え能力を使わず、何年も運動をしていなかったとしても、力士やボクサーに普通に勝てるほどの力はある。この時明音はそれを知らなかったので、塀を殴った力が本当は塀を粉々に壊す程の力だったのが分からなかった。

「こ…いつ…」

塀の瓦礫から体を起こし、明音を睨み付ける。

「まだやろうってんの?」

「血を持ってた時は…その血を回収するだけのはずだった…だが…お前!能力者の血を注入するって事は…どういう事か分かってんのか?」

「今の感じ…血を注入すれば、能力を得るという事。違う?」

「…そうだ…。そしてお前は能力者の世界に入った。ただでは帰さんぞ…」

「くっ!!」

すぐに明音は戦う姿勢に入った。と言っても柔道も空手も何もやってなかったので、映画とかの見様見真似だったが。

「か!かかって来なさいよ!!」

ゆっくりと明音に近付く。そして突然足を止めた。

「ここまで来ればもう良い」

「はぁ?何言ってんの?」

「お前はもう俺の能力の範囲内だ」

明音は腕時計をチラリと見た。もうそろそろで時間が来てしまう。早く倒さないと遅刻してしまう。

「じゃあ私から行かせてもらうわね!」

力強く踏み込み、硬希の方へ走り出した。その時だった。最初に前に出した右足が動かなくなった。

「これは!?また!硬…く!!」

でも硬くなり始めた。そして顔以外動かなくなってしまった。

「体が…動かない…」

「俺の能力だ。冥土の土産に教えてやるよ。俺の身長と同じ距離…つまり176cm以内に入った者は、体動かすとその動かした部分が硬直していくんだよ…。だが……心臓や口や鼻など、生きる上で必要な部分は固まらない。そこが弱点だ。だがな…そんな弱点…無いのと同じだ」

ナイフを下に向けた。その刃の先には明音の頭があった。顔を上に向けて、そのナイフを見つめた。

「さぁ死にな」

硬希がナイフを降ろそうとした瞬間、明音は口を開くと、歯をガシッと音がなるぐらい強く閉じた。その時、明音の右足が下から押し上げられた。

「なっ!?」

硬希が目を大きくして驚いた。一瞬で明音の体は硬希の能力範囲内から出た。しかし前を見るとナイフがこちらに飛んできた。

「これは!?」

「俺は組織の暗殺部隊だ。驚きはしたが、そんな事で隙を作るほど、俺は甘くない」

明音は手を前に出して、人差し指と中指を一瞬で閉じた。2つの指の間に奇跡的にナイフの刃が挟まり、目の前でナイフは止まった。

「危なかった…」

「そんな奇跡が2度、3度続くかな?」

ナイフの刃を硬希に向けて、今度はその場で右足の裏を勢いよく地面に叩き付けた。

「何をする気だ?」

「こうする気よ」

指をパッチンと鳴らすと、地面から吐き出される衝撃波により、明音はかなりのスピードで飛んだ。

「ふん!!」

ナイフを前に出した。しかし硬希はスッと横に動き、その攻撃を躱した。

「なんだ…?その攻撃は…」

明音の腕はナイフを前に出した時硬くなってきたが、飛んだ勢いですぐに能力の範囲から逃れた為、能力はすぐに解除された。明音はナイフを地面に刺し、体の勢いを緩め、そして止めた。

「ふう…」

「どうした?それがお前の攻撃か?能力者のバトルは殺し合いの様なものだ。つまり相手を本気で殺すつもりで勝負をしろ…じゃないと…」

硬希は再び明音に向かい歩き始めた。

「お前自身が死ぬ事になる」

明音の目の前まで来た。もう身長の距離など関係ない。明音の目と鼻の先に硬希の足がある。ナイフの刃をまた下に向けると

「今度こそ死にな…」

と言って、明音の頭部に狙いを付けて、ナイフを振り下ろした。しかし明音はニヤリと笑い

「死ぬのは貴方よ…」

明音は体を後ろに動かした。ナイフからは逃れたものの、まだ能力の範囲からは逃げられていない。しかも動いた事により、体が動かなくなってしまった。

「馬鹿め…」

「そうかしら?」

まだ動く右手の指をパッチンと鳴らした。するとさっき勢いを止めるためにナイフを刺した跡のある地面から、ナイフの刃の形をした空気の塊が出てきた。

「これは!?」

「言ったでしょ?死ぬのは貴方だって…」

ナイフの形をした空気の塊が顎に刺さり、頭からその空気が出て行った。顎の下から頭の先まで貫通され、血が出た硬希はその場で倒れ、動かなくなった。

「はぁはぁ。早く学校に行こう…この場にずっと居たら、色々とヤバイだろうし」

明音は走って学校に向かった。

能力者プロフィール


高木タカギ 硬希コウキ 26歳


身長176cm 体重 79kg


好きな食べ物

ラーメン


見た目・7、知力・7、体力・6、スピード・5、器用・6、破壊力・6


能力

自分の身長(176cm)以内に入った者が動くと、その動いた部分が動かなくなる。しかし心臓や顔の部分など、生きる上で最低限必要な部分は硬くならない。


説明

武器はナイフ。体が硬直した人間をナイフで確実に殺す。組織の暗殺部隊である。最初は明音の血が目的だったが、その血を明音が体に注入した事により、明音を殺害しようとする。基本無口な方。

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