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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter6 約束
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2 冗談

「僕が、生成管理番号の下三桁が『708』で『ナオヤ』という名にしたんですが、もしも一〇〇番違っていたら『808』……つまり僕はナオヤではなくヤオヤになっていた……という冗談です」

 まさか自分から言うとは……。

 思った通り、加地くんも、弓槻さんも、ピタッと動きを止めた。瞬きすら忘れて、ナオヤくんを見ていた。

 おそるそおる、といったように口を開いたのは、加地くんだった。

「深海、お前……」

「はい」

「それ……悪いけど、すっげえつまんない」

「……え?」

 意外そうな声を上げるナオヤくんを置いて、弓槻さんもそろりと言う。

「ごめん、私も……ウケない」

「え?」

 助けを求めるように、私を見るナオヤくん。だけど思わず、目を背けてしまった。

「おかしいな……ヒトミさんは大笑いしてくれたんですが」

「まぁ……笑いのツボは人に依るし」

「どうしよっか。ウケる一票、ウケない二票かぁ」

 その瞬間、思わず叫んでいた。

「え、今の話……スルーするの!?」

 思い切りクローンだってバラしていたような……知らず、視線が泳いでいたように思う。だけど加地くんも弓槻さんも、キョトンとしていた。

「え、知ってるよ? この深海くんがクローンだって」

「てか、あの時廊下で話聞いてたし。その後にも折を見て、ちゃんと話してくれたし」

「そう……なの?」

 そうだった。ナオヤくんが過去を色々と話してくれて倒れたあの時、二人は聞こえる場所にいたんだった。

 聞いていたのか、知っていたのか……確認してみたかったけれど、もしも知らなかった場合、私が秘密を話してしまうことになる。それは、とても良くない……そう思って、話せずにいた。幸い二人も何も聞かないまま、普段通りに接してくれていたから、その件について気にしなくなっていたんだった。

 だけど何も聞かなかったのは、ちゃんと本人から聞いたから、ということらしい。

 私一人、隠し事をしているようで心苦しかったけれど、もう気にしなくていいということか。

「そっか……そうなんだ……」

 ちょっとだけ、胸の奥が軽くなった。それはつまり、二人がナオヤくんを受け入れてくれたということ。私に言ってくれたのと同じように。

 考えてみれば当然かもしれない。だって、加地くんと弓槻さんなんだもん。

 なんだかすぅっと肩の力が抜けて、重かった息をすべて吐き出せた気がした。

 そして、『誰かを笑わせる』の項目にそっと指を触れ、線を引いていく。

「私は、やっぱり面白かったかな」

「そ、そうか……まぁそう言うなら、それでいいか」

「一人でもそう言うんなら、まぁいっか!」

 三人揃って、クスッと笑って銭を引いた。

 ただ一人、ナオヤくんだけが少し不服そうだったけれど。

「ていうか、皆の実験リストなんだから、深海くん一人ができても、達成ってことにはならないんじゃない?」

 弓槻さんがそう言うと、加地くんに加えて、ナオヤくんまでが何故か目をキラキラ輝かせる始末。

「それ、いいですね。新しい項目として追加しましょう」

 そう言うと、ナオヤくんは風のように素早く書き込んだ。


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