6 同志?
心を読まれた!……という顔をしてしまった。
深海くんはそのことに怒るでもなく、表情を変えずに続けた。
「お気になさらず。事実なので。ただ、事情があるということはお察しください」
「あ、はい……」
ぺこっと深海くんが頭をさげるので、私もそれにぺこっと返す。
顔を上げると、ようやくまた、あの視線とまっすぐ向き合うことになった。
「深海尚也のことを、覚えていてくれたんですね。ありがとうございます」
「それは、まぁ……」
他人事みたいな言い方に、違和感を覚えた。だけど肝心の本人の方は、それを違和感とは思っていないらしい。
「母が喜びます」
「……母? 深海くん本人じゃなくて?」
「はい」
「な、なんで?」
さっき察して欲しいと言われたばかりなのに。思わず尋ねてしまった。
すると深海くんは、またスイッチが切れたようにピタッと動かなくなってしまった。だけど、視線だけが揺れ動いて、やがて私を捉えたのがわかった。
「……あなたは、天宮ヒトミさん、でしたね?」
「うん、そうだけど?」
「天宮愛さんの『妹』の『天宮ヒトミ』さんですね?」
「そうです。さっきから、何?」
「いえ、あなたが『天宮ヒトミ』さんの方なら、話しても多少理解が得られるかもしれません。だから、お話しします」
その言い方に、ほんの少しひっかかりを覚えたけれど、すぐに忘れた。それから続けざまに言われた言葉が、あまりにも衝撃的すぎて――
「僕は『深海尚也』の体細胞から作られたクローンです。管理番号の下三桁がちょうど708だったので、僕のことは『ナオヤ』と呼んでください」
「…………は?」
「あなたと同じ立場の者ということです。天宮愛さんのクローンである『天宮ヒトミ』さん」
そう言われて始めて、彼が浮かべていた無機質な笑みが、そら恐ろしいものに見えてきた。
「あなたも、実子登録されたクローンでしたね」
「まぁ……はい」
「つまり、僕とあなたは同志ということになります」
曖昧な返事しか、返せなかった。いきなり同志だって言われても、何一つ共感できない。
「……すみません。意味の通じにくいことを言ってしまいました。詳細をお話ししても?」
聞いてもいいんだろうか。そう思ったけど、ナオヤは話すつもりらしい。私がおずおず頷き返すと、ナオヤは「ありがとう」と言って、またお辞儀。
「まず、あなたは『深海尚也』をよくご存じかと思いますが、彼は一年ほど前に死去しました」
「……え?」




