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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter4 つくりものの私たち
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5 カミングアウト

 お掃除を終えたら、今度こそ帰路につく。駅まで時田さんが送ってくれて、四人で電車に揺られる。

 思えば当初の目的だった海は中止になったけれど、それ以外……四人で楽しく遊ぶという本質的な目的は達成されたんじゃないか。電車の中で昨日のことや明日からのことを話す加地くんや弓槻さんの顔を見ていると、そう思う。

 その隣に座るナオヤくんも、いつもと同じ無表情に見えるけれど、どこか、まとう空気が穏やかだ。

「しっかし、深海の母さんが許してくれるとは思わなかったなぁ」

 そう、唐突に加地くんは言った。一瞬ぎょっとしたけど、ナオヤくん自身があまり気にせずに答えていた。

「母は、基本的には何をしようと咎めません。先日は僕が体に刺激の強すぎるものを食べていたのであんなことを言ったんです」

「ああ、そっか……じゃあ次から気をつけないとな」

「次も、あるんですか?」

 ナオヤくんがそう尋ねると、加地くんの方がキョトンとしていた。そして、思いっきり肩に腕を回していた。

「当たり前じゃん! 次は何する?」

「電車まだ乗ってなきゃだし、今のうちに今後の予定も立てちゃおうよ」

 そう言うと、加地くんと弓槻さんは『実験リスト』を開いて、あれこれ話し始めた。そして、あることに気がつく。

「……あれ? なんか一個、線引いてあるんだけど」

 そう言って、リストを大きくして見せた。そこには確かに、昨日は何もしていなかった項目に『完了』を示す線が引かれていた。

 その項目とは……『恋人をつくる』……!

「……あ!?」

 私のその声で、二人は色々と察したらしい。

「い、いや違うの。これは……」

「違いましたか?」

 ナオヤくんのその一言で、二人はすべてを察したらしい。興味本位と怪訝な気持ちがない交ぜになり、そして最終的に特大級のニヤニヤ顔に変換されて私たちに向けられた。

「なになに? 昨日? 私たちが寝た後? 何があったの? 詳しく教えて~」

「どっちから言ったんだよ? なあなあ?」

 どこのゴシップ記者かってくらい、二人はぐいぐい迫ってきた。私の方が狼狽えていたから面白かったんだろうけど、困る……。

 そんな中、我関せずと言うように、さらりとナオヤくんが手を挙げた。

「僕からです」

 二人が一斉にナオヤくんに振り向く。

「うそ……」

「深海が告った?」

 信じられない気持ちはわかる。私だって、あんなことを言われるとは思ってもみなかったから。

「告白した……と言うより、恋人関係になりませんかと提案した、と言うべきでしょうか」「え、何ソレ?」

「この『恋人をつくる』という項目は我々には難易度が非常に高いと思われたので、いっそ関係を成立、宣言してしまえばどうかと思いました。関係の構築に時間がかかるのは承知しているので、これからおいおいということで……」

 淡々と語るナオヤくんを、加地くんと弓槻さんは怪訝な面持ちで見た。

「……深海、『恋人関係』の意味、わかって言ってる?」

「もちろん」

「ヒトミちゃんも、同意したってこと?」

 弓槻さんにそう聞かれて、頷きそうになり……はたと気付いた。

「そういえば、はっきりとした同意は得られていませんでしたね」


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