表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter3 『愛』と『ヒトミ』
44/114

14 母の錯乱

「あなた、元気になったじゃない? 絶対に行動範囲が広がると思って、メンテナンスの時にこっそりこのアプリをインストールしておくように頼んだの」

「どうして、そんな……」

「こういうことがあるからよ。予定をすぐに変更して、私の知らないところに行って……どこに行ったのかわからなくなったら、心配するでしょう」

「ここは……友達のお家だよ。何も心配なんてないよ」

「私はそんなの知らないもの。初めて見るお友達だし、男の子もいるし……」

 そう行ったお母さんの目に、急に冷たい光が宿った。その視線はナオヤくんと加地くんに向けられていた。

「お母さん、やめて。急に雨が降ってきてびしょ濡れになったから、色々お世話になってたんだよ。むしろお礼を言わないと」

「だから……お母さんを呼んでくれたら良かったじゃない。こうしてる間にも風邪でもひいたら、またあなたは……」

 お母さんは、涙ぐんで、俯いてしまった。こうなると、何も言えなくなってしまう。

 愛を心配しているのは本当だから、困る。その気持ちを否定する気はまったくないのだけど、だから何をしてもいいとは限らない。

 お母さんに真っ向からそう言えるのは、愛だけだった。私は当然、言えなかった。昔も、今も。

 外の雨音と、お母さんのすすり泣く声が、重なって響く。

 そんな中、別の声が、聞こえた。

「一つ、よろしいですか?」

 ナオヤくんの声が、いつもよりもずっと、凜として響いた。

 お母さんは怪訝な顔のまま、ナオヤくんに視線を向けた。上から下までじろじろ見てから、ようやく頷いて先を促した。

「あなたは愛さんを心配して、ここまで来られたということですね?」

「ええ、そうだけど」

「あなたが迎えに来られたのは、愛さん、ということですか?」

「それ以外、誰がいるの? 変な子ねぇ」

「なるほど」

 そう言うと、静かに私とお母さんの間に立った。まるで、壁になってくれるように。

「では、お帰りください。ここには、あなたが連れ帰るべき人はいません」

「な!?」

 お母さんも私も、加地くんや弓槻さんまでが、驚いた。皆の視線を一手に受けながら、ナオヤくんは続ける。

「それに愛さんを心配しての行動とはいえ、あなたの行いは違法ですよ。本人の同意なく位置測定を行うことも、彼女への態度も……」

 そう言って、ナオヤくんは私を見た。つられてお母さんも、私を見る。だけどお母さんの方は、その意図がわからなかったみたいだ。

「母親が娘の心配をすることの何が違法なの? GPSはやり過ぎだったかもしれないけど、そうでもしないと何があるかわからないじゃない。それにこの子は、ずっと体が弱くて大人になれないとまで言われていたのよ。若さと勢いに任せて無茶したら、また……」

「それは、彼女ではありません」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ