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30、ハデナ火山 〜 アトラとケトラの関係

ブックマークありがとうございます。嬉しいです!

皆様ご心配をおかけしました。熱も下がりましたので、投稿を再開します。こんな序盤にお休みしてしまい申し訳ありませんでした。

昨日お休みした分は、明日…はまだ体調に自信がないので、明後日に2話投稿させていただこうと思っております。

いや、ほんとキツイですね、インフルエンザ…。来年からは予防接種しようと心の底から思いました。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

 僕は、転移魔法陣のクリスタルを奪って休憩施設を強襲した悪霊の討伐を……むちゃぶりされていた。


 魔力は大丈夫だとしても、体力が減っているような気がしたので、念のため固定値1,000回復のポーションを飲んだ。


(ん?これ、僕は全回復するのかな?)


 僕は、ギルドで冒険者登録をしたときに測った体力HPは、確か750くらいだった。

 でも、ナタリーさんから前に、僕は神族だから、測定値は半分くらいに出てくると聞いたのを思い出した。

 ってことは…


『ライト、また、うじうじしておるのか!』


(わわっ!)


『アイテムで回復できるものは、種族に関係ないのじゃ!常識じゃ!じゃないと説明書きが嘘になってしまうのじゃ!』


(えっ?じゃあ、体力HPも魔力MPもあの数値?)


『そうじゃ。タイガにも歩かないと、体力は残念なままだと言われておったじゃろ』


(た、確かに、山道を下るのが辛くて霊体化してふわふわ降りようとしたのを止められた…)


『それ以外の消費しない能力はだいたい半分に出るらしいが、きっちり半分ではないようじゃ』


(そ、そうなんですね)


『うむ。正しい数値が知りたくば、妾が見てやってもよいぞ?』


(えーっと…無料ですか?)


『な、なぜ、そのようなことを聞くのじゃ』


(だって、女神様は…)


『なんじゃ?』


(いえ、何でもないです…)


『ふむ。それより今は、ヤツをさっさと浄化するのじゃ』


(でも、ヤツが纏っているピリピリ風が…)


『そんなものは無視すればよいのじゃ。ライトの深き闇に、耐えれるわけはないのじゃ』


(えーっと…)


『うじうじするでない! ヤツはライトより弱い。さっさと浄化してくるのじゃ』


(は、はい。でも、具体的に、どうすれば?)


『………。』


(…圏外、ですか…はぁ)






『オマエ タチ ハ 、ナニモノ ダ?』


 ヤツは、ピリピリ風を纏わせながら、ユラユラとこちらに近づいてきた。

 ケトラ様が僕達を庇うようにして前に出る。


『シュゴジュウ ヲ 、シタガワセテ イル ノカ』


 そう言うと同時にヤツは、ピリピリ風をぶつけてきた。キィン!

 しかし、ここは転移魔法陣の近く。クリスタルの妖精のバリアがこれをはじく。


『ケッカイ カ? ナラバ…』


 ヤツは、全身に力を込め、大きく膨らんでいった。そして、ヤツはピリピリ風に変わって、漆黒の闇を纏わせ始めた。

 そしてじわじわと近づいて来る…しかしクリスタルの妖精のバリアは作動しない。


(闇だけになった?チャンス到来!)


 僕は、僕達を守っているケトラ様の前に出た。


「お兄さん、無茶しないで!」


「ケトラ様は転移魔法陣を守ってください。僕は大丈夫ですから」


『ホウ、ナメタ クチ ヲ…』


 ヤツは僕を先に片付けようと思ったようだった。

 僕が、少し離れるとついてきた。

 そして僕の進行方向に先回りしてきた。もう逃がさないというかのように。


(別に僕は逃げてるわけじゃない!)


 僕が立ち止まると、ヤツはニタニタして僕に近づいたり離れたりしている。この状況がそんなに楽しいのか?

 僕は、休憩施設でのことを思い出していた。突然の地震のような強襲、燃え上がった木々、そして倒れた人達の魂を喰っていた姿。

 さらに、施設建物を徘徊し、中にいる人達を絶望させ、レオンさんにあんな決意をさせた…


「許さない!」


『オロカナ、ゴミムシ ガ』


 ヤツは、身に纏っていた闇を僕に向けて放つ。

 バリア!を念じる。キィン!


『ナマイキ ナ』


 ヤツは近寄ってきた。おそらく僕に直接、闇をぶち込もうとしてる。


(きた!)


 僕は、右手に力を込めた。ヤツの闇を消しさりたい!ヤツを浄化したい!そう強く願って…


『バリア デ、フセゲヌ ゾ。シネ!』


 ヤツの闇が迫り来る。僕は右手をヤツに向けた。そして、ヤツの闇が僕の右手に触れたとき、強い白い光が、僕の右手から放たれた。


(よし!成功!)


 僕の目の前から、ヤツは消え去った。跡形もなく浄化されたのだ。






 ちょちょっと、なによ!いまの。ケトラは、驚きすぎて、ひっくり返りそうになっていた。

 それに、白い光がまだあたりにキラキラしていて、その光の中にいるライトの姿も、彼女の目にはキラキラと輝いて見えていた。

 お兄さん、かっこいい…。きれい…。


 そして、ハッと我に返る。お兄さん怪我してないかな、と心配になり、思わず駆け寄った。



「お兄さん、大丈夫?怪我してない?」


「ケトラ様、大丈夫ですよ。ケトラ様の方こそ…あれ?」


「どうしたの?」


「この光の中にいれば簡単な怪我は、治るはずなんですが、ケトラ様の肩の怪我は?」


「あー、これは、治癒魔法では治らないの」


「呪詛ですか?」


「たぶん、そんな感じなの」

 

「あの、そのサイズだとよくわからないので、人型になってもらえませんか?」


「ん?いいけど…」


 赤い光に包まれ、ケトラ様は初めて会ったときの姿に変わった。

 僕は、『眼』に力を込める。すると、ケトラ様の右肩に小さな黒い塊を見つけた。

 僕がそれに触れようとすると、一瞬ケトラ様が固まる。


「あ!す、すみません。女性の胸近くを前から触ろうとして…う、後ろからにします」


「え、あ、うん」


 僕は、ケトラ様の背中側から、手を霊体化!し、肩の黒い塊に触れた。回復!を掛けても確かに消えない。

 ならば、蘇生! すると黒い塊から何かがパリン!と割れるような振動が伝わってきて、もう一度回復!を念じると、肩はきれいに治った。


「黒い塊は、消えましたが、肩の調子はどうですか?」


 ケトラ様は、右腕をブンブン振り回して、うんうんと頷いてらっしゃる。


「お兄さん、すごいね、あの、あたし、びっくりした!」


「よかったです。でも僕から見れば、ケトラ様の方が何十倍も凄いですよ?僕を守ってくれて、ここまで運んできてくれて、ありがとうございます」



 するとケトラ様は、突然また、出会ったときのように、僕にギューっと抱きついてきた。


「ケトラ様、ギューっとしたら苦しいですってば」


「あ、ごめん、ゆるくする」


(うぅ…全然ゆるくなってないんだけど…)


「甘えん坊さんですね、ケトラ様は」


 僕は、そう言って、彼女をあやすように、頭を優しく撫でた。手を止めると悲しそうな顔で見上げてくるので、しばしの間、ナデナデを続けていたのだった。







「あっけなかったですねー」


「ほんと、一撃で…」


「ジャックの呪詛の摘出のときは、スクリーンやったからわからんかったけど、清浄の光、ちょっとした広範囲の回復魔法やな」


「あっさりと出来ちゃうんっすね、闇の反射って発動条件がシビアなんじゃないんすか?」


「ライトは、あれしか攻撃魔法的なもんできへんから、他のと混ざることもないんやろ」


「しかし、あの呪詛に比べれば悪霊なんて、ザコでしょうけど、こうもアッサリと消し去られると少し複雑ですね」


「複雑なんは、あっちやろ。あれ、どないなっとんねん?俺は目が潰れたんか?バカ犬がライトに尻尾ふっとるように見えるが…」


「タイガさん、彼女は、人の姿をしてるんすから、耳はあっても、尻尾は出てないっすよ」


「いや、俺にも、尻尾をふってるようにしか見えません…」







 タイガ達は、ケトラにがっつり抱きつかれて 若干 苦しそうにしているライトのもとへ向かった。


「おいおいおい、いつまでそうしてる気や?」


 タイガの声に、ナデナデで眠りそうになっていたケトラがハッとする。

 そして、ライトから離れ、戦闘態勢に入ろうとした。


「ケトラ様、ダメですよ」


「あぅ、うん。わかってる…」


「ライト、おまえ、ほんま、ワンコ好きやな〜。てか、浮気者やんけ」


「なっ!僕は」


「えっ?お兄さん、彼女いるの?」


「い、いないです…」


「なーんだ、よかった」


「えっ?」


「な、なんでもないの」


「おまえ、あの青いワンコ好きなんちゃうんか?」


「タ、タイガさん、ここでそれを言うのなしっすよ」


「なんでやねん、ここではっきりしとかな、後でややこしなるやないけ?」


「青いワンコって…もしかして」


「おまえが嫌いなイーシアのアイツや」


「え!おねえちゃん?」


「えっ、お姉さんなんですか?確かに顔も名前も似てるなぁとは思ってたんですけど」


「うん…。お兄さん、アトラのことが好きなの?」


「えっと…あ、はい…」


「どこが?」


「ええっ?えーと、かわいいし、話してると楽しいし、それに凛としていて素敵だなと思います」


「あたしは?」


「へ?」


「あたしのことは、その…どう思ってるの?」


「ケトラ様は、なんというか、やんちゃで甘えん坊な妹みたいで、うん、かわいい方だと思います」


「それって、好きとかではなくて?」


「え?嫌いなわけないじゃないですか!」


「イーシアには、よく行くの?」


(な、なんだ、なんだ…取り調べなのか?)


「あ、いやその」


「イーシアに行くのは女神様の用事?他にも行く理由あるの?」


「あ、あの、僕、ポーション作ってるんで、薬草を採りにまた近いうちに行こうと思ってます」


「薬草なんて、どこでもあるじゃない?」


「僕は、イーシア湖の近くの生まれなので、あの辺りしか薬草の生えてる場所、知らないんです」


 僕はそう言って、ポーションを一つ、ケトラ様に渡した。ポーションを受け取った瞬間、一瞬、眉間にシワが寄ったような気がしたが…。あのドブ味を知ってるならそうなるのもわかる。


 ついでに、ジャックさん以外の3人にも渡した。


「あれ?俺にはくれないんすか?」


「こないだ、肉切ってもらったときに渡したじゃないですか〜」


「あ、あれは、妖精さんに使っちまったっす」


 じゃあ、と言って、ジャックさんにも渡した。


「次は買ってくださいよーっ」



「ねぇ、お兄さん、あたしにも、もう一つちょうだい!」


「えっ!」


「だめ?」


 そんな悲しそうな顔で見ないで欲しい…


「いいですよ、どうぞ」


 やった!と受け取り、ケトラ様は、首に瓶を入れた!


「ええっ?いま、何したんですか?首に口があるのですか?」


「収納したの。取られないように!」


「そんなとこにあるんですね。びっくりしました」


 すると、突然、ケトラ様の耳がピクッと動いた。


「時間切れなの…。お兄さん、ここに来たら、絶対に休憩施設に立ち寄って!約束だからね!」


「は、はい」


「あたし、負けないから!」


 そう言うと、ケトラ様は、赤く光ると大狼の姿に変わり、空高く、舞い上がり、そして一瞬で見えなくなった。


(負けないって……なに?)



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