103G.ホールカード ショーダウン
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スキュータム・流域、共和国圏デリジェント星系。
本星『ヴァーチェル』。
圧縮され赤熱化した大気を引き摺り、1,000機近いヒト型機動兵器が浅い角度で大気圏へと突入していく。
落下速度は空気抵抗により急激に落ち、現在は時速約50万キロメートル。高度10キロメートルという低空を進行中だ。
コクピットの全天型モニターでは、補正された惑星の全景が見渡せた。
超高速で大気の層を突き破る衝撃に、機体はコクピットの中まで振動している。
重力制御によりオペレーターは守られるが、それでも揺れがゼロになる事はない。
『おごごごゴゴゴゴ――――――!!』
『ホホーゥ!』
『おい誰が地面まで一番近付けるか賭けねーかぁ!?』
エイムオペレーターであるローグ大隊のチンピラ兵士たちは、この強襲降下に耐えたり楽しんだりと様々だ。
エイムと同調し、巨人となって自在に飛翔するのは、基本的に楽しいものなのだろう。
それが戦闘でなければ。
成層圏まで立ち上った積乱雲内を突き抜けると、目的地の街のような施設群が見えてくる。
コア・コラプション・クエーサー社、研究都市。
そして別方向からも、雲を引き急速に接近してくる無数の機影があった。
大気圏から宇宙に飛び出し、また赤熱しながら大気圏へ飛び込んでいたのは、異形の自律機動兵器群『メナス』である。
その数、1万機以上。
星系全体に展開している数からすると誤差のような数であるが、それでもローグ大隊の10倍だった。
『来たぜー!』
『チクショウこっち来やがった!?』
『ま……マジでメナスとやるのかよ……!?』
ローグ大隊の間に緊張が走る。
前回、メナスとの戦闘を経験したのは、第2中隊の1小隊のみだ。
大きな作戦に組み込まれているプレッシャーから、震えている野郎もいる。
所詮は兵士として促成栽培された元チンピラなのだ。
『R001よりローグ各隊へ。サリッサフォーメーション。本機に合わせ統制射撃。メナス散開後は分隊単位で迎撃しろ。降下艇が来る前にLZの周囲150キロを掃除しておく』
よって、まだ隊長が尻を叩いてやる必要がある。
灰白色と青のゴツい機体、大隊長機のスーパープロミネンスMk.53が1,000機のエイムの前に出た。
上下2連装の可変式レールガンを、正面のメナス集団へと突き出す。
『言っておくが私はお前らをあの程度のメナスに落とされるようなザコに鍛えたつもりはないぞ!
今この時から貴様らはメナスを駆逐する猟犬だ! 全能力を以って任務を遂行しろ! 訓練どおりにやれば問題は何も無い!
梃子摺ったり撃墜されたお嬢様はスカート穿かせてデリカレストラン勤務に回してやるからな!!』
唯理の発言で、途端に隊内通信は阿鼻叫喚の地獄となった。
この赤毛の隊長は、冗談は言わない。
パンツ一枚で船団中から逃げ回れ、と命令されて実際にやった以上は、今回も確実にやらされる。
『おい冗談だろ隊長のチームみたいなコスチューム着ろってのか!? 死んだ方がマシだ!!』
『ジュークならカレシが喜ぶんじゃねーか!?』
『ウホォーウお熱い!!』
『ぶっ殺すぞシェン!?』
ややずんぐりとした機体、ボムフロッグの挙動が乱れていた。動揺が表に出ている。
中には他の機体に殴りかかっていく機体も。既に敵機は射程範囲内なのに。
当然、大隊長は怒った。
『私は「サリッサフォーメーション」と既に命令を出したぞ!? 全隊整列! 攻撃スタンバイ! R002は射線をリード! 006は電子支援、はじめろ!!』
『い、イエッサー!』
『サーイエッサー!!』
『R002了解、攻撃態勢』
『イエッサー!!』
『006了解! 電子戦開始します!!』
大隊長機の号令でローグ大隊の全機が動く。
高速で前進しながら形作るのは、正面に『く』の字となった立体の陣形だ。
前方に面制圧をかける攻撃陣である。
『攻撃正面! ファイア! ファイア! 撃ちまくれ!!』
『撃て撃てブッ殺せ!!』
『攻撃しろ!!』
灰白色と青の機体、それに単眼の重火力機に続き、ダークグリーンの汎用機が一斉に火力を開放。
1,000以上の紅い銃口からレーザーが放たれ、メナスに壁となって叩き付けられた。
ボムフロッグの装備する複合ライフルによる、秒間10発の短連射モード。
豪雨のような光線の面攻撃に、異形の兵器は猛烈な勢いで破壊されていく。
だが、それも一瞬のことだった。
そんな事でメナスを排除できるなら、銀河と人類の文明はこれほどの窮地に陥ってはいないだろう。
先頭集団を撃破されたメナス群は、即座に高速の回避運動に入った。
人類の限界を超える50Gに迫る高機動。
しかし、ローグ大隊の1,000機全てがこれに喰らい付く。
大アゴと怪腕のメナストルーパー、その暴れるようなランダム軌道に振り切られず、追いすがるボムフロッグの6機1分隊。
R515分隊は2班に別れ、十字砲火で敵機を追い詰め撃墜。
メナスは大気圏を突破せんほどの急上昇で逃げようとしたが、緑の火の玉だけが真空中で爆散していた。
シールドユニットで荷電粒子弾を受け、ボムフロッグが吹き飛ばされる。
そこに僚機が援護へ入り、攻撃してきたメナスを撃破。
R343分隊は間髪入れず次の敵機との交戦に入る。
「うぉおおおお!? ――――ったれがぁああ!!」
R111分隊1番機、ローガンは正面からメナスに激突されていた。
敵機の質量と慣性重量でエネルギーシールドが吹き飛び、更に相手の推進力に押されまくる。
コクピットのディスプレイには、トルーパーがアゴを開き、その奥から黒ずんだ緑の光がせり上がってくるのが映し出され、
「ッ……!? ぅぅぅるぁああああああああ! 死ねぇ!! 死ね死ね死ねこのクソポンコツがぁあああああ!!!」
ボムフロッグ、ローガン機が腰部ハードローンチから柄型の装備を掴み取ると、ビーム刃を発生させ目の前に振り下ろした。
生物のように滑らかな頭部に、ナタに似たビームブレイドが叩き付けられる。
2撃3撃と立て続けに喰らい、トルーパーは狂ったように腕部を振り回すとボムフロッグを突き放した。
直後、ローガンはサブアームに保持させていたアサルトライフルを発砲。
レールガンの44.7ミリ弾体が、至近距離からメナスの腹を穴だらけにする。
「ッツァ!? くたばれクソがぁ! どチクショウ!!」
『ローガン生きてっか!?』
「うるせぇ次のやつブッ殺すぞ!!」
肝を冷やしたローガンだが、すぐさま無理やりに自分を立て直し戦闘に戻った。
演習では一瞬たりとも気を抜けなかったからだ。
赤毛の大隊長は、二言目には『集中しろ!』と言う。
ローグのチンピラどもは、当初誰もがこれを『真面目にやれ』というクソ面白くもないガキへ言うような小言だと思っていた。
だが、実戦を経験すれば、その意味は全く違ってくるのが理解できる。
唯理が言っていたのは、至極単純なことだ。
戦場で集中を切らすと、死ぬのである。
そして、あらゆる状況を予測しその瞬間に最適な行動を取り続けるのは、大変なエネルギーを要する。
赤毛の大隊長、村瀬唯理の課す訓練の全ては、今この時の為にあった。
本人たちはそんな事を省みたりしている余裕は無いのだが。
戦わなければ死ぬというのも、ほぼ本能のみだ。
前腕を肥大させ背中を丸めたメナス、グラップラータイプとボムフロッグが接近戦に入った。
荷電粒子弾に追い詰められていた別のボムフロッグは、同じ部隊の援護でガンナータイプを撃墜している。
恐れを知らず、ひたすら攻めてくる異形の兵器群に対し、ローグ大隊は小勢にもかかわらず、真正面からこれを削り落としていった。
「……まずまずだ。R151、15ファースト機ケニス、AAM-003を装備しLZを先行して確保。532は151を支援しろ。AAM-010を使え」
研究都市上空で、無数の爆炎と機動兵器が舞っている。
それを潜り、赤毛の大隊長から命令を受けた151分隊、ライケン種ケニス率いる部隊は、殺風景な建物の密集する地帯へ低空から侵入。
その後方からは、8機ものレールガンを備えた戦闘艇が急接近していた。
重武装の戦闘艇に見えた機体は、機首となっているシールドユニットを後部に折り畳むと、レールガンの基部となっているアームを展開させる。
そうして、自らブースターユニットを切り離したエイムの背面部に合体。
着地したケニス機は、肩部、腰部、そして脇の内外に計8基のアームレールガン・タレットシステムを装備した、迎撃特化機に換装していた。
ボムフロッグ、AAM-003『ヘッジホッグ』装備型である。
151分隊長のケニス機と同様に、532隊長機もキネティック兵器のコンテナを大量に搭載したAAM-010『ビハイヴ』を装備。
降下艇の着陸予定地点周辺のメナス排除を開始した。
全方位にレールガンの対空放火が放たれ、無数の誘導弾が乱れ飛ぶ。
アッドアームズは少数だが量産され、大隊長機の他、ローグ大隊のボムフロッグも装備していた。
「第2から第4中隊は作戦区域のメナス排除を継続、作戦終了までエリアを確保。第1、第5中隊は降下艇を護衛し救助対象を誘導するぞ。キングダムコントロールへ、領域クリア」
『キングダムコントロール了解、降下艇射出を開始』
灰白色に青の大隊長機は、高出力レーザー砲を搭載したアッドアームズで回避機動中のメナスを複数同時に薙ぎ払う。
突っ込んで来るブレイド装備のメナスは、すれ違いざまにビームブレイドで一刀両断した。
そんな隊長機と連携し、赤と白の軽量機が近付くメナスを穴だらけにし、格闘大型機は原形を留めないスクラップへと変えていく。
即応展開部隊とローグ大隊は、機動兵器を用いた大規模組織戦闘にて、メナス相手に1対10の戦力差をひっくり返すという快挙を達成した。
しかし、それも作戦のいち工程を終えたに過ぎず、すぐに次の行動へと移る事になる。
大隊の損害は比較的軽微であり、船団本体と共和国の監視の艦隊を大いに驚かせていた。
◇
高速戦艦『アギーズ・ロンオン』、全長910メートル。
キングダム船団の作戦を監視する目的で同行している、5隻から成る小艦隊の旗艦だ。
その艦橋では、動揺と興奮による静かなざわめきが起こっていた。
メナス群を壊滅状態に追い込むという戦果以上に、ローグ大隊の見せた想像を絶する戦闘の為だ。
それは決して特別な事をしていない。戦術という意味では、最初の面制圧射撃以外は皆無と言っていいだろう。
だが、その後の分隊単位での戦闘が異常だった。
「……キングダム船団側に引き渡されたエイムというのは、カンパニー系列の汎用機ではなかったか? キングダム船団は特殊なグラビコンプロセッサでも開発したのか?」
「現状のGCS開発は足踏み状態です……。共和国で開発できない物が、ノマドに開発できるワケがない、と考えますが…………」
「ではアレはなんだ」
小型探査機からの映像に、アギーズ・ロンオンの艦長以下副長らは言葉も無い。
ノマド『キングダム』船団の抱える私的艦隊組織『ローグ大隊』。
そこが特殊なエイムを用いているのではないか、という予想は、先の共和国本星系でのメナスとの戦闘後にも囁かれていた事だ。
そうでなければ説明が出来ない。
あるいは、したくないのかもしれない。
人体を保護する慣性制御限界を超えて、超高加速度で戦闘機動を行うエイム乗りの存在など。
「貴女はどう思われます、ソアラオフィサー」
終息しつつある眼下の惑星内の映像を見ながら、若い艦長が話を振った。
相手は、この小艦隊本来の任務である、運ぶべき荷物。
栗毛をポニーテールにした、気の強そうな少女。
共和国支配企業の裏方、極秘任務担当幹部社員、そしてマリーンの妹、スカイであった。
「…………無理をすれば、それに短時間なら慣性制御外の機動にも耐えられるでしょう。
でも身体に負担がかかるから、長時間の活動は不可能ですね。つまり単なるやせ我慢。
戦力に乏しくオペレーターの権利が厳格に保護されていないノマドらしい、身を削る戦術というところではないでしょうか」
とりあえず、当たり障りなく相手好みの意見を出して流すスカイ。
実際のところ、同じエイム乗りとして色々と思うところはある。
キングダム船団、そしてローグ大隊がやっている事は、この時代の感性では『異常』としか言い様がない。
現存するエイムの重力制御システムではメナスに追従できないので、その為にオペレーターが無理をする。
言ってみればコレだけだが、常識的に考えればおかしいのだ。
そんな苦痛に耐えるよりは、テクノロジーで問題を解決しようというのが、時代のスタンスである。
惑星国家は国民の全てを管理し規制し、そして過剰なまでにその生命と身体を保護するのだ。
骨身を削る、などというのは人権の上でも生命の保護の上でも、本人も周囲の人間も認められない行為となっていた。
たとえ、人類の文明が危機に立たされ、目の前で肉体を酷使する者たちが戦果を上げていようともだ。
だが、スカイとしては今はそんな事どうでもよい。
情報機器により通信が入り、ポニテ娘の前にある人物の映像が映し出されていた。
プライベートな通信プロトコルで、中継している旗艦の艦長であっても、内容を見ることは出来ない。
『ええ……あのオンナです、サービススタッフかと思ったらPFCのトップだなんて…………。ええ、だからローグも実質的に姉が指揮を執る部隊と思っていいでしょう』
別の画像には、私的艦隊組織『ローグ大隊』の隊長である赤毛の少女と関連情報が記載されていた。
村瀬唯理、高速貨物船『パンナコッタⅡ』所属船員、専属エイムオペレーター。
旗艦『フォルテッツァ』のデリカレストラン、サービススタッフ。
そして、私的艦隊組織の組織から訓練、実戦指揮まで行っているという。
更に、スカイには共和国本星首都でぶつかった一件も、記憶に新しい。
それにしたって、どうしてハイソサエティーズ向けのような店がノマドの内部に存在し、どうして実動部隊の隊長がそこでかわいい制服など着てサービス業務に従事しているのか。
正直ワケが分からない事ばかりだが、それもスカイにとってはどうでもよい事だった。
『……まだPFCの連中が近すぎる。警戒させたくありません。なんなら回収作業に紛れる事も出来るでしょ? その時でも…………』
本心を隠して自分の考えを告げるが、相手はそれも見透かしたような微笑で追認する。
好きにしろという事だろう。
スカイの任務に変更は無く、今も姉であるマリーンの確保が目的だ。それは、本人の希望にも合致している。
だが、今回の仕事に関しては、それだけではなかった。
「艦長、キングダム船団の方は?」
「本星ヴァーチェルから衛星フロイングの軌道内にいるメナス艦隊、その大半を排除。以遠のメナスは、艦隊を再編成している、ように見える……。
メナスにそんな動きをさせるとは信じ難いが……なるほど大したノマドのようだ」
通信を切り、艦長に現状の確認をするポニテのエージェント。
艦橋のディスプレイには、桁外れの火力で一帯を薙ぎ払った自由船団の姿と、明らかな警戒の色を見せるメナス艦隊の現在の動きが映し出されている。
ターミナス星系での戦闘まで、『メナス』とはただひたすら数と火力に任せて人類へ押し寄せるだけの敵性存在、と思われていた。
それが多少なりとも戦略的な動きをするというのは、驚きと共に危機感を煽られる事実である。
つまり、今までのメナスの攻勢は序の口でしかなく、今の時点でも共和国政府はメナスに対処できていないのだから。
そんな脅威に対抗できているのは、目の前の自由船団のみ。
アギーズ・ロンオンの小艦隊も、メナスの勢力圏となったデリジェント星系内では、キングダム船団の支援無しでは生き残れまい。
当然、共和国本星もキングダム船団を取り込むつもりだろうが、今後どうするつもりなのか。
その辺も気になる艦長だったが、今はさっさと仕事を終わらせるよう務めるのみであった。
「それでソアラオフィサー、我々はこれからどうしろと?」
「仕掛け時は私が判断します。とりあえず静かに片付けるつもりだけど、念の為に艦隊はいつでも動けるように」
「あの船とやり合うような事態は、勘弁して欲しいものですな。たとえ1個星系艦隊を持ってきても、あのバケモノみたいな戦艦には勝てないでしょうし」
「何の為に足の早い船で揃えて来てるの? そうなったら逃げるだけでしょう。私たちは任務を果たす事だけ考えればそれでいいんです」
艦長との話を建前で絞める、ソアラオフィサーことスカイ。
共和国政府、そして支配企業の命令で来ているが、スカイの目的は飽くまでも別だ。
「動きがあったら教えてください。私達も出られるよう準備しておきますから」
艦長に一言残すと、スカイは艦橋を出て格納庫へ戻る。
そこには、戦艦の機動戦力という体のエイム部隊と、同じ並びで毛色の異なるエイムが複数待機中だった。
最近ローグ大隊に納入されたヒト型機動兵器に似て、少し頭身が高い曲面装甲の機体。
それに、滑らかながら裾の鋭い装甲を纏う、特殊装備付きの細身の機体。
当然、それぞれに操縦者もいる。
「全員自分の機体は掌握したんでしょうね。いつ出撃するか分からないけど、タイミングが来ればすぐ出るわよ」
作業路の上からそれらを見下ろし、部下に通信を繋ぐスカイ。
この任務の為に抽出した、5人のエイムオペレーターである。
顔色の悪い過剰強化人間。
金では買えない高性能アンドロイド。
サイボーグ処置を受けて能力を引き上げたラティン人。
身体能力を向上させる錠剤を常用するロアド人。
そして、
「優雅さの欠片も無いエイムですわね。次世代型トイランシリーズというのは使えませんの?」
『アレはまだ試作の段階だし、持ち出せるような代物でもないわよ。それに優雅さで戦争するワケでもないでしょ。
それとも、「ゴールドコーナー」のトップエースさんは、ノーマルのエイムじゃ仕事できない?』
「……まぁ、今日のところはこの機体でもいいでしょう。
ところで、もう少しまともなメーレーウェポンは無いのかしら?」
長い金髪の先端に渦を巻かせている、気品ある美少女。
エイムオペレーションに秀でるという理由で支配企業のひとつから貸り受けた、エリザベスという名の人物だった。
名は体を表すのか、髪型といい美貌といい豪奢である。
いずれもクセのある面子ばかり揃えたが、全員が尋常なエイムオペレーターではないという共通点があった。
無論、それも彼の赤毛の少女とぶつかる可能性を考えての事だ。
ローグ大隊は、目的地である研究都市一帯を制圧しつつある。
村瀬唯理がパンナコッタから離れたのなら、今がチャンスであるはずだった。
しかし、スカイはまだ動かない。
自分の勘を信じ、その時が来るのを、野生動物のように伏せて待つのだ。
【ヒストリカル・アーカイヴ】
・LZ
着陸、あるいは離陸地点の略号。
・サリッサ(フォーメーション)
エイムによる集団戦闘時の戦術陣形。部隊を整列させ投射火力を前方に集中するのを目的とする。
名称は古代マケドニアで用いられた長槍と、それを整列して運用した戦術に由来する。
・グラビコンプロセッサ(グラビティーコントロール・プロセッサ)
グラビティ・コントロール・システムの制御を行う演算素子と演算機を指す。
重力制御は重力制御素子だけではなく、演算機の制御速度に依存する部分が大きい。
・メーレー(ウェポン)
接近武器の総称。
ビームブレイド、ビームチョッパー、プラズマハンマー、ビームトーチ、ドリルなどがこれにあたる。
エイムの携行武器としては種類は少ない。
感想(アカウント制限ありません)、評価、レビュー、ご心配をおかけしました連載を続けられます。