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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter4 つくりものの私たち
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7 デートプラン

「ヒトミさん、今日は何をしましょう」

 週明け、再び教室で相まみえたナオヤくんの第一声が、これだ。

 昨日、関係性が変わったはずなんだけど、そうは思えない発言だ。変わったと言えば、むしろ周囲の方が変わった。

 ナオヤくんがこう言うと、数日前なら加地くんと弓槻さんひょいっと近くに来ていたのだけど、今日はいっこうに寄ってこない。ナオヤくんが彼らの方を向いて「どうしますか?」と聞くと……

「俺は今日は家の手伝いやんねーと。週末遊びに行っちゃったし」

「私も、ちょっと用事あるかな。サークルとか」

 二人がこう言う理由は明らかだ。いわゆる『あとは若いお二人で』状態らしい。百年以上前から言われている由緒正しい(?)言葉だとか。

 私には特に経験はないけれど、愛と深海くんが色んな人の恋愛沙汰に敏感で、よくお似合いの二人をくっつけようと、こんなことを言っていた。

 二人とも優しいなと思っていたけれど、いざ自分がやられると、こんなにも気恥ずかしいものだとは……。

「さて、では二人は今日は不参加らしいので、僕たちだけでできることをやりましょうか」

 ナオヤくんは、通常運転みたいだ。ある意味、頼もしい。

 そして私の前に、ファイルを開いて広げた。最初に二人で作った『実験リスト』に大幅追加したものだ。

 中身は私とナオヤくんの二人ですること。もちろん、加地くんたちがいない時にできることを仕方なくピックアップしたんじゃない。むしろ積極的に二人きりにさせることを目的としたものだ。

 要するに、デートプランに当たるわけだ。中身も、それまでとは毛色の違いすぎる項目ばかり。


・手を繋ぐ

・「はい、あーん」する

・きれいな夕日を見る

・強く抱きしめる

・毎日おやすみを言い合う

・指輪を贈り合う

・キスをする


……等など。読んでいるだけで恥ずかしくなってくる。

 ナオヤくんはと言うと、私とは真逆で、顔色一つ変えずにリストの上から下までまじまじと眺めている。

「この『手を繋ぐ』をいうのは、何メートル間、繋げばいいのでしょうか? あと『毎日おやすみを言い合う』は、いつからいつまで実行するのでしょうか? そこがはっきりしていないと、達成と見なされる基準があやふやになってしまうのでは?」

 こんなことを言う始末。情緒もへったくれもない。

 私はクローンと言っても、性質は普通の人間と変わらない。だからナオヤくんの一言一句に翻弄されっぱなしなんだけど……一度、この頭の構造を解剖して見てみたい。正直、ネジやコードがいっぱい飛び出ても驚かない。

 もっとも、そんなことを思うことすら許されない生い立ちだからこそ、こうなんだけど。


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