表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter5 あなたたちとは違う
73/114

2 帰り道

 病院は、学校から車で二〇分ほどの場所にある。タクシー乗り場もあるし、すぐ近くにバス停もある。なにより徒歩だと駅まで時間がかかるのだけど、私たちはゆったり歩くことにした。

 何故だろう。時間が欲しかった。ゆっくり話す時間、そしてゆっくり頭の中を整理する時間が。

 病院から駅までの間は、大きな道路が通っていて、賑やかだった。十九時くらいならお店は閉まっていないし、人も車も行き交っている。

 そんな音をやり過ごしながら、私たちはただ、足音だけを響かせて、歩いていた。

 何を話していいのか、三人共が迷っていた。

 いや、たぶん……遠慮していた。私に対して、加地くんと弓槻さんは、何かを口にすることを憚っているように見える。気のせいならいいのだけど。

 だけど、無言でいると、色々と考えてしまう。

 今朝からナオヤくんと加地くん、弓槻さんの三人にかかってきたコールは誰からのものだったのか。何を言われたのか。ナオヤくんは、何を思ってあんなことを言ったんだろうか。そしてあの時、どうして加地くんと弓槻さんは、教室の外にいたんだろう。

 ナオヤくんが倒れてすぐに対処できたのはありがたかったけど、あの場所にいたということは、私たちの会話を聞いていたということ。二人は用事があると言って帰ったはずなのに。

 そしてもう一つ、私たちの話を聞いたのなら、どう思ったんだろう。

 聞くのは怖い。けれど聞かずに明日、普段通りに接する自信もない。だから、私は決めた。

「加地くん、弓槻さん……聞きたいことが、あるんだけど」

 私がそう言うと、二人とも、ぴたりと足を止めた。振り返った二人の顔は、なんだか悲しそうであり、不安そうであり、同時に何かしらの覚悟が垣間見えた。

 ああ、今、聞くしかないんだな。そう思った。

「昼間、ナオヤくんにも二人にもコールがあったよね? 誰からだったのか、聞いてもいい?」

 ナオヤくんは、コールの主が私のお父さんだと、暗に認めていた。だから私も、知る覚悟はできてるつもりだ。

 加地くんは、それでもまだ言いづらそうに視線を逸らせる。

 答えたのは、弓槻さんだった。

「……深海くんと同じ。ヒトミちゃんの、お父さんだよ。加地やんにかけてきたのも、そう」

「おい!」

 加地くんは声を出したけど、すぐに諦めたように頷いた。

「……何を言われたのか、聞いてもいい?」

 本当なら、他人のコール内容なんて聞くものじゃない。だけど、今回は事情が違う。

 どうしてナオヤくんがあんなことを言い出したのか……その理由が、隠されていると思うから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ