7 コピー
「交通事故です。父と共に、即死だったと」
まるで機械による読み上げのようだった。そこには感情がこもっていなくて、ただただ、事実を述べただけ。ニュースならばそれでもいいけれど、今、彼が読み上げたのは、自分の本体すなわちオリジナルと父親の死だ。
いくらなんでも、こんなにも無感情でいられるものなんだろうか。そう、思っていたその時、ほんの少しだけ、声音が変わった。
「母は……」
ようやく、少しだけ沈んだ声音が聞こえた。
「母は、二人の死に絶望したそうです。手元に残ったのは夫と息子が遺した莫大な遺産のみ」
「……うん」
「そこで、母はとある研究機関にクローン生成の依頼をしました。幸い、息子の尚也は産まれた際に遺伝子サンプルを摂取・保管していたのです」
「ええと……深海くん……」
「よろしければ、僕のことは『ナオヤ』と」
「な、ナオヤくん……それで、その保管されていたサンプルから、あなたが?」
ナオヤくんは静かに頷いた。
また、機械のような表情に戻っている。自分が生まれたことにすら、興味がないように。「えっと、でも……亡くなったのは一年前って言ってたよね? あなたはいつ、生まれていたの?」
「生成されたのは、尚也の死後です」
「え、でも……」
クローンと言ったって人間。同じ遺伝子を持つからと言って、いきなり十六歳の人間をぽんと生み出せるわけじゃない。本体の体細胞から『生成』されたら、生まれたばかりの赤ちゃんになり、幼児になり、少年期を過ごして……という過程が必要。
つまりは、クローン生成されたからといって、いきなり目の前のナオヤくんのような十七歳くらいの少年になるわけがないということ。
私の考えなんてお見通しなのか、それとももう何度も同じような目で見られてきたのか。ナオヤくんは少しも傷ついた様子も困った様子もなく、頷くだけだった。
「これは、秘匿性の高い内容なので、ご両親にも内密にお願いしたいのですが」
「は、はい」
ナオヤくんの顔が、すぅっと近づいてくる。あまりにも急に距離が詰まって、私の呼吸まで詰まってしまった。
だけどナオヤには見えていないようだった。私の耳元に顔を寄せて、それまでと何も変わらない口調で、さらりと告げた。
「僕は他の人の十倍以上の早さで成長促進し、ラーニングを受けました。尚也のクローンではなく、複製体すなわちコピーとして尚也を再現するために」
「複製体……!?」




