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4話 警察署

「牛タン美味いか?」

「はい」

かなり金持ちの家系だったのだろうか。麗は姿勢正しく、礼儀正しく、目の前の牛タンを食べていた。

「輝さんは食べないんですか?」

「ん?あぁ。俺は良いや。あまり腹が減ってない」

「そうなんですね」

「あっ!!輝くん!!」

突然店に入ってきた少女が手を振って、輝の名前を叫んだ。

「あっ。明音か」

広島ヒロシマ 明音アカネ。輝の幼馴染である。

「ん?そこの女の子は?彼女?」

「違えよ」

「私は如月 麗と申します。記憶を失っていまして、現在南部 輝さんの家に泊まらせてもらっている者です。今町を案内してもらっていました」

「へぇ」

明音が同じ近くの椅子を持ってきて、麗の横に座った。

「あんた能力者?」

小声で質問をしてくる。麗は頷いて「はい」と答えた。ふぅんと明音は言う。

「貴方は?」

「私?私は普通の人間。でも安心して私は差別なんてしようと思ってないから」

「俺の幼馴染だ。安心しろ」

「なるほど」

目の前の牛タンを食べ終わるのを確認すると、輝が立ち上がって

「それじゃあ行くか」

「どこに行くの?」

「警察署です。私の捜索願が来ていないかの確認です。無くてもまた明日行くつもりです」

「私も行って良い?輝くん」

「ん?別に良いが。危ないぞ」

「なんで?」

輝はここに来る前の烏男の件を明音に話した。自分達の近くに居ると、能力者に襲われるかもしれない。そう伝えた。明音は「平気平気!」と言って、無理矢理輝達に付いて行く事になった。

「輝さん。大丈夫ですか?足手纏いじゃあないですか?」

「それは流石に言い過ぎだ」


警察署に着くと輝が自分の名札を受付に見せた。するとすんなり奥に入れてもらえた。

「こんな簡単に入れるもんなんですね」

「あぁ。普通は無理だが、父さんが優秀だからな。能力者とバレたら普通は警察なんてクビなんだが、クビになっていない時点で、まぁ特別扱いって感じだ」

「輝くんも何回か犯人逮捕に加わってるから、特別に入れてくれるのよ」

「なるほど。輝さんの家族って凄いのですね」


「これはこれは。春明の息子さんと昨日の能力者ではないか。あと…」

「私は輝くんの友達です」

「なるほど。それで何か用かね?」

「如月 麗の捜索願が届いているか聞きたいんですが」

「来てないよ。一度もね」

「分かりました」

今日の所はこれで帰る事にした。


警察署に出ると麗が輝に言う。

「何か冷たい人でしたね」

「あの人は能力者差別側の人間なんだ。優秀なら仕方がないが、基本能力者と分かったらクビにしたりと、まぁあんまり俺は好きじゃない」

「最低な人ね」

「クビにされないという事は、輝さんのお父さんは余程優秀という事ですね」

「まぁ犯罪者を結構捕まえてきたからな。何せ父さんの能力自体が捕らえるたりするのに向いてるからな」

母親の綾も能力者で、能力は相手が嘘を吐いているかどうかを見分ける能力であるという事も話した。

「まぁ専業主婦だからあまり意味の無い能力だけどな」

「嘘を見破るですか」

「そうだ。その母さんが麗。お前を見て普通に接しているという事は、記憶を失っているという事自体は本当だという事だ。なぜ名前とかは覚えてるのかは知らんが、とにかく記憶を失っているのは本当の事。嘘だったらとっくに母さんにバレてる」

「へぇ。じゃあ麗ちゃんで良いのよね。麗ちゃんは本当に記憶を無くしてるんだ」


その後も色々と話をした。気が付くと夕方になっていた。3人は家に帰る事にし、明音と途中で別れて南部家に帰った。

「ただいま」

「おかえり。どこ行ってたんだ?」

「色々とな。警察署にも行ってきた。麗の捜索願が出ているか確かめる為にね」

「で?どうだった?」

「何も…変わった事と言えば、烏男に襲われた。というより…こっち側から襲ったと言うべきか」

「視線を感じたので」

麗がキッパリと答えた。

「まさか銃を使ったのか?」

「はい。敵かと思ったので。現に敵でしたし」

「危険だと思ったら撃つ癖は無くした方が良いぞ…。下手したら犯罪になるんだから」

「以後気を付けます」

話をしていると、綾が料理が出来たと言って、晩御飯を机に持ってきた。4人はTVを見ながら、晩御飯を食べた。


〜翌日〜

「さてと学校に行くか」

「学校にですか?」

「あぁ。そういえばお前はどうするんだ?学校に行くのか?」

「私は分かりません。春明さんや綾さんに聞かないと」

綾が歩いて来た。

「麗ちゃんはそのうち同じ高校に行く事になるわ。でもまだ手続きとかがあってね。もうちょっと後になるの」

「なるほど。分かった」

輝は靴を履き家から出た。そして明音と合流して、一緒に学校に向かった。

「さてと麗ちゃん。料理とか作れるの?」

「いいえ。さっぱりです」

「そうなのね。教えてあげましょうか?」

「はい。お願いします」


「輝くんは麗ちゃんが組織の人物だと思う?」

「まぁ可能性は大きいと思っている。記憶を失っていると言っても、名前とかは覚えているから組織に意図的に記憶を消された。と俺は思っている」

「名前だけど。如月 麗が本名だと思う?」

「いいや。偽名だと思う。まぁ手掛かりが無い以上、如月 麗として調べるしかないだろうな」

「そうね」

そして学校に着いた。教室に入ると、輝は明音の側で小声で呟いた。

「お前はもう関わるな」

「え!?」

「ここからは俺の直感だが、組織に一気に近付く事になる。麗が鍵なら尚更な。下手したら殺される対象になるかもしれない。能力者である俺や父さん達は対処出来るが、普通の人間のお前はどうしようも出来ない。簡単に殺される。だからもう関わるな。この戦いが終わるまでな」

「そっ!そんな!!」

その時チャイムが鳴った。先生が入って来て、生徒達は席に座っていった。

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