零回廊 序曲
少しづつですので投稿は遅いです。ご了承ください。
世の中下らないことばかりだ。
世界なんてものは脆く朽ちやすいのにちゃんと成り立っていて、そんな中で人間は短い生涯を送っている。なら何故俺たちはこんな世の中を意味もなく過ごしている。意味はあるのかも知れないけど、俺の中では無意味なことだ。
日常に嫌気がさし、一種の現実逃避をし始めたのは中学2年。それまでは学校に行くことが楽しみで仕方が無いといった頃もあった。あんな思いをしなければ俺は素直なやつだったかもしれない。
そんな廃れた俺だったがもう中学3年。先生に高校だの成績だの五月蠅くなりだした3年の夏、俺は体験入学とやらで見つけた。
この燕学園を。
殺風景な校舎に学園の側にある学生寮。
案内人の先生の話などそっちの気で、ただ耳から耳へ通していた。
興味が一つもなく、無関心だったのになんだか不思議になった。
「わけわかんねぇよ」
けなしているのに顔が笑っている。
最後に目に止った中庭の桜。
「まじかよ」
夏だと言うのにその桜は見事に咲いていた。
「不思議だろ。お前もこいよ」
在校生の声。
馴々しいが懐かしい。ふと思った。
(入学してみるか)
季節ハズレの桜が咲くここで俺は人生の意味を知ることになる。
だがそんなことは後にわかることなのだが。