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6話 謎の老婆と血

トゥルルルトゥルルルガチャ

「もしもし?」

『ボス?こちら偵察チーム副官 烏丸 飛鳥』

「飛鳥か。どうかしたか?」

『俺は翼が怪我しているので偵察出来ませんでしたが、部下 鳩丸ハトマル 鳴海ナルミからの情報です』

「なんだ?」

飛鳥は鳴海と言う能力者から伝えられた事を話した。

「そうか…」

ボスと呼ばれる男は、話を全部聞くと一旦スマホを耳から離した。その後再びスマホに耳を近付け

「幹部の方にこの事を伝えたか?」

『勿論。伝えました』


学校が終わり明音は家に帰っていた。

「関わるなと言われたけど、一緒に帰る事も出来ないなんて…」

足を止め、ちょっと寄り道でもしようかと思った。単なる気紛れである。いつもなら真っ直ぐ帰るのだが、今日はそんな気分になれなかった。


町の中をただただ歩いていた。公園を見つけ、そこのベンチに腰掛ける。

「昔はよくここで遊んでたなぁ」

輝との思い出に耽っていると、1人の老婆を見つけた。

「誰?あの人。見ない顔だな」

特に気になるような事では無いのだが、明音は立ち上がり老婆に近寄る。

「すみません。どうかしましたか?ずっとウロウロしているみたいですが…」

「いやぁね…長く生きていると、この町の風景も随分変わってるなぁと思いましてね」

「はぁ…」

何言ってるんだろうと思い、適当な返事で返す。

「私は神谷カミヤ 木実コノミ。あなたの名前は?」

「広島 明音です」

「そう…」

すると木実は突然明音の肩に触れて来た。

「なっ!?」

「あなた悩んでいるみたいね」

「え!?なっ何を!!」

一瞬木実の手が光った気がする。

「そんな貴方にはこれをあげる」

「これって…」

血だった。突然手から血を出したのだ。注射器入りの血が。

「安心しなさい。能力者の血には血液型なんてあってない様な物。例え違う血液型でも、血が固まるなんて事はないから大丈夫。だからそれを注入しなさい」

「何を言ってるんです!?血がなんなんです!?というか誰の血…」

「私の血」

木実は落ち着き払った声で返す。

「私は能力者。それも特別なね…」

そう言うと木実は立ち去って行った。

「次会えるのがいつになるかは分からないけど、また会いましょう」

少し笑みを浮かべ暗い夜道の中消えていく。追いかけようとするが、既にあの老婆は居なくなっていた。

「能力者の血…これに何の意味が…」

普通こんな得体の知れない、しかもそれが血と言われると、誰も体内に入れたくない。明音もそう思い、どう処理するかに悩んだ。

(こんなの貰ったって、何も出来ないしな…どうしよ)

取り敢えず注射器が割れないように、ハンカチで周りを覆って、鞄の中へ入れた。


翌日

輝と一緒に登校する事も出来なく、1人で登校していた。

(はぁ…家に帰った後、どうやって処理するか悩んで、結局処理出来ないままこの血持ってきちゃったな)

目の前に1人の男が突っ立っていた。耳にスマホを押し当てていて、誰かと話している。明音は気にせずに、横を通り過ぎた。

「……分かった。こいつか」

男はスマホの電源を切った。その時明音の足が突然動かなくなる。一歩も前に出さなくなった。

「え!?」

前のめりになり、そのまま地面に倒れる。

「急に…何?」

「…お前昨日老婆に話しかけられた…らしいな」

「?」

先程電話していた男が、明音の方を向いて話しかけてくる。

「どうしてそれを!?」

「…それは関係ない…」

明音の腹を蹴ってきた。

「うぐぅ!!」

「…それに質問しているのは俺だ……。質問して良いとは言っていない」

「ぐっ…」

明音は鞄から手を離してしまった。鞄の中身がばら撒けてしまう。注射器も出てきた。

「なんだ?その赤い液体が入っている注射器は…まさか…あの女の…」

「え?」

男は突然走る。さっき蹴り飛ばしたので、明音と男の距離はかなりあった。明音はあの血に何の価値があるのか分からなかったが、直感で男に渡してはいけないと感じた。腹を抑え、体をひこずりながら、注射器を取りに行く。

「渡さない…」

「それはこっちの台詞よ!!」

男が手を伸ばした。しかしコンマ1秒の差で、明音が注射器を手に入れる。

「くっ…!」

明音は男から離れた。そして咄嗟の判断で、明音は注射器を自分の腕に刺した。

「一体この血がどれほどの価値があって、貴方が何の為にこれを手に入れようとしているのか分からないけど、これは渡してはいけない。それは分かる!!そして!昨日木実さんは、私にこれを注入しろと言った!何が起こるか分からないけど、これを体内に入れれば、貴方の手に渡る事は無くなる!!」

「こいつ…何を…」

血がどんどん減った。そう、明音は血を体内に注入したのだ。

「何が起こるのか分からないし、自分が何をしでかしているのかも分からない。だけど私の考えている事が合っているのなら、貴方は組織の人間でしょ。そんな奴にこれを渡すわけにはいかない…」

「自分が何をしているのか…能力者の血を体内に入れたら、どうなるのか…貴様ぁぁ!!」

自分の身に異変が起こっているのが分かった。しかし何が起こり、何が変わって行っているのかは分からない。しかし何かが変わっている。

「私の体に何が起こっているの!?」

男が近付いてくる。そしてナイフを出してきた。

「殺せとは命じられてはいない…しかし。貴様が…能力者の血を、しかも奴の血を注入した事で、状況が変わった…。事が大きくなる前に、貴様を殺させてもらう…!!」

その時明音は横にあった塀を殴った。

「!?」

(さっきから直感だけに頼っているけど、今はそうするしかない。それに本能的に何か感じる。それに従って今は凌ぐしかない!!)

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