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5話 銃VS紙

麗は地図を持って買い出しに出ていた。綾が料理の材料が無いという事で買いに行こうとした時に

「私が行きます。街の道とか覚えたいですし」

「そう?危ないんじゃないの?」

「大丈夫です。もし敵が現れたら、返り討ちにしてやりますから」

そう言って麗は家から外に出た。そして地図を持ち、街中を歩いた。


暫く歩いていると、不自然な事に気付き始めた。いや気付いてはいたが、自分が方向音痴なのだろうと思い、何度も戻ったりした。しかし

「何か…おかしい…」

自分はさっきから地図通りに歩いていた。なのに今歩いているのは、行こうとしているショッピングモールとは全く別の道であった。今居るのは人気の無い路地裏だった。

「どういう事!?いつから道を間違えたの!?」(違う…間違えているんじゃあない…。これは…これは!!!)

その時1枚の紙が落ちてきた。嫌な予感がした。すぐにその紙から離れた。紙が地面に落ち、パラっと開いた。その時紙から手榴弾が出てきた。

「まずい!!」

手榴弾が爆発した。麗は角を曲がり回避しようとしたが、なぜか何もないのにぶつかってしまった。

「なっ!?なんで!?」

手榴弾の破片が足に刺さる。

「うぐぅ!!」

「追い込んだぜ。麗。意外と早くバレたから焦ったが、まぁこれで良いや」

「貴方達は誰よ…」

「俺の事忘れてんのか?」

その時男の電話が鳴る。

「もしもし?」

『麗は記憶を失っている。リーダーの情報だ。間違いない。それから殺すな。捕らえるだけにしろ。との事だ』

「あぁ?」

麗は破片の刺さった左足をひこずりながら、壁に掴まり立ち上がった。

「どうやら記憶がある私と知り合いのようね…」

「いいや。言ってしまうとこっちが一方的に妬んでるだけだがな」

「?」

男は紙を開き、ペンで何か書き始めた。麗は右手からデザートイーグルを出し、紙に何か書いている隙を狙い発砲した。

「おいおい。どこを撃ってんだ?」

弾は男の目の前で止まった。しかも空間にヒビが出来た。男は紙を開いて見せてきた。紙にはAK47と書いていた。

「能力者は…まさかこいつだけではない!?」

紙からAK47が出る。

「どんな手を使っても良いんだったよな?捕らえるんだったら」

『あぁ』

男が足に銃を撃ってきた。麗は左足をひこずり、避けようとしたが弾を数発受けてしまった。しかし不自然なことが起こった。前から撃ってきたのに、弾は脹脛に命中したのだ。

「まさか!!」

麗は何もない自分の後ろ目掛けて銃を撃つ。その時悲鳴が聞こえた。

「ぐぁぁ!!てめぇ!!」

「そういう事だったのね。だから私が角に曲がろうとしたのに、見えない壁にぶつかったのか」

麗はさっき逃げようとしたのに、見えない壁によって進めなかった道と、その向かいにある壁を見た。

「やっぱり違うわ。よく見たら…」

麗は壁に手を突こうとすると、手が壁の中へ入った。

「風景が逆になっているのね!!つまり貴方はずっと私の前に居たと思っていたけど、本当は私の後ろに居たということ!!」

「くっ…」

「そしてこの能力は貴方がさっきから電話しているそいつの能力ね。貴方の能力は見た限り、紙に物の名前を書き、それを出す能力。なるほど。コンビという訳ね。そして私はずっとこの風景を逆にする能力により、人気の無い所に連れて来られた」

その時風景が歪み始めた。風景は変わっていき、さっき壁だった所に道が見えるようになり、逆に道だった所に壁が出てきた。そしてあの男が後ろに現れた。更に別の男が拍手しながら、歩いて近付いて来た。

「いやいや。素晴らしい察知能力だ。こりゃあ幹部のお気に入りになるわな」

「くっ。てめぇ。まさか能力を解いたのかよ…」

「気付かれたんだ。もう意味が無いだろう?まぁと言っても50%だけどね」

「?」

麗は新たに出て来た男にも銃を向けた。

「君は素晴らしい勘の良さを持ってるね。素晴らしい。本当に素晴らしい。君の事が好きになりそうだ」

「何が言いたいのよ!何か言いたいのなら、ハッキリと言え!!」

「君は背景を逆にするのが、僕の能力。そう言っていたね?実際は違う。僕の能力は周りの背景を変えるの能力。特殊系だ」

その時周りの光景が段々変わっていく。そしてあっという間に、アメリカの様な高い建物や英語の看板などが並んでいる街になった。

「これは…」

「背景を逆にするだけの能力で、お前をこんな人気の無い路地裏に連れて来れる訳ないだろう?」

建物が元に戻っていく。

「君を攫いに来た。リーダーの命令でね。大人しくしてもらうよ」

「くっそ…」

「良い加減に立ちなよ。あの子は女の子で、足に手榴弾の破片を食らってるのに立ってるよ」

「俺とアイツを一緒にするんじゃねぇ。この依怙贔屓やろうとな」

「?」


警察署

「はぁ」

春明は書類を沢山机に並べて、徹底的に調べていた。如月 麗についてだ。

「何かあの子について分かれば良いんだが…」

麗が組織の1人だったという、春明の直感ではあるが、とにかく少しでも暗殺組織に近付きたい。片っ端から、書類を漁った。

「…!?これは!!」


「依怙贔屓ってどういう事?」

「まぁ後でじっくり話すよ。その前に捕らえさせてもらうね」

また背景を変えようとしてきた。しかも変えられるのは、背景だけではなく、自分達の姿も変えられる。それはあの麗に撃たれた男の位置が変わっていた事から推測出来る。

(もし姿を消すという事も可能なら…いや出来る。その証拠にさっき奴の姿が見えなかった)

もしそうなったら麗は必敗である。

「とにかく完全に変わる前に、この場所から逃げないと!!」

麗は背景が完全に変わる前に、走り出し人混みの中に混じった。男達はその後追ってくる事はなかった。

(危なかった…これで隠れられたし、もし見つかってもアイツらだって、普通の人達の前で能力は使いたくないでしょう)

2人は麗の足の血を辿り、麗を尾行したが麗が全然人混みを離れない。それにずっと付けていると、周りの人からも怪しまれるという事から、一旦諦める事にした。


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