ギルド編六話
「やはりからかっているな?出ていけ!!」
はぁ、どうしてこうも追い出される?もういい、帰る。俺もう帰る。
帰ってやる。
「はぁあ、なんで登録に来ただけなのに追い返されるかなぁ…。」
俺はズーンとくらいオーラを出しながらとぼとぼと出ていこうとした。
「ま、待て!」
「なんですか?もう帰るからいいでしょう?」
帰るからいいだろ。もう疲れたんだよ。精神的に。
「ほんとにギルド登録に来たのか…?」
「そうですよ、最初から言ってるじゃないですか。」
「じゃ、じゃあ、ほんとなんだな?荒らしにきたとか煽りにきたとかではなく!?」
うるうるきらきらした眼でみてきた。よく見ると綺麗な人だな。美人さんだ。髪は長く銀髪で胸もある。身長は170くらいありそうだ。
「そうですよ?でも出てけって言われたんで帰りますよ。さようなら。」
「待ってくれ!悪かった!ほんとに悪かった!」
「なんですか?どうしたんですか?」
「登録に来ただけなんだろ?なら登録してくれ!!でもほんとにいいのか?」
「え、じゃあ登録していいんですか!?」
マジで!?やっほぅぅぅぅい!!
「あぁ、でもほんとにいいのか?」
「何回聞くんですか?それ?」
「知らないのか?落ちた蝶々って?」
「よく知りません。」
「あぁ、そうか。なら話しておくべきだな。」
急に雰囲気が暗くなったな。嫌なことなんだろう。
「八年前、いやもう九年前になるのか。私の父ディルク=シルバーンはとても強い人だった。このギルドを設立したのも父だ。設立当初は今じゃ考えられないくらい賑わってた。父はギルド最高ランクでこの国、いや、世界で最も強かった。」
ふむ、なにやら悲しい過去の話をするようだ。ここは黙って聞いておこう。
「ある日のことだ、災厄が訪れた。父はその災厄と戦った。他にも多くのギルド員なども戦ったが、まともにやりあえたのは父と、最高ランク保持者の中でも極数名だった。」
災厄ってなんだろう?魔物か?それとも魔王とか?
「災厄と父らの実力は拮抗し、長期戦へともつれ込んだ。その際に父は禁術を使用し、自らの命をかけることで災厄を消し去ったんだ。」
読めてきたぞ、話が。