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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter3 『愛』と『ヒトミ』
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11 友達続行

 その声は、何故か胸の奥の奥の、更に奥にまで、響いてきた。

「そっか……そうだな。変に気遣うとかより、普通に友達でいる方がいいんだよな」

 加地くんの声も、まるで砂漠の砂に水が落ちていくように、すぅっと、どこまでもどこまでも、染み入る。

 どうしよう、何か言いたいけれど、何も言葉が出ない。それどころか、声も出ない。怖いわけでも苦しいわけでもないのに、胸に何かが詰まって、どうしたらいいかわからない。

「決まり。友達続行!……まぁ本人に言ったわけじゃないけどな」

「本人はあくまで今まで通りなんだろうけどね」

 そんなことない。立ち聞きしてしまったからではあるけど、私こそ、これからどう接すればいいかわからなくなってしまった。

 だけど一つ、胸の奥がじんじんと熱くなることがあった。二人は私を『クローン』と言ってくれる。『ナンバーズ』じゃなく『クローン』と。

 他の人にとっては取るに足らないことかもしれないけれど、私にとっては違う。涙が出そうな程、嬉しいことだ。

 どうしよう……普通に友達って、どうやればいいんだっけ?

 そう思って、一人あれこれ頭を抱えていると……

「何をしてるんですか?」

「ひゃああああ!」

 背後から急に声が聞こえてきた!

 振り返ると、ほんの少し目を瞬かせているナオヤくんだった。手にはコーヒーカップの載ったお盆を持っている。

「いつまでも戻ってこないので、全員分のコーヒーを淹れてきました。リビングに入らないんですか?」

「え、いや……」

 心臓が、跳ね上がって飛び出すかと思った。まだ大きな音がしている。

 懸命にそれを抑えようとしていると……

「あ! 天宮さんに深海!」

「え、うそ! 今の聞いちゃった?」

 ああ、気付かれてしまった……。せっかく隠れてたのに。

 今更口を塞いでしゃがみ込む私のもとへ、加地くんと弓槻さんがバタバタと駆けてくる。ダンゴムシみたいになった姿を、見られてしまった。

 二人は二人で、聞かれていたとわかった気恥ずかしさか、何も言えずにじっとしていた。

 そんな私たちを交互に見て、ナオヤくんはしばし考え込んで……

「もしや、僕は今、空気を読まない行いをしたのでしょうか?」

 誰もがふるふると首を横に振るけれど、それ以上は言えなかった。

 ナオヤくんは何かを察したようで、持っていたお盆を私に預けると、踵を返した。

「砂糖とミルクをとってきます。どうぞ続きをお話してください」

「待て待て待て! ここで三人に戻すなよ」

「かえって気まずいよ! もう全員ブラックでいいから、皆でお話ししよう! ね!」

 結局、キッチンに戻ろうとするナオヤくんを引きずって連れて、四人でリビングに戻ったのだった。


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