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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter3 『愛』と『ヒトミ』
51/114

21 『恋人をつくる』

「また、書き足さないといけませんね。活動に支障が出ます」

「楽しいから、もう一回するって手もあるんじゃない?」

「なるほど。提案してみましょう……それで、現在残っている項目についてですが」

 私はもう一度、リストに視線を落とした。何が残っていたのか確認すると……


・誰かを笑わせる

・花見をする

・恋人をつくる


 この三つ。

「なんか、加地くんと弓槻さんの二人ならすぐに達成できちゃいそう」

「そうですね。逆に僕たち二人だったら……この三つの達成は難しそうです」

 言われてみれば……コミュニケーション能力の低い私たちに『誰かを笑わせる』なんてできっこない。『花見をする』『海に行く』は、それだけならできそうだけど、本当に行くだけになりそうで怖い。そして最後……『恋人をつくる』なんて、たとえ百年経ってもできそうにない。

 それでいくとこのリスト、私のせいで永久に完了できないことになるんだけど……。そのことに気付いて困っていると、ふと隣に座っていたナオヤくんの声がした。

「この『恋人をつくる』についてですが……」

「え、うん!?」

 難しいから却下にするのかな、なんて思っていた。だけどそれは、甘かった。

「今、達成しませんか?」

「……『今』って?」

 きょとんとする私と、相変わらずの無表情のナオヤくん。二人の間を、ナオヤくんのしなやかな指が行き交う。

「あなたと、僕。この二人で恋人関係になってはどうかと、提案しています」

 まっすぐな声と、まっすぐな視線。どちらもナオヤくんから、私に向けて放たれていた。

 愛からすら、ここまでまっすぐに見つめられたことなんて、ない。

 ナオヤくんの瞳が私の顔を映して、それを見て、狼狽えている自分の顔がなんて間抜けなんだろう、なんて他人事のように考えてしまっていた。

 そして、なんて答えていいかわからないでいると、ふいに思い出した。愛の顔を。

 深海くんを見つめる愛の、ほんのり赤く染まった顔。そして、それを見つめ返す優しい笑みを湛えた深海くんの顔。互いを見つめ合う二人が纏った、優しい光のような淡い空気を。


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