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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter2 『実験』の始まり
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18 ナオヤの母

「その妹の『ヒトミ』です」

「あら失礼。でも、そう……尚也とよく遊んでくれていたあの子の……」

 ナオヤくんのお母さんの視線は、更に鋭くなった。値踏みされているようで、怖かった。

「あ、あの……ナオヤくんが転校してきて、久しぶりだねって言ってて。それでテンションが上がっちゃって、このお店に誘ったんです。ずっと来たかったけど、一人で行く勇気がなくて……ナオヤくんを誘ってたら、こちらの二人も一緒に来てくれて……だから、私が誘ったんです」

 一気に捲し立てるように、言い訳をした。ところどころ違うけれど、筋は通っているはず。そう思いたい。

 ナオヤくんは、さっきからずっと口を開けずにいる。あれだけすらすら喋れる彼が、一言も言わない。きっと、何も言えなくなってしまうんだ。尚也くんのお母さんの前では。

 ナオヤくんの前に立ちはだかるようにする私に、ナオヤくんのお母さんは、深いため息をついて見せた。

「別に、誰が悪いとか、そういうことを聞いてるんじゃないでしょう。この子の体調について聞いてるだけ」

「……体調?」

「昨日はものすごく辛いものを食べてきたって言うし、今日はこんな……糖分の塊のようなものを食べて……一度検査した方がいいわね」

 やっぱり、昨日帰ってから何かあったんだろうか。でも学校ではそんな様子は少しも見せなかった。

 隠していたのかと、私と加地くんが視線を送ると……

「大袈裟です。昨日は大して食べていませんし、これだって美味しく頂いています」

「でも昨日、血圧がいつもより高かったじゃない。今日だって、血糖値が跳ね上がったらどうするの」

「試しに食べてみただけなので……明日からは、食べません」

 そう言うと、そっと最後の一つを、お皿に戻した。

「皆さん、ありがとうございました。今日は、これで」

 ナオヤくんはそそくさとカバンを持って立ち上がると、店の外に出てしまった。それを追うように、ナオヤくんのお母さんも店を後にする。

 最後に私たちを一瞥した視線が、なんだか尖っていて、痛かった。

 追ってくるな、近づくな……そう言わんばかりで、なんだか悲しくなった。同時に、何故だかとても悔しくて……私は、お皿に残った一つを、自分の口に放り込んだのだった。


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