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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter4 つくりものの私たち
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1 一夜明けて

 昨夜は全然、一秒たりとも眠れなかった。

 何故って……あの人がおかしなことを言うからだ。

 あの人って? それは……今、ダイニングテーブルで私の隣に座って素知らぬ顔で朝ご飯を食べている、この人……深海ナオヤだ。

 昨日私に言ったことを忘れたかのように、黙々と食べ続けている。確かに、炊きたてご飯に卵焼きにお味噌汁に焼き魚のこの朝ご飯はとっても美味しいけど……。

 朝早いっていうのに、時田さんが来てくれて作ってくれたのだ。昨日色々とわがままを聞いてもらったのに、時田さんはニコニコしてお世話してくれる。

「坊ちゃんが来られるのは久しぶりですからねぇ。それもお友達を連れて来られるなんて初めてだから、嬉しくてね」

 そう言う時田さんは、なんだか管理人というより『お母さん』だ。

「たくさん食べてくださいね。余っても、こんなおばさんじゃ食べきれないから、全部食べちゃってくださいよ」

「ありがとーございます!」

 余る心配はなさそうだ。加地くんが破竹の勢いでご飯を平らげていく。しかも「おかわりください!」と言って、勢いよくお茶碗を差し出した。それを受け取る時田さんも満面の笑みだ。

 それに比べて私たち三人は随分少食に見えた。加地くんと比べたら、の話ではあるけど。

 ただ、それにしても深海くんはひときわ食が細かった。加地くんどころか、私や弓槻さんと比べても半分ほどしか食べてないんじゃないだろうか。

「あら坊ちゃん、どうしたんですか。あれだけたくさん食べてらしたのに。どこか具合でも悪いんですか?」

 時田さんは慌てて体温計や薬を探し始めた。それを止めたのは、他ならぬナオヤくんだ。

「大丈夫、体調は良好です。以前より少食になっただけです」

「ええ、あの坊ちゃんが!?」

「『あの坊ちゃん』て……どんな坊ちゃんだったんですか?」

 弓槻さんが興味津々で尋ねる。もちろん加地くんも、視線がキラキラしている。

 ナオヤくん一人が、興味なさそうにぽつぽつと食べ続けている。止めないものだから、時田さんはどんどん話し続ける。

「どんなって……やんちゃで元気なお人でしたよ。どれだけ走り回らされたか……」

「……やんちゃ?」

「元気?」

 加地くんと弓槻さんが、一斉にナオヤくんを見る。どちらも今のナオヤくんとは到底結びつかない言葉だから、仕方ない。

「ご飯ですよって言ったらようやく大人しくテーブルにつくんですけどね、それ以外はまぁ全然落ち着きなくて……たまにしか来ないのに、近所のお子さん方の親分に収まってたり、学校でもスポーツマンで、よくリーダーシップをとってるって聞きましたねぇ。あ、でも、そちらは皆さんの方がよくご存じでしょう」 

 時田さんは笑って、加地くんのおかわりをよそいに行った。

 その間、加地くんと弓槻さんの視線はナオヤくんに釘付けだった。さすがに居心地悪く感じたのか、ナオヤくんが二人を見返す。

「……何ですか」

「さっきの話って……誰のこと?」

「『深海尚也』その人のことです」

「うそでしょ……」


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