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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界とぼく

作者: 齋藤光章

なにこれって人は「高橋邦子」で検索すると幸せになれます

 俺の名前は神崎礼二(かんざきれいじ)。どこにでもいる平凡な引き籠りの高校生だ。

「あああ、人を殺してぇ……。殺人してえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」

 そう思い立った俺はナイフを持って家を出た。

 家を出た瞬間、玄関に四トントラックが突っ込み、俺の体は潰された。

 そうして俺は生命活動を停止……。死んだのだ。




「――という訳で、君は亡くなってしまった」

 雲の上。おとぎ話のような話だが、そこに俺は居た。

 目の前にいるのは、女神を自称する美女だった。透き通るような白い肌に、煌めく長い銀髪に青い瞳。鼻は高く欧米人のような顔だちだった。

「君はあの後人を殺める事無く警察に捕まり、更生して立派な人に()る運命に有った。若くして落命してしまった事は、運命の女神で有る私――『クレア』の落ち度でしか無い。申し訳無い事をした」

 鈴の音のような綺麗な声で女神クレアは俺に謝り、深く頭を下げる。

「いえ、そんな……」

其処(そこ)で、だ」

 クレアは咳払いをした。そんな何気ない動作ですら、どんな宝石も色あせるほどに美しい。

「何か、私に要望は有るかい? 罪滅ぼし――と言っては失礼かも知れないが、君の為に何かしたいんだ」

 要望、か。

 俺は少し唸り、目を瞑る。そして――


 目を見開いた!

「ならば貴様を殺して俺の死を無かった事にしてくれるわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「なんだって!?」

「死ね、このアバズレ・ビッチがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 そう言って俺は懐から刃渡り二十センチの大型ナイフを取り出した。そしてナイフを逆手に握り、クレアの首に突き刺す。

「ぐッ――!」蛙のような声がクレアの喉から絞り出された。

 そのままナイフを押し込み、脊椎のつなぎ目に刃を捻じ込む。おびただしい血液が流出し、クレアの眼球がぐるぐる回る。やがて細い首は完全に切断され、美しすぎる女神の生首は雲の上に落ちた。

「はははははははははは! 俺の勝ちだああああああああああああああああああああああああああ!」

 天上に勝利の雄たけびと笑い声が響き渡る。女神すら殺害した達成感と高揚感が全身を駆け巡り、たまらない快感をもたらした。陰茎からは精液が漏れ出し、俺の下着はべっとりと濡れていた。

「これで勝ったと思って居るのかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

「なにッ!?」

 振り向くと、そこには自分の生首を胸に抱えたクレアが立っていた。

「馬鹿な! お前は死んだはず!」

「残念だったな……。私は今(まで)沢山の人間を神罰で殺した。大量のスコアに依るエクステンドで残機が一つ増えているのだ!」

 くっ……。悔しいが完璧な理論だ!

「神に逆らった罪は重い……。依って貴様は異世界に送ってやる!」

「異世界だって!?」

「剣と魔法、其れと魔物が跋扈(ばっこ)する恐怖の世界だ……。貴様は半日と生きられ無いだろう。人は三度目の生は得られ無い。其処で死んだら今度こそ貴様の魂は浄化され完全な別人と成るのだ!」

「そんな……!」

 そんな世界、生きていられるわけがない……!

「でも可哀想だから強くしてあげる♪」

「ありがと♪」

「君は改造人間と成って最強の力を得るのだ。これで死ぬ事は無いぞ!」

「改造人間?」

「そうだ。改造人間は良いぞ。馬よりも速く長く走れるし、胸から火炎弾は出る。目から怪光線も御手の物だ。指から破壊光線も出せるぞ」

「そいつは強そうだ!」

「其れでは今から君を魔法で機械の体にしよう。なに、一瞬だよ」

「わーい!」

 その瞬間、雲が消し飛んだ。俺とクレアはその場から吹き飛び、足場が無くなった事で真っ逆さまに下界に落ちていく。

「うわぁっ! め、女神様! これは!?」

「宇宙ロケットが突っ込んで来たんだ!」

「ロケット!?」

「雲の上で有る以上避けられ無い事故だと思って居たが……こんな時に! こんな事なら家賃をケチらず――」

 クレアの言葉は最後まで続かなかった。なぜなら、旅客機が激突して肉体が破裂し四散したからだ。いかに女神といえど、圧倒的物量と速度を持った一撃には耐えられなかった。

「くそっ! 俺の異世界生活が――」

 そこまで言って、俺は地面に激突して即死した。



 魂が浄化され、俺が俺で無くなりながら、俺は思った。


 現実を捨てて異世界で活躍しようとする事……それは逃げだったのだ。

 俺は部屋に引き籠り、誰にも心を開かなかった。何も事を成そうとしなかった。

 そんな俺でも、強くなれば……神様に強くしてもらえば、異世界で居場所が作れる。そう思っていた。

 しかし、そんなのはあり得ないのだ。

 努力で『育てた』力ではなく、神様に『貰った』力を得て別の居場所に行っても、本当に自分で勝ち取った成功じゃないのだから。

 異世界の活躍は、頑張った人にさせてあげるべきなんだ。受け身の怠け者に幸福は来ないのだから……。


 青梅市は今日も平和だった……。


パソコンのタイピングの練習としてプロット無しで書き殴りました。ありがとうございました。

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