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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter5 あなたたちとは違う
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11 どうして

「……え?」

 床に視線を向ける私の耳に、ナオヤくんの戸惑う声が聞こえた。

「倒れる前、興奮させて……私に怒ってたよね。怒ってなくても、あんな……大事なことを言わせて、ごめんなさい」

「あれは……僕が勝手に……」

「それ以外にも」

 一度、顔を上げる。思った通り、ナオヤくんの戸惑った顔が見えた。あの時、見放されていたんじゃないかもしれない。

 その嬉しさを噛みしめつつ、もう一度、頭を下げた。

「あの日、私のお父さんから何か言われたんだよね。父が勝手なことをして、本当にごめんなさい」

「……いえ、お父さんのご心配はもっともです」

 なにがもっともなもんか。そう思ったけれど、ぐっと堪えた。

 そして、あの日以来、胸の奥に湧き起こっていた疑問を、口にした。

「ナオヤくんは、どうしてあんなことを言ったの?」

「どうしてって……」

「加地くんも弓槻さんも、同じことを言われたらしいよ。でも二人は、私とこれからも友達でいる道を選んでくれた。お父さんが、そう頼んでいるように聞こえたって、言ってた。じゃあ、ナオヤくんはどうして、あんなことを……?」

 納得はしていないけれど、お父さんが心配した末に三人に連絡を取ったのは、間違いないと思う。私がクローンだと知っても変わらず一緒にいてくれる人間かどうか。手前勝手だけれど、三人を試したんだろう。

 そのことは腹立たしい。だけど今気になっているのは、加地くんと弓槻さんの二人と、ナオヤくんがとった行動が真逆だったこと。

 私は確かめたかった。彼の胸の内が。

「答えたくなかったら、無視してくれていい。体に負担がかかるようなら、すぐに帰るから……聞かせて」

 私がそう問うと、視線を彷徨わせながら、おずおずとこちらを向いてくれた。

 窓から差し込む西日が、青白い頬を赤く照らす。その赤い顔が、綺麗だと、ふと思った。

 ナオヤくんは何度か目を逸らしながらも、最後はため息まじりに言った。

「こちらも、一つ聞かせて頂ければ」

「……なに?」

 ナオヤくんは私に、ベッドの横に来るように示した。ベッドサイドには椅子が一脚あり、そこに座るよう勧められた。

「何が聞きたい? ナオヤくんが先でいいよ」

 ナオヤくんは小さくお辞儀をすると、ゆっくりと、言葉を紡ぎ出していった。

「愛さんは、あなたにとって、どういう存在でしたか?」


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