2_B 独房 目覚め
「……………。………んぁ…?」
どこかジメジメしてほの暗い場所で、井ノ口は目を覚ました。
「……あぁ〜?」
ぼーっとした頭で辺りを見渡すが…どう思い返しても彼の頭の中にこんな場所の記憶はない……。
「あ〜……何処だここ」
軽く頭を振り意識をハッキリさせる。
改めて周りを見ると、そこは石造りの牢屋のようで、鉄格子によって外の通路とが隔てられている。
この部屋を薄らと照らしている僅かな明かりは、通路の奥の方にあるであろう光源からのもの…だろう。
「……」
そうやって外を軽く確認したところで再び室内を見やる。
「んぁ、……他にもいたのか」
床に倒れるように、彼以外の人が1人、2人、3人……4人。
…………つい先程までの彼と同じように。つまり意識のない状態で伏していた。
「……あ〜…。大丈夫か?お前さんたち。」
と、言いつつ井ノ口は彼らに声を掛ける。
「ん……?あれ……?」
「ここ、は?」
「……なんだよここ。」
「……え…?」
4人はそれぞれ目を覚ます。
……皆、頭が働いていないようだが、それでも『ここが日常から切り離された場所』である事は、何となく。経験からわかった様だ。
「あ、豊永さん。………また、ですか。」
「あ〜……、そう、だね。…菅野さん、お久しぶり。」
と、……どうやら知り合い同士の人もいるようだ。
「…………すまねぇ、おっちゃんお前さん達と知り合いじゃねぇから名前呼べなくてな。名前、教えてくれねぇか。
俺は井ノ口 劫だ。一応ちょっとした中古屋の店員やってるな。」
「あ〜そうですね。…私は十六夜 凪。法律家です。」
「はい、堀川 神奈子です。画家をやってます」
「えっと。菅野 中生です。農家で生計を立ててます」
「あ、僕が最後かな。豊永 遊宇、声優をやってます。」
と、5人がそれぞれ自己紹介をする。
「ん、ありがとな。…さて、とりあえず……。どうする?」
軽く肩をすくめて井ノ口がそう聞いた。
「とりあえず今いるこの部屋を調べませんか?」
と、菅野が提案する。
「そうですね。とりあえずそれ位しかない、ですかね?」
十六夜がそう言うと、皆は頷きそれぞれ辺りを調べ始めた。
光源は廊下からの僅かなもののみ。前時代的な牢のようなこの部屋。何かが隠されていたとしても、見つけられるかは__と。
「ん……?あれ?」
何かに気がついたのは豊永だった。
「どうしたんですか?」
「いや、壁のここ……この石だけ周りと色も組まれ方も違うなって。」
「…………あ、ほんとですね。」
部屋の奥を見て向かって右。一見他の壁と違わぬように見えるその壁の石の一つが、見て確かに異なっている。
「何か、あるのかな……?」
そう言って豊永は軽くその石に手を掛ける……
どうやら後から嵌め込んだもののようでスムーズに動かせる様だ。
「……どうやらこれ、取れそうだよ?」
「そうですか!それじゃあ取りましょうよ!」
……何故か堀川のテンションが高いが。
「う……うん。それじゃあ取るね?」
石を……取る。
はい。投稿が遅れてしまいました。
今回は南以外の5人の導入です。
はーい口調がわっかんねぇよ(白目)
次回ものんびりとお待ちください