序章
矛盾点修正しました。
季節はもうすぐ冬。
私立秋鷹高校が誇る紅葉通りも、段々と葉が落ちて道沿いの木々は寒々しい印象に変わってきている。
そんな雰囲気に違わず、気温もここ数日はぐっと低くなり、肌寒さが際立つことも多い。
しかし、そんな冬の風もこの秋鷹高校の生徒たちの熱気まで冷やしてしまうことは出来ないでいた。
学生たちの熱意の向けられる先、それは一年で最も学内が盛り上がる学際後半、つまり文化祭である。
秋鷹高校の学際は前半後半に分けて行われ、前半は九月の残暑の中行われる体育祭を示し、後半の文化祭は日本全国がパーティームードに包まれる十二月下旬に開催される。
体育祭は二日間に渡り、様々な競技で六つの団が凌ぎを削る。
赤、青、黄、緑、白、黒の各団に、それぞれAB組、CD組、EF組、GH組、IJ組、KL組と学年ごとに振り分けられる。
今年行われた体育祭では、運動部の主力選手が集まり優勝候補筆頭と言われていた黒団を僅差で破り、雅人の所属するA組が振り分けられた赤団が総合優勝を果たした。
1、3年のリレー、3年の騎馬戦で優勝した黒団としては、総合優勝を逃したのは信じ難いことだ。
そしてそのやるせない怒りの矛先は、悉く赤団に敗れてしまった2年生に向けられた。
だが黒団2年生も、そのほとんどで2位になっているのだから決して弱かったわけではない。
蒼井雅人と堺仁之助擁する赤団2年生が強すぎたのだ。
そんな理由もあり、黒団2年生のなかには異常に雅人たち赤団を敵視する者もいた。
傍から見れば、それは逆恨みとしか言いようのないものだったが…。
しかし、少年から青年へ成長する途上にある高校2年生に、そんな事実を理解しろと言うのは酷な話だ。
何が言いたいのかというと、要するに黒団2年生のなかにこんな生徒が現れても、それは「運命だったのかもしれない」ということだ。
その学生は昼休み、校舎裏の庭から上階の窓を見つめていた。
いや、見つめていたというには目つきが厳しいので、睨んでいたというべきだろう。
ともかく、少年は窓から僅かにその横顔を窺うことのできる男を、人知れず睨みつけていた。
その瞳には激しい憎悪の炎が燃えている。
「蒼井雅人……あいつさえいなければ……」
少年の漏らす声には抑えきれぬほどの怒りが滲んでいて、もし誰かがそれを聞いていれば、恐怖すら感じるものだったろう。
それほどの激情を湛えた声だった。
しかし幸か不幸か、彼の姿を間近で見ることのできるものはいない。
それ故、彼の握りしめられた左腕で、黒い靄のようなものが揺れていたのを知る者は一人としていなかった。
第2部開始です!
時間がかかってしまい申し訳ありません。




