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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter3 『愛』と『ヒトミ』
48/114

18 採決

「はぁ?」

 ナオヤくんの言葉に、加地くんと弓槻さんが一斉に立ち上がり、詰め寄った。

「何考えてんの? 深海くんにそんなこと言う権利ないでしょ」

「こういう時こそ友達として支えるんじゃねえのかよ!」

「僕がしたのは提案だけ。決めるのは天宮さんです」

 ナオヤくんの視線が、私に向いた。

「僕は、あなたはこれ以上『実験』を続ける必要はない……いえ、続けるべきではないと考えます。何故なら、あなたの母親の意思ばかり尊重することになるからです。実験を続けることは、あなたの精神的負担を考慮しない結果になると予想されます。それは、望ましいことではない」

 ナオヤくんの言葉が、広い家の中にこだまする。

 びっくりするような大きな声は、怒声そのものだった。彼は、表情はそのままに怒っていた。怒ってくれていた。

 一瞬驚いて硬直していた加地くんだったけど、彼の言葉の意味を咀嚼し始めた。

「それってさ、深海、何でそういう結論になるかはわかんねえけど、つまり……傷つくくらいなら、実験なんてしなくていい!……てこと?」

「……まぁ平たく言えば」

「要するに、深海くん……天宮さんに傷ついてほしくないと?」

「当然です」

 きっぱりと言い切るナオヤくんを、加地くんと弓槻さんはかえって感心した様子で見ていた。するとナオヤくんは、二人を順番に見て、呆れたように言う。

「お二人だって、そうでしょう。だから天宮さん本人より憤っている。違いますか?」

 そう言われて、二人は顔を見合わせる。そして、同時に頷いた。

「その通りだ」

「うん、まったくもって同意見」

 すると今度は、三人揃ってくるっと私を振り返った。一斉に見られて、ちょっと緊張が走った。

「じゃあ、決を採ります。天宮さん、『実験』をやめますか? 続けますか?」

「え」

 いきなり言われても。困る。戸惑っていると、横から弓槻さんが手を挙げる。

「あ、じゃあこれも提案! これから私たちは『天宮さん』じゃなくて『ヒトミ』ちゃんて呼ぶ」

「え、それは……」

 いったい何の意味が?

 そう聞こうとしたけれど、それより早く、加地くんが頷いた。

「それいいな! いつまでも『天宮さん』だとなんか友達らしくないって思ってたんだよ」

 私を置いて、加地くんと弓槻さんがどんどん盛り上がっていく。

「二人とも、まだ天宮さんの意見を聞いていません」

「深海くん! 天宮さんじゃない。ヒトミちゃん!」

「……ヒトミさん」

 いきなりの名前呼びに、心臓が大きく跳ねた。表に出さないように必死に押さえ込む。

 その内側で溢れる気持ちを整理する。私は『愛になる実験』を続けたいか、どうなのか。


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