2 部活動
ナオヤくんと共有している『実験リスト』を、私の端末から開く。激甘スイーツの項目は昨日達成したから、線を引いておいた。あと残るは……
「『部活動をする』って簡単じゃない? 天宮さん、何部がいいの?」
「何部……」
そう言われて、困ってしまった。この項目を書いたのがナオヤくんだっていうのもあるけど、私自身、特にやりたいことはないから。
「ちなみに私は美術部! 活動は週三回だから、割と気ままにできるよ」
「俺は帰宅部! 店の手伝いが部活みたいなもん」
なんだかそのまま勧誘しているような口ぶりだった。
入部申請はいつでもOKのはずだから、思いつくままに行ってみればいいのだとは思う。何がやりたいか? 何ができるか? 何をやってきただろうか?
私は愛のスペアボディだったから、身体を健康に頑強に保つことが義務づけられていた。だから両親の勧めで大抵のスポーツはかじっていた。競技者としてあまり強くなりすぎない程度に、だけど。私が名を馳せるようなプレーヤーになったら、スペアにできなくなってしまうから。
テニス、バスケ、サッカー、陸上、空手、ソフトボール、スカッシュ、クライミング、水泳……種類だけは豊富だ。
だけど、どれも何だか気が進まない。義務だった頃の閉塞感を思い出してしまう。
「運動系は、ちょっと……」
「じゃあ文化系は? 色々あるよ。美術サークル以外にも、料理とか手芸とか文芸とか」
「文化系……」
どれも愛が得意そうなことばかりだ。走り回ることができなかった分、愛は机に向かい合ってできることは色々やっていた。刺繍なんて一級品で、今すぐ美術館に展示できるんじゃないかと思ったくらい。
いいじゃないか、それだと実に『愛』らしい。だけど……
「私に、できるかな……」
同じ遺伝子を持っているはずなのに、私はどうも手先でアレコレするのが苦手だった。それを自覚する度落ち込んで、よく、愛にも深海くんにも慰めてもらっていたっけ。
だけどそんな風に弱音を吐く私を、弓槻さんと加地くんは笑い飛ばした。
「そんなの、できなくたっていいじゃん」
「できるからサークルやってるんじゃなくて、楽しいからやってんだからさ」
「続けてるうちに上手になるかもしれないし」
「そうそう。私の昔の絵、見せようか?」
二人は、ケタケタ笑いながらそう言う。『楽しいから』……それで、いいんだ。目から鱗だった。
そう言われて、またわからなくなった。
「楽しいって、何だっけ?」




