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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter4 つくりものの私たち
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18 コール

 翌日、細かいことは省いて、貰ったチケットをナオヤくんに見せた。

「プラチナシートですね。学生が使ってしまって、いいんでしょうか?」

 ナオヤくんは珍しく動揺して、ちょっと遠慮していた。その様子に気付いたのか、加地くんと弓槻さんも近寄ってきた。

 と同時に、ナオヤくんは端末にコールがかかってきて、教室の外に出て行ってしまった。入れ替わるようにやってきた弓槻さんたちが、表示されたままのチケットを見て驚いている。

「うわ! 話題の新型プラネタリウムじゃん」

「え、話題なの?」

「そりゃそうだよ。なんでも山頂をイメージしたアウトドアの作りに整備されてて、自然の中で星空鑑賞している気分になれるんだって。しかもプレオープンでは空一杯に流星群が見られて歓声がやまなかったって噂だよ」

 弓槻さんが興奮気味に言う。加地くんもまた、それを聞いてちょっと興味が湧いたようだった。

「へぇ……面白そうだな。プラチナじゃなくていいから俺も行ってみよっかな」

「予約殺到してるらしいよ。ヒトミちゃんのお父さん、よくチケットとれたね」

「あぁ、うん……大変だったみたい」

 もしかしたら、市場調査も兼ねているのかもしれない……。帰ったらちゃんとレポートを書こう。

 そう思っていると、予鈴が鳴った。加地くんや弓槻さんをはじめ、クラス中の人たちがあたふたと自分の席に戻っていく。私の隣の席だけは、まだ持ち主が帰ってきていない。

 先生までが教室に入ってきて、いよいよ授業に遅れてしまうんじゃないかと思っていたその時――ナオヤくんは焦った様子で教室に入ってきた。

「深海、遅いぞ」

「すみません」

 ナオヤくんは頭を下げると、ささっと自分の席に戻ってきた。

 走って戻って来たから息が切れているのかと思ったけれど……そんな様子でもない。ただ、ずっと神妙な顔をしている。

 さっき誰かから受けたコールが、何か緊急事態の知らせだったとか。いや、それなら帰ろうとするはず。

 いったい何なのか、わからない。

 次の休み時間にでも聞いてみようと思っていた。すると今度は、弓槻さんが同じように呼び出しがあって、教室を出て行った。その次の休み時間には、加地くんが。そして二人とも、戻ってくると一様に神妙な面持ちになっている。朝のナオヤくんと同じように。

 同じ人からの呼び出しだったのかと思うほどに、同じ反応だった。

「あの……さっきのコール、誰からだったの?」

 そう聞いても、三人とも曖昧に誤魔化していた。なんだか、嫌な予感がした。


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