ギルド編五話
「場所は?」
「誰がてめぇなんか教えるかよ!!」
酒瓶が飛んできた。俺はそれを避けずにわざと受けた。
「ぎゃはははは!!!」
「当たってやんの!」
「場所は?」
俺はまるでなにもなかったかのように会話を続けた。だって、別にすぐなおるし、今の俺じゃこの程度じゃ痛くない。
嘘。さすがに嘘。痛い。普通に痛いが大丈夫だ。こうでもしないと話の主導権を握れなさそうだったから、受けただけだ。
「なっ!お前大丈夫なのか!?」
お前が投げてきたくせになにいってんだよ。このハゲは。脳までハゲなのか?
「場所はどこだと聞いている。」
ちょっと頑張って威圧感らしいものを出してみる。出てんのかな?
「…メインストリートにあるわ。」
受付嬢が答えてくれた。というかお前のせいだからな?こうなったのは。
あ、でも俺が馬鹿やったからか。
「…」
しゃべらないことで威圧感を醸し出しギルドを去っていった。
ギルドを出て少し離れたあと、俺は溜め息をついた。
「はぁ、疲れた。もう嫌だ。」
落ちた蝶々目指そ。
数十分後
メインストリートをとぼとぼ歩いてると見つけた。というかここ一回通ったな。
なんか名前が違う。落ちた蝶々ではなく、銀の蝶々だ。格好いい。
でも、見た目は看板の文字は薄れていてさらには傾き、壁には落書きがしてあって超ボロい。
「うーん、心配だな。」
不良みたいな人が出てこないで欲しいな。
俺は意を決して中に入った。
「…誰もいない?やってないのか?」
いやいやいや、一応呼んでみよう。
「すいませーん!ギルド登録に来たんですけどー!!」
……マジで誰もいない?骨折り損のくたびれ儲けだな。
はぁ。もう一回叫んでみるか。
「すいませーん!ギルド登録に来たんですけど!!」
カチャ
「なんだ。」
「あ!いた!!いたなら出てくださいよー」
「なんだ?からかいに来たのか?」
「いや、ギルド登録に…」
「ふざけるな!!」
いや、ふざけてません。むしろふざけてるのは貴女です。
「大真面目にギルド登録に来たんですけど。」