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欠落人間  作者: 神無月
2/17

私が見つけた日記のはじまり。

彼女の人生のはじまりの物語


「産まれてこなきゃよかったのに」

この台詞を何度聞いたかわからない。

私が私でいる間に日記のように

記録したいと思う。

きっとこれを親友である美晴に

見つけられる事を想定して。


物心ついた時から家族に対して

幸せな思い出はなかった。

母は所謂教育ママのような人で

周りの近所へ見栄を貼りたかったのか

とにかくストイックだった。

中学受験の為に小学校三年生で通い始めた塾

その頃から少しずつ私の見る世界が

歪み始めていた。

塾のテストから帰ったある日

普段はいないはずの父の姿が見えた。

出張続きでほとんど帰ってくることは無かった

嬉しさのあまり抱きついていた。

でも父はどこかへ行くかのようだった。

幼いながらに家での異変に

気づいていたからなのか、

父は今日を境に2度と帰ってこない予感がして

泣いてしまった。

「ゴルフに行くからすぐ帰るね」

そういった父に安心して家の中に入ると

泣き崩れた母がいた。

「ママどうしたの?」

そう尋ねると同時に顔に激痛が走った。

「あんたがいるから全部おかしくなる」

この時が始まりだった。

それから父が帰ってくることは本当になくなった

母は狂ったように毎日父の会社や父に電話をするように私を殴り続けていた。

泣いた私に電話させれば父が何かしらのアクションをしてくれると思ったのだろう。

だけど、父は見て見ぬふりをしていた。

毎日体はアザだらけでまともに小学校すら

行かせてもらえなくなり私は母のストレスのはけ口として家に閉じ込められるようになった。

それでも不思議なことに子供というのは

母親を愛してしまうのだ。

何をされても、

ボロボロにしたあたしを見て嘲笑っても、

言葉の暴力を与えられても

私は母が寝ている時は常に頭を撫でていた。


今となってはこれだけしか私は言えない。

なぜかと言うと母との生活があまりにショックだったのか具体的な記憶が欠けてしまっているのだ


ただ一つ最後の記憶は、

ある日起きたら部屋の外から男の人の声がした

「あけてくれるかなー?もう大丈夫だよ」

全く聞き覚えのない声だった。

寝ぼけながらも誰かと尋ねると警察だった。

私はベッドの上に大量の包丁を並べ

部屋に鍵をかけていたようだった。

鍵を開けてドアを開けたら素早く女警察に

抱き抱えられ体を調べられていた。

そこで私の記憶はまたなくなっている。

後々警察から聞いた話だと、

母の毎日の暴力が酷くなっていくにつれ

近所の人が通報していたそうだ。

その日何があったかは母も固く口を閉じてしまい

わからなかったそうで、

だけども家中の窓が割れて粉々になっていたので

壮絶なことが起きたことは確かだった。

その日を境に私は児童相談所に預けられた。

父は引取りを拒否したからだ。

私が思い出せるのは

暴力よりも何よりも私には私を愛してくれる人がいないと突きつけられたことだった。

それを悲しいと思えないほど狂ってしまっていた


部屋はとても狭く各それぞれの部屋に鍵をかけらていて、窓は鉄格子のそんな場所に預けられた

ご飯もろくに食べれず悲しい寂しいの感情さえ無かった。


それから気づいたらまた呼び出され

母が引き取りに来たのだ。


すべて起きたことをここにかけたら良かったのに

今の私には書くことが出来ない。

私が私でなくなる前にここに記しておきたかった


私には二つの人格があるらしい

先日の病院で診断されてしまった。

解離性障害という病気らしい。


私は美晴にも誰にでも家族の話を簡単に

していたよね?

私は断片的に記憶がないの。

だからされたことはわかるのだけど、

された時の痛みも辛さも何も思い出せない。

自分の事なのに自分の事じゃない

自分のおかしいところにも納得がいったよ。


今日はこの辺にしておきます。

また明日ここで会おうね。



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