表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

161/286

161、ロバタージュ〜 なんだかいつもと違う

「ふむ。この程度では、転移魔法陣は動かせぬな」


「えっ? でもいま、20%回復したから500万以上の魔力を注いだのではないですか?」


「その倍は注いだのじゃが、クリスタル自身が吸収してしまったのじゃ。食い意地がはっておるのじゃ」


(それは、城の主人に似たという…)


「じゃあ、新作の方を飲んでみてください」


「うむ。言われなくてもそのつもりじゃ」


 女神様は相変わらずだったが、赤ん坊姿でそんなことを言われても、不思議と可愛いだけだった。いつもなら呆れるところだけど…。


 そして瓶の蓋を開け、一気に飲み干された。すると、みるみるうちに、その目が輝いた。


「な、なんじゃ! これは……フルーツパフェ味なのじゃ!」


(なんでもパフェにするのね)


「ファジーネーブル風味です。ピーチとオレンジの…」


「フルーツパフェなのじゃ!」


「あー、じゃあ、フルーツパフェでいいです…」


「うむ」


 そして女神様は、再びクリスタルの方へ、魔力を注ぎに、ふわふわと飛んでいかれた。


 クリスタルに注がれた魔力は、クリスタル全体を輝かせていたが、ほんの少しだけ、底へと光の粒子が集まっていた。

 まるで光の砂時計のような、美しく幻想的な輝きに、僕はすっかり見惚れていた。あの輝きで満たされたら、クリスタルはもっと強い輝きを放つのだろうな。



 目の前を小さな何かがひらひらしていることに気づき、僕は我に返った。あ、女神様が、手をひらひらと……もっとよこせ、ということね。


 僕は、魔法袋から、30%回復魔ポーションを3本取り出して、女神様に渡した。するとすぐに1本飲んでクリスタルに魔力を注ぎ、また、1本飲んで魔力を注いでを3回繰り返された。

 なぜ一度に3本飲まないんだろう? 90%回復で注ぐ方が手間が省けるんじゃないのかな。



「50%を超えぬようにしておるのじゃ」


「えっ?」


「成長が遅くなるからの」


「あ、50%以上だと能力低下がゆるやかになると、以前おっしゃっていた逆バージョンなんですね」


「うむ。枯渇ギリギリにしておく方が成長スピードが速いのじゃ」


「なるほど」


「クリスタルは、これでよいのじゃ」


「えっ? まだ、底の方にほんの少ししか溜まってませんけど…」


「30%回復魔ポーションは、そうそう数は作れないから、妾がもっと成長してから使う方がよいのじゃ」


「あ、確かに…」


「あと、どれだけあるのじゃ?」


「えーっと…」


 僕は、ダンジョン産の魔法袋の中身を表示した。えっ? いつから数量確認してないんだっけ?


「ちょっと入れ替えて計測してもいいですか?」


「ふむ、妾は、やかましい婆と話しておるから、終わったら声をかけるのじゃ」


「はい」

 


  普通の魔法袋にも売り物を入れていたから、全部ダンジョン産に移して、計測しよう。



 PーⅠ 、 4,580

 MーⅠ 、2,020

 F10 、 5,601

 C10 、26,677

 B10 、525

 H10 、1,988

 化x100 、2,012

 化y100 、4,340

 化z100 、1,657

 PーⅢ 、 1,053

 MーⅢ 、36


 M10 、14



 なんだか、すごいことになっている。暗号のような…。

 上から作った順だよね。一番下のは女神様に交換してもらった固定値回復だね。


 僕は、いつもの3種を普通の魔法袋に入れようと思ったけど、クリアポーション、これ無理だな。


 10%回復のモヒート風味と、火無効つきのカシスオレンジ風味、そして30%回復のマルガリータ風味をすべて普通の魔法袋に移した。


 そして、パナシェ風味のクリアポーションは、10,000本はダンジョン産に残した。


 あと、10%魔回復のカルーアミルク風味、輝きのモスコミュール風味、媚薬効果つきのカンパリソーダ風味、男女逆転のキール風味、時間逆転のアレキサンダー風味、種族逆転のXYZ風味は、50本ずつ普通の魔法袋に入れた。


(ふぅ〜、種類増えたよね…)



「女神様、計測と整理、終わりました」


「うむ。フルーツパフェは何本あるのじゃ?」


「36本です。カルーアミルク風味はかなりありますが、30%はまだ少ないです」


「ふむ。ライト、アパートの家具は買ったのか?」


「へ? あ、いえ、えっとお任せオーダーでということにしてありますが、まだ支払いはしてないです」


「タイガに頼んだのじゃな?」


「ジャックさんが、タイガさんに念話してくれたみたいです」


「ふむ。では、それを妾が支払ってやるのじゃ」


「えっ? あ、その分のポーションを置いていけという感じですか」


「くれと言うと、オババがうるさいのじゃ。だから、正当な交換じゃ」


「あ、あの、前に交換してくれた固定値1,000の魔ポーションありますか?」


「は? あの不味い薬か?」


「はい。あれ、持ってるとミッションで便利だと思って…」


「ライトは、あれを大量に飲む気か?」


「あ、いえ、誰かの回復をするときに、配りやすいので、もし余っていたら、交換して欲しいんですけど」


「なんじゃ、それを早く言うのじゃ。何万本いるのじゃ?」


「えっ? 50本くらい…」


「は? 遠慮はいらぬのじゃ」


「そんなに大量にあっても、使い切れないですから」


「ッチ、しょぼいのじゃ」


(舌打ち? しょぼいって…)



 僕は少し考えたけど、リュックくんが渡しに行ってやれって言ってたし、やはり、うん、そうしよう。


 僕は、巨大すぎるクリスタルをチラッと見た。やはり、底にわずかに溜まっているだけで、ほぼ空っぽに近い状態だ。


 これを満タンにするには……いや、違う、半分になったって言ってたから、この倍の容量って考えると、魔ポーションはいくらあっても足りないよね。


 僕は、ダンジョン産の魔法袋に入れていた2種の魔ポーションをすべて出した。10%回復1,970本、30%回復36本。


「なっ? コーヒー牛乳だらけじゃ!」


「はい、これで家具代、足りますか?」


「どんだけ豪華な家具にする気じゃ? 余りすぎじゃ」


「あ、1階の店舗の改装費もこれで」


「ダブルのはないのか?」


「ん? 変身ポーションですか?」


「うむ」


「ありますけど……そんなに猫になりたいのですか?」


「人型だと、チビがバレるのじゃ」


「なるほど…」


 僕は、ダンジョン産の魔法袋から、種族逆転の変身ダブルポーションを100本取り出して渡した。


「パフェはないのか?」


 アレキサンダー風味のことだったよね? 僕は、時間逆転の変身魔ポーションを100本渡した。これ、婆さんになるんじゃ? ま、いっか。


「うむ」


 あれ? 数が不服なのか、ジーっと、まだ僕の方を見上げていらっしゃる。


「足りませんか?」


「いや、まぁよいのじゃ」


 そう言うと、女神様は小さな手で魔法袋へ、せっせと収納されていた。そして、別の魔法袋から、どっちゃり、何かを出された。


「交換じゃ」


「えっ? こんなにですか?」


「いま、手持ちはこれだけじゃ。あとの分はまた渡すのじゃ」


「えっ? いえいえ、もう十分です」


「……もう魔法袋に入れたから、返さぬぞ」


「へ? あ、はい。お納めください」


「うむ」


 すると、急にニコニコ、いやニタニタされていた。僕が見ているのがわかると、ぷいっと知らんぷりをされた。嬉しいんだな、素直じゃないよね。


 僕は交換した固定値魔ポーションをいったんダンジョン産の魔法袋に入れた。うわー、566本もある。こんなに使うかな…。

 そして、これをすべて普通の魔法袋へと移して完了。



「女神様、僕、ロバタージュに報告に行かないといけないので、そろそろ失礼します」


「うむ、くれぐれもあの件は、秘密じゃぞ」


「はい、了解です」


「1階の店舗は、何屋をするつもりじゃ?」


「まだ、決めていません。ポーション屋でもいいんですけど、僕、あまりここにはいないと思うので…」


「ふむ。じゃあ、アイツらの遊び場にでもしておくか?」


「え? えーっと……ワープワームですか?」


「うむ。最近、なんだか数が増えてきよったのじゃ。広場のあちこちで人だかりができておるからの」


「もしかして、お邪魔ですよね」


「いつも住人は喜んでおるが、何かのイベントで使うときには、少々困るときがあるようじゃ」


「わかりました。じゃあ、アイツらの遊び場で……ということは、アイツらと遊びたい人達が、自由に出入りできればいいですね。店というより、プレイランド的な感じで」


「うむ、そうじゃな」


「じゃあ、そんな感じの改装を……誰に頼めばいいのですか?」


「それくらい妾がやってやるのじゃ。追加料金はいらぬのじゃ」


(これは……追加料金が必要なパターン)


 僕は、ダンジョン産の魔法袋から、種族逆転変身ダブルポーションを、300本取り出して女神様の前に置いた。すると一瞬で、ささっと自分の魔法袋に収納された。


「うむ。追加料金は、しかと受け取ったのじゃ」


「ははっ。はい、よろしくお願いします」


「うむ」



 そして、僕は、門の前まで女神様に送られ、そして門の前に集まっていた生首達のワープで、ロバタージュのギルド前へと移動した。





(あれ? なんだか、いつもと違う?)



 僕は、何だかよくわからない違和感を感じつつも、ギルドの扉を開け、中へと入っていった。

 とりあえず、ミッション完了…じゃないかもしれないけど、報告カウンターの列に並んだ。


(あれ? なんだか、いつもと違う…)


 僕が並んでいると、なぜか、スッと順番を譲られ、戸惑っている間に、報告カウンターの前へと進まされてしまった。


 報告カウンターでも、職員さんが僕の顔を見ると、ハッとして、誰かを呼びに行かせたようだった。


「ライト様、お疲れ様です」


「え? 僕まだ登録者カード出してないのに、覚えてくださってたのですか? というより、なぜ様呼び?」


「あ、あの、女神様の代行者ですから、当然、女神様と同格で…」


「あー、あれには、僕も驚きました。でも僕は、ただのポーション屋ですから…。今まで通りに接してもらう方が嬉しいです」


「えっ? で、でも…」


「ミッション報告が遅れてすみません。途中で、チゲ平原から去ったので、ミッション失敗ですよね。その手続きをしてもらいに来ました」


「え! そんな、失敗だなんて…」


「他のみなさんは、報告完了されたのですか?」


「あ、はい。新人冒険者さん達と、そのサポートの特定登録者の方々は完了です。女神の番犬の3名がまだでして…」


「3人とも、チゲ平原から消えましたよね」


「はい、ライト様が去られた少し後で、オルゲン様とセリーナ様も、どこかへ転移されたと聞いています」


「じゃあ、3人とも失敗ですね」


「そんな、とんでもないです!」



 奥の事務所から、疲れるあの人がこちらに向かってきた。あーもう、見ただけで疲れる。


「ライト様、報告なら奥でどうぞ」


「ここで結構です。様呼びやめてくださいね」


「おや、つれないことを。ここではあれですから、奥へどうぞ」


 ギルマスは、ほぼ強引に、僕を事務所へと連れて行った。


(はぁ……もう、何か用?)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ